自分のやってみたい仕事が見つかった本3冊。


 あなたは、いま幸せに暮らしていますか。フリーで活動している人は、比較的自分の思った方向性の仕事をしていて、日々充実しているのではないかと思います。また、サラリーマンであっても、自分の仕事に誇りを持ち、懸命にやっていらっしゃるかも知れません。

 けれども、あなたがもし、自分の生き方に疑問を持ち、このままだと嫌だなと思っているのだとしたら、今日が変わるきっかけの第1日目になるかもしれません。それくらい、今日紹介する3冊はお勧めしたい本です。

 1冊目は、中越裕史『好きなことが天職になる心理学』(PHP研究所、2016)です。やりたいこと探し専門心理カウンセラーの中越氏が、一日の大半を占める働く時間を、どう幸せに過ごすか。そのために、どのようにして「やりたいこと」を探すのか。そして、見つけた後に、どう見つけたやりたいことを実現するのか。このような内容になっております。

 「天職」という論に関しては、いろいろな著名な方が、本を出しています。しかしながら、その多くは、出会った仕事を大切にしていきなさい。とか。今やっている仕事を我慢していけば、そのうちやりがいになっていく。とか。そういう論が展開されがちです。

 しかしながら、終身雇用が崩れる中で、新しい人を育てる余裕も無ければ、技量も無い、そんなところにいて辛い思いをしている人に、我慢していれば良くなるなどと言えるのでしょうか。高い給料をもらっても、精神的におかしくなってしまっては、幸せではないのです。それに気が付かずに、若い世代に我慢や無理を強いるのは、もはや時代遅れとも言えます。

 そのような中で、中越氏は、むしろ辞めることをきっかけに出来るか、ということを念頭に本文で述べられています。つまり、我慢をするのではなく、今後幸せな人生を送るために、どうやればいいのか、一緒に考えていくという立場に立って、話が進んでいきます。これが従来の一方的な本と違うところです。

 また、「やりたいこと」を見つけるだけで終わらず、それをどうやって実行していくか。これについても述べられています。中越氏はスモールステップアップを推奨しています。少しずつ続けていくことで、やりたい気持ちや好きな気持ちを育て、最終的に就くやりたいことに結び付けていくという方法です。

 本文の中で「一瞬で」や「すぐに」という方法は、紹介されておりません。どちらかというと、コツコツ実践を繰り返していくことで、最終的に大きく変わるという方法なのです。

 だから、今すぐ変身したい人は、読まないでください。反対に、仕事ではイマイチ評価されてこなかったけれども、自分のペースで少しずつやっていく人にとっては、大きな学びを得られます。段階を踏んで、少しずつ、現状を良くしていき、最終的には自分が幸せになれるよう、取り組んでみましょう。

 2冊目は、本田健『「ライフワーク」で豊かに生きる』(サンマーク出版、2006)です。本田氏は「お金の専門家」として、大成功を収めた方です。本文の中で、いくつかのエピソードとミニワークを通して、ライフワークを探していくという構成になっております。

 まず、このようなミニワークが付いている本の場合、与えられた課題の内容だけ見て、実際にはやらないという人がいます。あなたは、いかがですか。普段読む本にワークが付いていたら、しっかりやりますか。それとも、いつも飛ばして次のページに進んでしまいますか。もし普段、本に就いているワークをやっていないのであれば、今回だけでも良いので、ぜひやってみることをお勧めします。

 理由は、実際にワークとして実践してみることで、自分の考えがまとまってくるからです。なので、頭の中で考えるだけではなく、実際にワークで考えたことを書き出してみて下さい。

 他の人に見せるためにやるわけではありません。自分のためにやるわけですから、いくつか書いてみてもいいのです。きれいに書かなくてもいいし、考えが上手く文章に出来なくてもいい。それでも、書き出してみて下さい。人によっては、鮮明に、人によってはおぼろげに、ぼんやりかもしれませんが、少しずつ自分のライフワークが、どのようなものか徐々に明らかになっていきます。

 仮に1回目で上手くいかなくても、心配しなくて大丈夫です。何回かやっているうちに、ちょっとずつ見えてくる部分が増えていきます。コツは、ワークをやっていく過程を、楽しむことにあると思います。過程を楽しむことで、得られる結果もよりよりものになると考えられます。ぜひ読んで見て下さい。

 3冊目は、J.D.クランボルツ『その幸運は偶然ではないんです!』(ダイヤモンド社、2005)です。本書ではエピソードを中心に、そのエピソードから得られるアドバイスを記したものです。

「一時しのぎで口にした職業の名前に縛られる」という項があるのですが、これはあなたも経験があるかもしれません。

 簡単に言ってしまうと、幼稚園から始まり大学に至るまで、大人から聞かれる「将来何になりたいの?」という質問です。これに対して、幼稚園や小学校くらいであれば、宇宙飛行士とかプロ野球選手など、なるのが難しい職業を言ったとしても、それで済まされます。

 しかしながら、それが中学生以上になってくると、なるのが難しい職種には、現実的には厳しいとか言われ、公務員とかにしておいた方がいいなどと、見当外れのアドバイスを受けることになります。地域の住民のために役に立ちたいという志から、地方公務員になりたいと考えている人ならば問題ないのです。

 ですが、本当はある職業(なるのは難しい職業)に就きたいと考えているのに、批判を受けたり、見当外れのアドバイスを受けたりするのを避けるために、公務員になると言っているのだとしたら、それに縛られない方が良いということです。

 本書での例を紹介すると「教員になるために勉強を続けてきたが、就職難で教員になれず、アルバイトで入った不動産金融会社で出世する話」や「長年心理学を勉強して臨床心理士試験を受けたものの、試験が不合格になり、そこからたまたま大学の新入生のサポートに参加した時に大学経営に携わる決心をした話」などがあります。

 あなたが挑戦してきた人であれば、こういう失敗があることも理解できると思います。せっかく勉強してきても、失敗したり大きく挫折したりしてしまうことは、どうしても避けられないこともあります。そんな時、自分のやってきたことにこだわってみるのも一つの方法です。

 けれども、本書ではどちらと言うと、チャレンジして失敗してしまったら、方向転換も一つの選択肢ですよ、と呼びかけている側面が強いです。

 もしあなたが、同じような経験をしていて、迷っているのだとすれば、参考になる部分も多いかと思います。また、自分がこういう方向性で進んでいくことを決めている人であっても、失敗してしまった時や挫折してしまった時に、どう立ち直っていくかという部分で、参考になります。

 いかがでしたでしょうか。あなたが、どういう人生を過ごすかということを、仕事を通して考えてみるきっかけになればと思います。

 

 

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