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日本ノイズ界の重鎮たち:ジャパノイズの魅力と新たな文化創造

日本の音楽シーンはその多様性と独自性で世界的に注目を浴びています。その中でも、ノイズ界においては数々の重鎮が存在し革新的なサウンドと先駆的なアプローチで独自の領域を切り拓いてきました。今回は日本ノイズ界の重要なアーティストたちを紹介します。


Merzbow

まず一人目は、秋田昌美(Akita Masami)です。彼は80年代初頭からノイズ・インダストリアル・シーンに参加し、海外のレーベルを中心にリリースを始めました。その後、グラインドコアの影響を受けデスメタルのレーベルRelapseからアルバムを発表しました。2000年代には、megoの「punkなcomputer music」に共鳴し、ラップトップによるライブ手法を取り入れました。また、彼は2003年頃から「動物の権利」(アニマルライツ)の観点からヴィーガン(完全菜食主義)を実践し、捕鯨反対やイルカ漁反対、毛皮反対などのテーマで作品を制作しています。最近では、アナログ機材を主体にした音作りに取り組んでいます。


灰野敬二(Haino Keiji)



次に紹介するのは灰野敬二(Haino Keiji)です。彼は日本を代表する前衛ミュージシャンであり1971年に日本初のインプロヴィゼーション・バンド「ロスト・アラーフ」を結成しました。その後、アルト・サックス奏者の阿部薫との「軍楽隊」や自らリーダーを務めるロック・バンド「不失者」など時代によって様々なバンド活動やソロ活動を通じて自身の音楽を追求し続けました。彼はデレク・ベイリーやジョン・ゾーンなど内外の多彩なアーティストとも競演してきました。灰野敬二の音楽は、幾重にもかけられたエフェクトのギターサウンドやパーカッションパフォーマンス、ハーディ・ガーディ、ヴォーカリゼーションなどから生まれる音の世界は、聴く者の魂を揺さぶるでしょう。


小長谷淳(Konagaya jyun)

さらに、小長谷淳(Konagaya jyun)による国産パワーエレクトロニクス、インダストリアル・ノイズ、リチュアル・ユニットであるGRIMも紹介します。小長谷は、オーストリアの名門レーベルである<STEINKLANG INDUSTRIES>から2019年に最新作をリリースしました。彼は1984年に、後にCo/SS/gZ (COPASS GRINDERZ)を結成する名越由貴夫と共にWHITE HOSPITALを結成しました。初期のSPKやCABARET VOLTAIREなどのインダストリアル・ノイズ+パワーエレクトロニクス的なアジテーション・ヴォイスから後期には異端的なスタイルを確立しました。小長谷淳のGRIMは重鎮的な存在として知られています。


BOREDOMS

また、山塚アイ(Yamatsuka Ai)も注目すべきアーティストです。彼女は1983年にノイズバンド「ハナタラシ」を結成し以降大阪を拠点に様々なバンドやユニットで活動してきました。ボアダムスではボーカルを務めオープンリールや電子楽器など多様な楽器を感性的に駆使しています。山塚は狂騒的なスキャットや高音の奇声、ドスの効いた怒号、ユーモラスなヴォイスパフォーマンスを織り交ぜたハードコア・パンク的なシャウトを特徴としています。彼女の音楽は、聴く者を圧倒し、その個性的なアプローチに引き込まれることでしょう。

JOJO広重(JOJO Hiroshige)


最後に紹介するのは、JOJO広重(JOJO Hiroshige)です。彼は1959年に京都で生まれ、1974年頃から音楽制作を始めました。1977年には即興演奏バンド「Sloth」を結成し、翌年にはインプロ&パンク・ユニット「ウルトラビデ」を結成しました。そして、1979年には「非常階段」を結成しその過激なライブパフォーマンスと究極のノイズ演奏で話題となりました。JOJO広重は、非常階段を含む個性的なアーティストをリリースするために1984年にアルケミーレコードを設立しました。その後も世界最古参のインディーズレーベルとして活動し多くの魅力的なアーティストを発掘しています。

さらに、JOJO広重は1997年にソロアルバム「君が死ねって言えば死ぬから」を発表し体全体から発せられる歌とノイズで聴く者を圧倒しました。その後もソロ作品を発表し、独特なアプローチで魅了し続けています。また、JOJO広重はベースとドラムを加えたバンド形式での演奏も行っておりその音楽活動の幅広さにも注目です。彼の音楽は、力強さと独自性を兼ね備えており聴く者をその世界に引き込むでしょう。

以上が日本のノイズ界の重鎮である秋田昌美、灰野敬二、小長谷淳、山塚アイ、JOJO広重についての紹介です。彼らはそれぞれ独自のスタイルやアプローチで活動しノイズ音楽の可能性を追求してきました。彼らの音楽は耳を奪い、心を揺さぶるものでありノイズ音楽のファンや興味を持つ人々にとって必聴の存在です。

これらのアーティストたちはノイズミュージックを通じて名付けようのない感覚や新たな表現方法を私たちに与えてくれます。彼らの音楽はデザイナーやミュージシャン、アーティストなど様々な分野の人々に影響を与え新たな文化の創造につながっています。

日本のノイズ界は世界でも評価されているジャパノイズとして私たちに誇りを与える存在です。ノイズミュージックは、一見すると怖いイメージを持つかもしれませんがその実は音を楽しむための極限の表現であり新たな感覚や文化を生み出す源泉でもあるのです。

新たな音楽や表現方法を探求する際にはぜひジャパノイズの重鎮たちの作品に耳を傾けてみてください。彼らの音楽からはまだ触れていなかった感覚や新たな発見が生まれるかもしれません。ノイズミュージックが持つ限りない可能性と楽しみを共有し、新たな文化の創造に挑戦しましょう。

以上、日本ノイズ界の重鎮たちとジャパノイズの魅力についてお伝えしました。新たな表現方法や文化の創造に興味を持つ方にとって彼らの音楽はきっとインスピレーションの源となることでしょう。ぜひ彼らの作品に触れその魅力を体感してみてください。


Noteにて書かせて頂いた題材を中心に
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神奈川・三浦海岸に位置するビンテージ・セレクトショップ「UNKNOWN」の
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