セコムしてますか

通学路に大きな家がある。家というかお屋敷と言った方が適切かもしれない。門から覗き込むと、手入れの行き届いた美しい庭が見える。建物も複数棟建っているようだ。莫大な財力を感じるけれど、どこか品性のある佇まいが素敵だ。

 こういう階級の家ともなると、警備も万全だ。セコムしている。セコムしている家には、「セコムしてますよシール」が貼ってあるけれど、この家のは異様にでかい。一辺が２０ｃｍくらいあるのだ。しかも、金属製のプレートになっていて壁に固定されている。普通の家のセコムしてますよシールがGK川島ひとりぶんくらいの警備だとしたら、この家には川島が１１人くらいは潜んでいそうである。

そこから徒歩５分くらいのところに、その豪邸とは対照的な、棒で突いたら崩れそうな店（失敬）がある。一見、泥棒に入るのも簡単そうな感じだ。しかし、その店の勝手口には、小さいけれど確かに例のシールが貼ってあるのである。これには驚いた。セコムは極めて難しい任務も背負っているらしい。

そうやって近所を見渡せば、あっちもセコム、こっちもセコム。泥棒も大変だ。でも、セコムのシールなんかよりも、「犬」のシールがやたらと何枚も貼ってある家が恐ろしいのは私だけだろうか。