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2023キャップス通信簿 MF編

こんにちは、unknown(オーリエ似)です。
前回のDF編に続き、今回はMF編です。

対象選手は今季トップチームの公式戦に出場した全選手、評価点は独断と偏見で10点満点です。
大体6点で及第点、期待通りくらいだと思ってください。

それでは本編に参りましょう。


♯20 Andres Cubas🇵🇾
#31 Russel Teibert🇨🇦
#26 Jean-Claude Ngando🇫🇷🇨🇲
#8 Alessandro Schopf🇦🇹
#16 Sebastian Berhalter🇺🇸
#22 Ali Ahmed🇨🇦
#27 Ryan Raposo🇨🇦
#45 Pedro Vite🇪🇨
#66 Giovanni Aguilar🇺🇸


#20 Andres Cubas🇵🇾【8.0】

MLS 28試合1アシスト
プレーオフ 2試合1アシスト
北中米CL  2試合
🇨🇦カップ 2試合
リーグカップ 3試合

166㎝の小柄な体躯に闘志を漲らせ相手のアタッカーに噛みつく中盤の番犬で「さらに一回り小さいガリー・メデル」という形容が分かりやすいだろうか。

IHが前進して空いた広大なスペースを抜群の危機管理能力でカバーし、射程圏に入ったボールホルダーからカードもいとわないハードタックルでボールを刈り取る能力はキャップスにおいて唯一無二の武器。

時折繰り出すきりもみ回転のかかった拙いロングキックも普段の狂犬ぶりを考えれば愛らしい。

またポゼッション時には気の利いたサポートで逃げ場となるパスコースを作る動きもこなし、守備的MFとしてはMLSでも随一の実力者であると思う。

今季の彼の問題点は終盤戦になるにつれて勤続疲労からかパフォーマンスを落としたことであるが、それは彼の代役を用意できていないチーム編成上の問題でもあるだろう。

来季は信頼に足るバックアッパーを確保し適宜休ませながらベストフォームを保って使いたい選手である。


♯31 Russel Teibert🇨🇦【3.0】

MLS 7試合
北中米CL 3試合
🇨🇦カップ 3試合
リーグカップ 2試合

アカデミー卒業生であり、2009年のトップ昇格以降ローンを含め一度たりともクラブを離れたことのないバンディエラであり主将。

今季シーズン中にクラブ通算300試合出場とMLS通算250試合出場を成し遂げた重鎮でレジェンドである。

かつてはカナダ代表に定着していた時期もあり27キャップを記録しているが、リーグ出場が一桁試合数にとどまったのは2012年以来と試練の年となった。

昨夏のクバスの加入、今季のアーメド、ヴィテ、バーホルターの成長によりこれまでの貧弱なスカッドとはうって変わって熾烈になったポジション争いに身を置くにはすべてにおいてクオリティが欠如していた。

攻撃面、守備面、フィジカルと何をとってもMLSのレベルには達しておらず、器用貧乏というよりは不器用貧乏(?)とでも言おうか。
かなり厳しい言い方にはなるが、現スカッドにおいては「主将」以外の役割はない。

一方でロッカールームをまとめるリーダーとしての影響力はかなりのものであり、クラブも2023年限りの現行契約の延長に動いているという。

選手の入れ替わりの激しいMLSにおいてクラブを知り尽くすワンクラブマンに残留してほしい気持ちは山々だが、ほとんどゲームに関わることのないOver30としてはかなりの給与を受け取っており悩ましいところである。


#26 Jean-Claude Ngando🇫🇷🇨🇲【5.0】

MLS 8試合
北中米CL 3試合
🇨🇦カップ 1試合
リーグカップ 2試合

2022年末のスーパードラフトにおけるキャップスの1位指名でノースカロライナ大学グリーンズボロ校から入団したMF。

カメルーンはドゥアラに生まれ、フランスのアミアン、パリFCを経てアメリカに渡った男のプロキャリアはカナダの地で始まった。

判断力や連係プレーにはまだまだ成長の余地を残すが、優れたボールコントロールを生かしたドリブル突破はトップチームの試合でも通用するシーンが見られ、その才能の片鱗を感じさせた。

大卒選手のためすでに23歳であることや、似たタイプのアーメドが今季大きく飛躍したことからもあまり燻っている時間はない。
日頃のトレーニングでチームプレーに磨きをかけ「リーグ戦でも起用できる安定感のあるバックアッパー」となることが当面の目標となるだろう。


♯8 Alessandro Schopf🇦🇹【5.5】

MLS 28試合1得点
プレーオフ 2試合
🇨🇦カップ 1試合1アシスト
リーグカップ 3試合

かつての彼を知っているだけに長期離脱が無くシーズンを走り抜けたことが非常に喜ばしいのだが、かつての彼を知っているだけにそのパフォーマンスは物足りないの一言であった。

第2節のサンノゼ戦で決めたキャップス初得点は鋭いランニングで相手守備陣のギャップをついたものであり、3列目からの走り込みで得点に関与する姿はかつてドイツ・ブンデスリーガで躍動した若かりし日を思い起こされるものであった。

しかしながらその得点以降は攻守に奔走する縦横無尽のランニングは影を潜め、特筆すべきストロングの無いMFに成り下がった。

もとより守備面での貢献度は並であり、攻撃面で決定的な仕事を見せられないのであれば次第にアーメドに序列を覆されていったのは当然の成り行きである。

かつてはバイエルン・ユースでもかなり期待された有望株であり、技術面やプレス回避の角度は折り紙付きである。
ネックとなるのはその給与面でゴールド、ラリア、クバスに次ぐ高給を受け取る以上今シーズンの無難なプレーに終始するようでは物足りない。

現チームでも随一のビッグネームであるが、その立場にふさわしい活躍が必要だろう。

LAFCとのプレーオフ第2戦ではラストプレーとなるCKの二次攻撃を主審に阻止された事が話題となった

♯16 Sebastian Berhalter🇺🇸【6.5】

MLS 28試合2得点2アシスト
プレーオフ 1試合
北中米CL 4試合1アシスト
🇨🇦カップ 2試合
リーグカップ 2試合1アシスト

過去のDVが発覚したことにより2022年12月より半年強の停職になっていたアメリカ代表監督、グレッグ・バーホルターの息子。

アンカーのバックアップとしてシーズンインしたが、クバスの軽微な負傷によって数度訪れた出場機会では軽率なボールロストを繰り返しフィルターとしても不十分な活躍に終始した。

驚くべきはシーズン半ば以降にSHにコンバートされてからの活躍で、高精度のキックによるチャンスメイクのみならず、16節ヒューストン戦、36節セントルイス戦では強烈なミドルシュートを突き刺して見せた。

この過程で自信を深めたのか次第にプレーには貫禄すら感じさせるようになり、序盤戦のピッチ中央で頼りなくたたずむ姿とは完全に決別した。

2023年末でいったん契約が終了したが現在再契約の交渉がなされている。
中盤全域と右サイドに対応する戦力としてのみならず、カナダカップ優勝決定後のロッカールームではチームの輪の中心でパンイチで場を盛り上げるムードメーカーとしても欠かせない存在であり、残留の報が待たれる。

Canadian Championship決勝後のロッカールーム
ヴィテのインスタライブより(@pedro_vite45)

#22 Ali Ahmed🇨🇦【7.5】

MLS 22試合2得点1アシスト
プレーオフ 2試合
北中米CL 3試合
🇨🇦カップ 2試合1得点
リーグカップ 1試合

2023年におけるクラブのMost Promising Playerに選ばれた通り、今季最も「ハネた」男。

今季初スタメンとなった6節のモントリオール戦で1G1Aと躍動しチームのMLS初勝利の立役者の一人となると先発の機会が飛躍的に増加。
その活躍が目に留まり、6~7月に行われたゴールドカップでは一部海外組が招集外となったカナダA代表に初選出され全4試合に出場した。

アフリカ系特有の独特のリズムと天性のバネを生かしたドリブル突破が真骨頂であり、味方とのコンビネーションも巧みであるため広大なスペースのあるカウンター時のみならず守備陣形を整えた相手に対しても有効である。

改善点となるのはファイナルサードでの活躍である。
シーズンを通じて決定的なパスを引っ掛けてしまうシーンがしばしばあり、歯がゆい瞬間も多くあった。

また、得点感覚に関してはまだ養われていないのかそもそもシュートシーン自体が少なかった。
それだけに最終節LAFC戦で決めた得点は逆サイドのラリアからのクロスを大外に走り込みフリーの状態を作って決めたゴールであり、今後の成長を予期させる素晴らしい得点であった。

11月のネーションズリーグには欧州組も招集されたフルメンバーと言える代表にゴールドカップ以降に初招集された選手としては数少ない生き残りを果たし、そのポテンシャルは誰もが認めるものである。

彼には来季もバンクーバーの地でさらなる成長を遂げ、いずれ欧州の第一線に羽ばたいてほしいと思う。


#27 Ryan Raposo🇨🇦【6.0】

MLS 26試合2アシスト
プレーオフ 1試合
北中米CL 4試合1得点1アシスト
🇨🇦カップ 3試合
リーグカップ 2試合

2020年末のスーパードラフトでクラブの一位指名を受けた有望株だが「今季務めた両サイド全域に対応可能なユーティリティ」が彼の潜在能力の限界のように感じる。

前半戦は左SBを主戦場とし、3バックの採用が増えた後半戦はWB/SHとしての出場が主となった今季であるが、ディフェンダーとしては対人性能に不安を残し、アタッカーとしてはなかなか相手の脅威になれない中途半端なプレーに終始した。

相手アタッカーのにはスピード、パワー共に後れを取ることが多く、ボールを持っても相手を抜ききってセンタリングを上げるシーンはほぼ皆無。シュートまで行けるシーンなどもってのほかである。

時折セットピースのキッカーを任されるようにキック精度は評価されているようだがあらぬ方向に飛んでしまうこともあり、プレーオフ第二戦の最終盤でひどいキックを見せられた際には思わず目を覆いたくなった。

24歳、ここらで成長は頭打ちと言った様相だが、高い運動量を必要とするサイドのポジションで負傷なくシーズンを終えたこと、多くのポジションに対応可能なことはスカッド運用上優れた特性であり、手放しで称賛できる出来ではないが与えられた役割は果たしたと言って良い。


#45 Pedro Vite🇪🇨【8.0】

MLS 34試合4得点
プレーオフ 2試合
北中米CL 4試合1得点
🇨🇦カップ 3試合2得点
リーグカップ 2試合1得点

よりセンセーショナルであったアーメドにクラブの最優秀若手選手の座は奪われたが、21歳の若さながら全公式戦で出場がなかったのは1試合のみという何年も主力であったような貫禄でかえって全くセンセーションを感じさせないという貢献ぶりであった。

味方のサポートに入るタイミングが非常に秀逸で、ラリアやアーメドの突破に顔を出し相手の目線を集める動きがよくみられた。
最終的にキーパスを出すことは少ないが、崩しの初期段階において起点としての重要な役割を担っていたように思う。

また、その左足は精度とパンチ力を併せ持ち、今季もボックス外からのシュートで得点を重ねた。
6月に初招集を受けた代表においても後半半ばから出番を得たコスタリカ戦において左足ミドルで初出場初得点を記録した。

課題としてはセンタリングの試行回数の少なさと裏に抜けるランニングであろう。

ゴールドの背後である2列目に位置することが多かったなかリーグ戦でのアシスト数が0というのは物足りない数字であり、センタリングに合わせる形が最も得意な得点パターンであるホワイトに対してクロスを供給できていなかったことが浮き彫りになっている。

一方で裏へのランニングは北中米CLレアル・エスパーニャ戦で2列目からの走り込みによって得点を決めており、伸びしろは感じさせる。
得点にミドルシュートが多い現状では、シュート感覚の研ぎ澄まされている期間での固め打ちが主となっており、エリアへの侵入をレパートリーに追加しより簡単なシュートでの得点を増やすことが更なる進化の鍵であるように思う。


#66 Giovanni Aguilar🇺🇸【0.0】

MLS 1試合

セカンドチームであるWhitecaps 2で主にゲームキャプテンを務めているMF。
出場時間がほとんどないため実質評価無しの0.0。

MLS Next Proでは卓越したボックス・トゥ・ボックス型のMFであり、ロングレンジの配給とタイミングの良い走り込みからクロスに合わせるパターンでの得点感覚に優れているが、既に25歳とキャップスでの将来は厳しいものがあるだろう。


大変長い文章となりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございます。

昨シーズンまでと比較すると、かつて5大リーグでも活躍したクバスやシェプフ、新鋭アーメドやヴィテなど多士済々であり、今後に期待の持てる陣容がそろっていると思います。

では、次回のFW編でまたお会いしましょう。

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