見出し画像

ドラクエ8 (PS2版) 研究 船までの区間

1.はじめに

2022年の7月~10月頃にかけてのRTA調査をまとめます。
汎用性の高そうな順に、紹介していきます。
なお、これまでツイッターに断片的に記してきたものを再整理する形式をとっており、読みやすくはないかもしれません。ご了承ください。
ツイッター : https://twitter.com/uniright2

2.調査と研究

打撃ダメージ値の頻度分布

良く知られた基準値、「攻撃力/2 - 守備力/4」を中心として、2つの独立な乱数の足し合わせにより、ダメージがばらつくと考えています。

まず、PS2版ドラクエ8では打撃ダメージの最大値は、
 「 基準値 + 基準値/16 +1 」の四捨五入
最小値は、これの+をーに置き換えたもの、と知られています。

そしてプレイすると、明らかに「端の値、つまり最大値や最小値は出づらい」ことが実感されます。

以上から、次のしくみでダメージが決定されていると、自然です。
「基準値 + 基準値/16×(-1 から+1の乱数)  +  (-1 から+1の乱数) 」
の四捨五入

つまり、乱数が2つあります。
上記をさらに簡単にし、第2項を「乱数x」とまとめ、第3項も「乱数y」とするなら
「基準値 + 乱数x  + 乱数y 」の四捨五入

となります。

例えば、基準値が24のとき、乱数xは-1.5から+1.5、乱数yは基準値とは関係ないので -1から+1となります。
そこで、乱数x,乱数y の値をそれぞれ座標軸にとると、ダメージを決める「x+y」が一定のラインは斜め45度となって、下図のようになります。


基準値24のときの、最大ダメージ26の該当する乱数の領域

ここで、x,yともに一様分布(どの値も、同じくらい出る)と仮定すると、上記の水色の長方形(面積は6)の、どこも同じくらい起こりやすい、ということになります。
したがって、最大値の出る三角形の面積は1/2ですから、
1/2 ÷ 全体の面積6 = 1/12 
が、最大値の出る確率、ということになります。

同様に考えていくと、22,23,24,25,26の確率の比、すなわち出現頻度の比は、面積の比に等しいわけですから、1:3:4:3:1 となります。

この、「基準値24」の状況は、攻撃力61のマドハンドに守備力26で挑むことで実現できます。
そこで、実測すると以下のようになり、上記モデルの当てはまりは悪くないといえます。動画は、調査の状況です。また、その時期のツイッターも添付します。

■結果:
合計164回
22ダメージ:12回
23ダメージ:35回
24ダメージ:47回
25ダメージ:54回
26ダメージ:16回

たとえば愛の戦士ピエール戦

序盤ほど1ダメージの差が大きいです。そこで、最序盤の彼を題材に、同じような計算をしてみました。次のようになります。

主人公Lv2with兵士の剣のダメージ。
値 確率 下側累積
3 0.09% 0.09%
4 37.41% 37.50%
5 49.91% 87.41%
6 12.59% 100.00%
・3は出ないと考えてよいが、他はそれなり。

ヤンガスLv2withこん棒ため50
値 確率 下側累積
25 0.42% 0.42%
26 2.91% 3.33%
27 5.70% 9.02%
28 8.48% 17.50%
29 10.00% 27.50%
30 10.00% 37.50%
31 10.00% 47.50%
32 10.00% 57.50%
33 10.00% 67.50%
34 10.00% 77.50%
35 10.00% 87.50%
36 6.67% 94.17%
37 4.30% 98.48%
38 1.52% 100.00%
39 0.003% 100.00%
・28ダメージ以下は17.50%発生

なお、考え方こそ同じですが、マドハンドの場合のように基準値がきれいな値でなく、また基準値/16が非常に小さいため面積の計算はややこしくなります。上記、計算が間違っている可能性も、また、そもそもモデルが間違っている可能性もありますので、そのあたりは自己責任でご活用ください。

テンションは温存、ダメージは通す

エレメント/ゾンビ系のダメージカットを無効にするためには「テンションをためる」と良いですが、「テンションを消費する行動」の必要はありません。
このため、「せいけんづき」「せいすい」を、旧修道院跡地の戦いで活用できます。実プレイで確認し、戦術に組み込んでいます。
下は、参考サイトです。また、当時のツイッターや動画を添付します。
 https://wikiwiki.jp/dqdic3rd/%E3%80%90%E3%83%80%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8%E8%BB%BD%E6%B8%9B%E8%83%BD%E5%8A%9B%E3%80%91#a1c5c371



3.つかえるかもしれない戦術

以上をふまえたり、ふまえなかったりしつつ、使えそうな戦術を紹介します。

愛の戦士ピエール戦

ホイミを使われると厄介です。そこで、ヤンガスがため、一気に押し切りたいですが、この判断ラインが難しいです。
上記のモデルに基づくなら、
主人公が4+ヤンガスが26を出すことはほぼ確定
なので、両者で30を出す前提で考え、「11を削ったら総攻撃」とするのがよさそうです。
なお、彼は回避率も0ではなかったはずなので、この判断基準だと回避のほうがクリティカルに効いてくると思われます。
さらに、とびかかりでダメージ13を主人公に出してきた場合は、次のターンに防御したいので、そうしたパターンへの対策は別で考える必要は残ります(守りの種+2なら、13は出ないと考えられます)

ザバン戦

ここは「与えるダメージ」よりも「受けるダメージ」のほうが重要です。
Lv5,5で挑む前提で、即死のパターンを排除しつつ、主人公の手が空くように動く、という方針で練りました。
かなりややこしいです。新たに書きなおすことはしませんが、これまでの記述をトピックに分け整理し、また、動画を添付します。

戦術のかんたんな説明(youtubeに掲載の抜粋):
・14ターン目までに撃破する前提で、勝率を重視
・「守りの種」を主人公に使い、次の分岐:
 +1 → 「皮の盾」は主人公、2,8T目はヤンガス動けるなら防御
 +2 → 「皮の盾」はヤンガス、2,8T目はヤンガス防御せず
・2,8ターン目の主人公は、基本的に防御
・3,9ターン目にヤンガスが防御する場合も、そのターン主人公は「ためる」
・上記の場合さらに4,10ターン目も「ためる」
・6ターン目のヤンガスの回復対象は主人公>ヤンガスの優先順

方針について

守りの種と、皮の盾

守りの種は、なくてもいい。でも薬草は必要っぽい

3ターン目に、ヤンガスが防御するとき

3ターン目にヤンガスが防御した影響で、6ターン目がややこしいとき

順調な6ターン目は攻めがよさそう

いろんなパターン、10戦つめあわせ

実はそのほかに、まだあと10戦やってます

なげきの亡霊戦

「テンション正拳突き」を活用します。
とくに「くさった死体」のテンション下げ攻撃が厄介で、ここを中心に検討しました。

一番厄介なのは「1ターン目に、仲間を呼ばれた場合」です。
このとき、1ターン目に、主人公と、ヤンガスが、ともに「ためる」を選択しているとします。
そして、2ターン目に主人公「ためる」、ヤンガス「せいけんづき→くさった死体」とすると、30ほどのダメージが入ります(回避されなければ。また、スキルふりが挌闘で、Lv10が前提)。

ここで、2ターン目の「くさった死体」のテンション下げ攻撃が
・主人公であった場合
 → 3ターン目、主人公+5打撃、+5のヤンガス正拳突き
・ヤンガスであった場合
 → 3ターン目 主人公+20打撃
の、いずれでも、腐った死体を倒すことが(だいたい)可能です。

問題は、「せいけんづき」を回避される確率がそれなりに高いこと、ほんの少し倒しきれないことです。
2ターン目に回避されたときは、3ターン目に普通に打撃をすることに変えれば対応できそうですが、そこでテンション下げが入っていると危ないかもしれません。
また、少し倒しきれないときは、ゼシカが聖水を使えばちょうど良いですが、そこで回復せずに動けるかは状況次第です。
というわけで、現時点で必勝とは言い切れませんが、比較的安定した試合運びにはもっていけます。

4戦分の動画です

ドラップボックスでゼシカSHT

レベルが低く、痛恨で即死するときは、攻防一体の手となります。
さすがにやりすぎ感がありますが、他に使いどころのない戦略ならば、良い手になるかもしれません。

なお、SHT(スーパーハイテンション)になる前に、痛恨で倒される場合も、もちろんあります。しかたありません。

トラップボックス戦、その他

序盤は素早さがとくに重要です。
1ターン目にピオリムが未遂、2ターン目に回復が後手となると、負ける可能性が出てきます。
このため「うさぎのしっぽ」が重要アイテムになってきます。Lv15付近では、ピオリム1回で確定先行となるかを分けるアイテムです。

また、レベルが低い場合は、痛恨のダメージをベホイミで相殺しきれないとき、一撃死の可能性が生まれます。特薬草があると安心です。


4.個人的なプレイスタイルと戦略

ここからは、私個人のプレイに限定されそうな部分です。普通の意味での「プレイレポート」「戦略紹介」といえる部分になります。

制限4種とは?

簡単な説明 「PS2版 ドラクエ8」の制限つきRTAです。次の4つを禁止してプレイします。
1.メタル系からの経験値獲得*
2.チーム呼びの使用
3.くちぶえの使用
4.リセットボタンの使用  
*メタルスライム(1350)、はぐれメタル(10050)、メタルキング(30010)の3種
 なお、ゲームのストーリー進行を破壊しうるバグを利用した技は使いません

なぜ、この制限でプレイしようと考えたかについては、以前のレポートの該当分をお読みいただけるとありがたいです。
https://note.com/uniright2/n/n3a3973f6ba7a#9434fddd-8585-486e-bbe1-0b6b39ff3fa4

どういう感じになるのか

とくにククール加入より後は、メタルを狩らないため、通常RTAと比較し低レベルの進行となります。
またリセットも禁止のため、たとえばオセアーノンを例にとると、「直前セーブすれば負けてもリセットできるから、薬草の消耗は気にせずいったん突っ込める」といった選択が、簡単にはできなくなります。
その他、詳しくは、以前の通しプレイの際のレポート/動画をご参照ください。

なお、最近のプレイでは、電源投入~船入手まで、セーブをはさんで4時間53分で到達しています(上記の動画より、20分ほど早いです)

こちらも動画を添付します。
上が、ククール加入まで
下が、船までです。

単発の戦略変更

ここでは、以前の通しプレイのときからの、変更を中心に書いていきます。

・滝の洞窟で、おおきづちを倒すのは、残り85が区切り
銅の剣を回収する場合の、損益分岐点をざっくり計算すると、このあたりになったので、明確化しました。

・防具を変更。うろこの盾でなく、皮の腰巻を購入
オセアーノン戦で、ヤンガスが2発で倒されるパターンを除去するために、変更しました。
このため、うろこの盾がひとつ減り、その後の調整を余儀なくされています。キトンシールドの回収まで連動で変化しました。


・野草売りのお姉さん活用
「上薬草」が出ると、オセアーノン戦や、なげきの亡霊戦で蓄積ダメージが返済でき、仮に残っても、錬金を1手減らせます。
仮に出なくても(というか、ほとんど出ませんが)まんげつそうがそれなりの確率で出てこれも活用でき、購入の時間も早いので、さほどロスを生みません。

・うさみみバンドの錬金をやめる
トラップボックス戦で「うさぎのしっぽ」を使いたいためです。また、これにともなって、うさぎのしっぽをゼシカに渡したり、これまでより真面目に活用する意識になっています。

・鉄のヤリの錬金をやめる
時間の割に、換金の効果が薄いためです

・かわりに、特薬草を錬金する
トラップボックス戦で使いたいためです(痛恨の相殺)

・進行の順序を、普通に近くする
①パルミドに行く→②願いの丘のクリア→③剣士像の洞窟のルーラ登録、の順にしました。以前は、①→③→②。
レベルが下がったのでイオの習得が遅れ③の敵が倒しづらくなった影響と、錬金の素材の関係でこの順序でも問題なくなったためです。

・ふなつきばの回収を4時間ほどあとまわし、船入手後に
この後述べる「アスカンタ道中が昼」となることから、夜にする必要がなくなったためです。また、道中で敵がよく落とすバンダナもここでの購入個数(予定で3個)を減らす意味を持つため、地味ですがかみ合わせが良いです。

大規模な戦略変更

ククール加入以降、進行レベルをおおよそ1つ、下げました。
もともとは、
・トラップボックスでゼシカLv15(マジックバリア)
・トロデーン攻略で主人公Lv17(ライデイン)
これが2つのラインでしたが、ひとつずつ下がっています。

経緯をまとめます。

・アスカンタまでの道中で夜移動がつらい
敵が倒しづらく、MPがきつく、時間もかかります。
昼に移動できると戦闘が早く、そもそも戦闘回数が減ります

・道中で敵を選びたい
上と同じ話ですが、もともとのラインだとほとんど全部倒す必要がありました。

・マジックバリアが微妙
ゼシカが動く分、痛恨への備えが甘くなります。
また、マホカンタがかかっているうしろの2人には意味がなく、反射のアクションが長いのも無駄です。ここがスクルトとの大きな違いで、スクルトは反射されてもククールに2枚かかり、意味があります。備えるべきは「混乱した、ヤンガスと、主人公の打撃」です。

・スキルふりの後半の変更から、海岸の「スキルの種」が主人公に使える
これにより、Lv16でもライデインを習得できるようになり、戦略としてつながりました。

・そして、レベルの下がったゼシカは痛恨にあんまり耐えられない
変な話ですが、SHTを使った時の意義がより大きくなってきたので、ノリで採用する流れとなりました。

さて、ここまでメリットを中心に見てきました。
この戦略変更の副作用は、当然ながら、後半の経験値不足が考えられます。
そのほかにも、次のようなものがわかっています。
ただ、タイムにして20分ほどは違うので、そのメリットをうちけすようなものではないと考えています。

5.おわりに

2022年4月の通しプレイは「この制限4種で、15時間は切れることを示す」という、「プレイよりメタな戦略目標」がありました。
今回の取り組みは、そうしたものはなく、「一度は解けた問題の、解の磨きこみ」ともいえる、より自己満足的な何かです。ただ、やりこみというのは、もともとそういうものだったような気がします。

そういうわけで、とくに期限も切らずに、無理のない範囲で進めていきたいと思います。とはいえ、このままだとせっかく見つけたものが忘却されそうだったので、適当に区切って、本レポートにまとめた次第です。
船入手は、全体の1/3程度の進行度ですが、それでも5時間ほどあり、けっこうなボリュームです。

そういう経緯で、「区間だけで執筆する」また「汎用から特殊に並べて書いてみる」という、2つの新しい取り組みをレポートに盛り込んでみました。

プレイを含め、今後どうするかは全くの未定ですが、またどこかでお会いできるのを楽しみにしております。
今回も、ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
 右弐 2022.10.8

参考にした主な情報

1.出版されている書籍
・ドラゴンクエスト8 公式ガイドブック 上/下巻
 掲載されているすべての情報を参考にしています
・ドラゴンクエストVIIIのあるきかた
 敵の出現率について参考にしました

2.攻略情報
・PS2版ドラクエ8 極限攻略データベース
 https://kyokugen.info/dq8/ps2/ 
 ボスの行動ローテーションを参考にしました
・後悔無用のRPG攻略 錬金に必要な歩数 - ドラゴンクエスト8(PS2)  https://perfectionism.web.fc2.com/dragon_quest_8/item_26.html
 錬金に必要な距離を参考にしました

著作権情報

このページで利用している株式会社スクウェア・エニックスを代表とする共同著作者が権利を所有する著作物及びスギヤマ工房有限会社が権利を所有する楽曲の転載・配布は禁止いたします。
© 2004 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/LEVEL-5/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
© SUGIYAMA KOBO
(公式ガイドライン http://www.dragonquest.jp/guideline/dq8/ps2/)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?