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教師の仕事がブラックだなあと思ったこと パート2

2つ前の記事で、「教師の仕事がブラックだなあと思ったこと」を7つ
つらつらと 書きました。
自分では、あれ、1話完結のつもりでした。
が! なにせ 現場が長いもので、「あ、そういえば あんなこともあったわ。8つ、にすればよかった」「あ、こんなこともあった、9つ、にすれば・・・」そんな調子で 脳内で次々とネタが掘り起こされています。

というわけで、今回は8つめを紹介します。
今回から、ネタナンバーつけることにしました。
何番までいくのか 自分でもわかりません。。。

【⑧ ひっそりと 体を張る】
1年生の担任をしていたときの話。
ある日の休み時間。
「職員室に プリント取りに行ってくるね。」と言って 2,3分後、教室に戻ってきた瞬間、
「ドスッ!」
「ぐにゃり」
「ヒーッ!」。
解説しましょう。
★ドスッ:
 戻ってくる私をびっくりさせよう、と 陰に隠れて にゃにや(たぶん)しながら待っていた 元気いっぱい男児 J君が、「わっ!!!」と言いながら「ドスッ」と私の腰あたりを 両手で なかなかの力で押した音。
★ぐにゃり:
 突然 押された衝撃で、私の首から足までのラインが、きれいな(?そう?)S字になって つんのめり 頸椎が・・・。
★ヒーッ!:
その晩から ひどい頭痛に苦しみ、首は動かなくなり、ヒーヒー言いながら病院へ。ヒーヒー言いながらの治療に耐えたのでした。
労災認定。

もちろん J君には、「ドスッ→ぐにゃり」のときに、その場で指導しました。
「ふざけて ドンしただけって わかってるよ。
でも、先生は 体がとっても痛かったよ。
人の体は ちょっとしたことで すぐに壊れてしまうものだから、
いくら ふざけていても、いじわるじゃなくても、たたいたり けったり 今みたいに押したりしてはダメ。」

さて、ヒーヒー治療を受け、翌日 首にコルセットを巻いて出勤した私を見て こどもたちは目を真ん丸にして びっくりしていました。
ドスッ現場に居合わせなかった子どもたちは、
「ねえねえ どうしたの?」
「それ、痛いから してるの?」
「ホネ折れたの?だいじょうぶぅ?」
口々に言って心配してくれます。
そりゃ、いきなり こうなったら 気になるよね、
子ども同士でも起こりうることだから、今後の安全指導にもなるし、
誰が・・・なんてわからないように 一般的な話として言うか。と考え
さらっと話しました。
「人とぶつかって 骨が少し歪んじゃってね。
今、病院で治してもらってるんだよ。
しばらくは 後ろから せんせー!って呼ばれても 振り返れないし、
下も見れないから みなさん よろしくね」
「人間の体って、ちょっとしたことで壊れてしまうんだよ。
だから、どんな時でも 誰かを蹴ったり たたいたり 押したりしてはダメだよ」

その日、ずっと 私と目が合わなかった J君。
いつもは うるさいくらい(あら失礼)、「ハイっ!ハイっ!」と手を挙げて発表したがるのに とっても静かでした。
そんな彼の曇った顔に こちらも心が痛んで(首も痛いが)
帰る直前に 彼を呼び止めました。
直立の首のまま しゃがんで こっそりと
「J君、先生 だいじょうぶだよすぐ治るから。」と言うと、
目に涙をいっぱいためて、
「せんせい、ごめんなさい」と言ってくれました。

もちろん まだ善悪の判断があいまいな 小さなこどものしたことですから、許していて
❝あとで 笑い話になるわ❞と考えて 治療に励む当時の私でした。

でも。
続きがありました。

その2,3日後 学校行事で保護者の参観がありました。
ママさんたちからも、
「大丈夫ですか」と心配いただくたびに、直立不動の首で「大丈夫です。ありがとうございます。」
「どうなさったんですか?」と聞かれるたびに、直立のまま 「いえいえ、ちょっと、」と半笑い。
J君パパも、そんな感じで 「あれー、せんせい、どうしたんです?車、やっちゃいました?(笑)」
J君は、お話していないんだな と察し 
「いやー・・・(車、では ない)」
少々複雑な気持ちで 半泣き・半笑い。
「では、せんせい、おだいじにー」
「あ、はいー」(・・・ヤス子さん?)

そんな様子を見ていた他の先生たちからは いろいろ意見をもらいました。
・あなたのお子さんが、と事実を伝えても良いのでは?
・あなたのお子さんが、とは言えないしねぇ・・・。
・こういう仕事だから しょうがないよね。わたしも 似たようなことあったよ
などなど。

翌日の夕方。
思いもしなかったことに、J君パパ・ママ・本人の3人が私の所に
来られました。
J君が、ママにお話ししたそうです。
パパは、事情を知らず 車ですか~、なんて笑っていてお恥ずかしい、申し訳ない、と何度も謝罪されました。
せめて治療費を払わせて、とも仰っていました。
(もちろん、労災としていただいているので 大丈夫とお伝えしました)
 
ふだんから、教育熱心なパパで ちょっとこわいよ、なんてJ君が言っていたこともあって、パパには、
「きっとすごく言いにくかったことなのに、勇気を出して おうちの方に伝えたことは すごいと思う。私の姿を見て 言わなきゃ、と気持ちが動いたのは J君が優しいからこそ。私からもきちんと指導はしてありますから、あまりきつくは叱らないあげてくださいね。彼はもう十分わかってます。」
みたいなことを伝えました。

1年生だったJ君は、今頃 善悪の判断が的確にできる、気持ちの優しい青年に成長しているんだろうな。

はっ!!!
タイトルは「ブラックだなと思ったこと」だったのに、いい話になってしまってないか!?(自画自賛)
では、軌道修正いたしましょう。
ブラックなのは、話の前半。
首がひん曲がっても、なんも言えねえ、(あら・・・言い方・・・)
黙って静かに 体を張る教師の仕事、という部分です。
前回の記事の【だれも守ってくれない】ネタ話にも共通していますね。

ただ、結果オーライ!
今となっては、予見通りに笑い話。
記事のネタにできる日がくるなんて。よかったよかった。
 そして、子どもの勇気と優しい気持ちから得た感動。
教職って、こういう瞬間があるから おもしろい、と感じた私です。
 




 

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