『資本論』 第2回 価値形態と商品・貨幣の物神的性格

第1部資本の生産過程 第1篇商品と貨幣 第1章第3節
2.価値形態(貨幣の成立)
◯価値形態 → 価値を目に見えるようにすること
貨幣が商品同士の交換からどうして生まれたのかを考察
価値通りの交換が前提(需給関係の変動による市場価格対象外)

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・小麦が無数の使用価値と等値されることにより、小麦の価値は
  使用価値の特殊な形態とは全く無関係なもの
・x量の小麦にとって等価形態にある綿布、鉄、茶、上着は相互
 に何も関係がない
            ↓
     各種商品に共通する統一的、一般的な価値表現が
     欠けている

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・あらゆる商品をある一つの商品(小麦)の一定量で表現できる
          ↓
・ある一つの商品(小麦)が自分以外のあらゆる商品の価値を統一的・一般的表現してやる特殊の役割をはたす
・ただ一つの商品(小麦)のみが等価形態=一般的等価形態=一般的等価物として機能し排除される 
          ↓
 その他の商品とは異なる性質をもった商品であるかのように現れる

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・貨幣形態は一般的価値形態と本質的な相違や変化はない金が一般的等価物になっただけ
 一つの商品が一般的等価物としての機能を、社会的な機能として独占するようになると、その商品は貨幣とよばれ、価値表現の形態は、貨幣形態とよばれる。
これは、このような理論的な考察で金が一般的等価物の地位を得たのではなく、商品交換の実践を通じて金が貨幣となったのである。
■参考 金が貨幣となるのは
・金が商品であり一般諸商品と同じように労働生産物としてそれ自身の価値をもっている。 
・一般等価物としての機能をはたすのにもっとも適した自然的諸属性をもっている。
・すべての部分が均質で容易に分割、合成できる。
 ・半永久的に変質・腐敗しない。
・少量に1単位が多量の価値をもっているため多額の価値表示や運搬、保管に便利。

第1部資本の生産過程 第1篇商品と貨幣 第1章第4節
2.商品・貨幣の物神的性格
 人間自身の頭脳の産物である神が、人間から自立して逆に人間を支配するようになることと同視する商品生産社会(資本主義社会(産業資本主義)と 単純商品社会)
 生産・分配において人間と人間とが取り結ぶ関係が、直接現れず,物と物との関係として表れ、労働生産物にすぎない商品や貨幣が、神秘的な属性をもったものであるかのように現象する。
 労働・生産における人間と人間の社会的関係、個々バラバラとなる 。
 本来の主体である人間=生産者から独立して、商品が社会的関係を取り結ぶ主体となる

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 商品の価値の担い手である抽象的人間労働、交換比率が消えて、価値が労働生産物である商品に初めから備わっているものとして見える。価値の大きい商品は素晴らしいと。   商品の物神的性格
 
金も他の商品と同じように労働生産物であり、抽象的人間労働が対象化されて価値となる。しかし金は生まれながらに貨幣であり、すべての商品を入手できる特別な力をもち、ほしいしすばらしいと。    貨幣の物神的性格

 ◯参考にした書物
常磐・井村・北原・飯田『経済原論』(有斐閣ブックス)
宇野弘蔵『経済原論』(岩波書店)        
                            以上

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