[BMS譜面] LN譜面をつくる
まずは下の動画を見てみましょう。
普段から発狂譜面をやっているような方でも手が止まる譜面ですね。発狂譜面とはまた違った面白さがあって、楽しい譜面もいっぱいあるので、とりあえずLN難易度表を導入するだけでもしてみませんか?
プレイするにも技術が必要で難しいですが、作るのにも技術が必要で難しいと思います。この記事ではその作り方を自分なりに解説したいと思います。
実際のところは、作る人があまりにも少ないと思ったのでこの解説記事を作っています。記事を見て制作の一助になれば幸いです。
対象読者は普段から譜面を作っていてLN譜面を作りたいという人です。ただし、BMSをやっている人の読み物にもなると思うので、ぜひとも気軽にお読みいただければなと思います。
1 考え方
1.1 LNの終点
長押しするノーツというものは、本家だとCN(HCN)がありますね。CNは終点で離す必要がありますが、LNは終点で離す必要がありません。またBMSは判定が緩く特に終点は早めに離してもミスにならなかったりします。そういったことから本家より複雑な配置を置かれることが多々あります。
※ただしNORMAL判定以上では話が変わります。
自由に譜面が作れるからこそですが、上の画像のように音の終端とノーツの終端が一致しない配置にもできます。この場合、一個ずつ終点で離すよりも適当なタイミングで一気に離す方が楽ですよね。こういった見た目重視の配置も難なく押せるからこそ楽しいのであり、事情の違う本家ではなかなかできない配置でしょう。
またBMS特有の配置として終点で押し直しをする配置もあります(本家でもありそうですが、ほとんど見ない気がします)。プレイとしては離して押す動作がいる分だけ普通のノーツよりも遅れ気味になりがちです。
LN譜面ではカーテンや穴抜きの最後でLNを終わらせるのによく使います。
1.2 LNのつなぎ目
基本的にはLNの長さは音の長さ通りにするのが一般的でしょう。
ただし、終点と次の音とが重なる場合には多少工夫が要ります。次の音と同位置に置くことで音がつながっている感じが出ますが、意外にこれが認識しづらいという欠点もあります。
なのでよくあるのが、次の音の8分~16分前に終点を置くということ。こうすることでか認識もしやすくなり、プレイもしやすくなります。ただしLNとLNが離れていて、音同士がつながっている印象が無いという見た目の欠点があります。
見た目も気にしたい、けどプレイ感も気にしたいという方は開始の32分~64分前に終点を置いてみましょう。見た目とプレイ感のハイブリッドで欠点はあまりないと思います(強いて言えばずらすのが面倒くさいところ)。
1.3 LNと密度
普通の物量譜面とそこにLNを入れた譜面、同じ密度ならLNを入れたほうが難しいのはお分かりだと思います。LNを入れて難易度を統一したい場合、密度にある程度調整が必要です。LNを入れれば入れるほど、密度も減らしていくべきでしょう。
どのくらい減らすべきというのは実際にプレイして感覚で調べるしかありません。そこで、一つの指標としてLNを8分軸に変換してみることをオススメします。LN1本でそこまで違うのかとお思いかもしれません。そもそも発狂譜面とLN譜面は別物ですので、慎重に吟味しておいて損はないでしょう。
2 分析
この項から実際にある譜面からどういったLNの配置があるのか分類、分析していきたいと思います。おおよそ下に行くほどLNが増えていく構成です。
譜面の画像はBMS Score Viewer様からお借りしています。いつもありがとうございます!
2.1 LN単体
1本長いLNを置く。本家でもAlmagestがある通り、最もメジャーな配置だと思います。王道である以上面白味は少なく、LNというより発狂の地力が必要です。また押しっぱなしにしている鍵盤がある都合上、打鍵感が弱いという欠点もあります。ですのでこれだけでLN譜面だというのは少し弱い気がします。
メロディに合わせてLNを置く配置。特徴の項でも述べた通り軽く押しているだけで繋がったりするので比較的見られる配置です。特にメロディーが大量のノーツに埋もれるという事態を避けるために、LNを使って目立たせることがあります。メロディーを叩いてるので打鍵感があるところも注目すべき点でしょう。
2.2 LN乱打
8分や16分といった短いLNだけで構成した譜面。本家でいうEROICA(?)。LNの地力というよりは、発狂の地力が必要ですが、見づらくなる分だけ難易度が上がります。基本的にはメロディーのLNと同じように特徴のある音を強調するために使います。
本来の音の終点より少し長めにLNを配置した譜面(よく見るのに名前が無いので勝手に後ずれ配置とか呼んでます)。早めに離すとBADが出るようなミスを誘発する配置です。LN特有のちょっと長めに押すことが大事になってきます。ただ終点に関してはそこまでシビアではないので、地力がある人なら意外に繋がると思います。
2.3 LN複合
1本でもLNとしては派手さはあると思いますが、足りないというときはLNを2重3重にしていくことあります。ただし、1本の時と比べて格段に難しくなるので難易度に注意しましょう。
ロングトーンのLNにメロディーのLNを合わせるといった複合的な配置もあります。上記のいろいろなLN要素を合わせていくことでLN譜面らしい譜面が作れると思います。
曲が混フレになっている場合、バラバラのリズムでLNを押したり離したりすることがあります。LNの押す離すタイミングに差をつけることを時間差と言います。発狂ではなかなかできない一味違ったプレイ感が味わえるので積極的に取り入れていきたいですね。
2.4 LN形譜面
すべての鍵盤でLNを置く配置。本家でもECHIDNAがやっていますね。押し直しがなければ順番に押していくだけなので低難易度でも使えますね。一気に離すのもいいですが、終点をずらして形を整えたり、押し直しのノーツを置いたりしてLNを終わらせるののも手なので覚えておくといいでしょう。
階段状にLNが配置されている譜面。見た目重視な配置でLN譜面ならではの難しさがあります。押しにくいがためにランダムで崩されることもあります。
LN譜面は発狂譜面よりも正規、鏡でプレイされやすいと思います。きれいな配置にすることが多いですが、ランダムの使用を考慮しておくといいかもしれません。
2.5 カーテン
カーテンとはLNが複雑に何本もある状態を形容した言葉で、高難易度のLN譜面によく見られます。後述の穴抜き譜面のことを指すこともあります。
全部の白鍵をLNにする配置。逆に黒鍵をLNにすることもあります。LN譜面としての難易度は上がりますが、全押しの穴抜き譜面と比べたらLNの地力はいらないと思います。
ただし、LNとLNの合間に普通のノーツが混ざってくるとかなり難しくなります。そうなるとほとんど穴抜き譜面と変わらない難易度になります。
左手側(1234)か右手側(4567)すべてをLNにする配置。片方は押しっぱなしで、もう片方は離した状態でいられるのでこれも穴抜き譜面ほどの難易度はないと思います。ただし1P2P有利が露骨に出るので左右均等に配置したほうがよいでしょう。もしくは4列じゃなくて3列にして4鍵のLNが邪魔にならないようにすることもあります。
1バスに他6列すべてLNにする配置。全押しの穴抜きとほとんど変わりませんが、難易度はちょっとだけ易しくなっているとかいないとか。1バス以外にも1P2P有利が出ないように7バスや4バス、または2列削って1バスと2スネアといった配置など様々に使えます。
2.6 穴抜き
穴抜きとは全押しのLNに穴の開いたような部分がある譜面を指します。LNをとにかく入れていった最終的に行き着く先。この穴の開いた部分で離してすぐ押し直します。究極的にはどんな譜面でも穴抜き譜面になりえますが、その分難易度も高くなります。ですのでLNの密度を減らして押しやすい部分も作るのが妥当でしょう。
穴抜き譜面はよく数小節に渡って続きます。ただし全ての鍵盤を押しっぱなしにするのは指の負担が大きく、あまり長すぎると疲れやすくなります。ですので適度に離せるような区切りを入れるといいでしょう。8小節に1度入れるだけでもかなり違います。
実は穴抜き譜面はほとんど手間なく作れます。
1. 穴抜きする部分のノーツをコピペする。
2. コピペしたノーツを下にずらす。
3. コピペしたノーツをLNOBJに指定した番号に置換する。
これだけですぐできますので、ぜひ試してみてください。
余談ですが、穴抜き譜面の中でも隣接2重階段といった配置がある譜面をzindy譜面と言います。ぶっちぎりで難しいのですが、LN表の譜面の中にも何故か取り入れてる譜面が多くあります。
ちなみに元はO2JamのFantazindyだそうです[要出典]。
これで一通りのLNの配置を見てきました。ここで冒頭の動画を見直してみましょう。最初見たときはでたらめにLNを置いているように見えたかもしれません。しかし、配置を知った上で見てみるとほとんどが上述の配置でできているのが分かると思います。すべて意味があって置いていることをささやかな気づきにしてほしいです。
3 実例
LN譜面はプレイしていないと分からないことが多いと思います。とにかくいろんな譜面をプレイしていただきたいのですが、どの譜面がいいのかという疑問があると思います。そこでまずはLNの段位認定にある譜面をオススメします。自分のレベルにあった段位だけでもやってみるといいでしょう。
今回はその中でも特に見てほしい、おすすめの3譜面をご紹介します。
3.1 ◆6 Blooming [Elysian]
譜面を見る(BMS Score Viewer)
LN四段1曲目。全LN譜面の中でも特におすすめしたい譜面です。私個人プレイしていて一番楽しいLN譜面だと思います。打鍵感のあるメロディーLN、普通のノーツとLNとのバランス、混フレによる時間差など楽しい要素が多くあります。参考にすべきお手本のような配置の見本市だと思います。
3.2 ◆10 星蝕セクエンス [LN-yumether]
譜面を見る(BMS Score Viewer)
LN六段4曲目。低難易度帯で貴重な穴抜き譜面枠。始めこそ普通のLN譜面ですが中盤から穴抜き譜面が始まり、片側カーテンを経てサビは穴抜きに戻る構成です。密度差がかなりありますが、これでも穴抜き部分の方が難しいとか。密度差の1つの指標として見ると面白いかも?
3.3 ◆15 fushigichan [SGE-therLN]
譜面を見る(BMS Score Viewer)
LN九段4曲目。ふしぎちゃんの名に恥じない遊び心満載の譜面になっています。1本LN、2本LN、穴抜き、混フレ、形譜面などLN要素をほとんど網羅していて、どんどん配置が変わっていくのでやっていて飽きない譜面です。その分地力が必要で、曲に対して譜面はボスの威厳があるのだとか。
4 注意点
最後に細かい注意点やら溢れた話題やらを Q&A の形式で述べていきます。
どんな曲がいいの?
基本的に特徴的な音があれば、大体の曲がLN譜面になりえると思います。もちろん曲によって得意不得意があります。メロディーが映える曲では低難易度帯でLN複合な譜面を、16分の細かい音が鳴っている曲では高難易度帯で穴抜き譜面をといった具合ですね。
LNに使う音も考えるべき点です。LNを使ってメロディーなどを目立たせたいのに終始LNを使っているとかえって目立たなくなることもあります。もしくは終始穴抜き譜面でも同じことが言えます。ここぞというときにLNを使いLNの密度にメリハリをつけるのもポイントです。
LNTYPE 1とLNOBJどっちがいい?
慣れている方、好きな方を使いましょう。
ただしどちらかで統一していないとLR2ではバグの元になることがあるので注意しましょう(iBMSC系統のエディターではLNOBJが指定されていないかチェックしておきましょう)。
こういう配置はいいのかな……?
LN自体が癖要素なので、配置は癖を少なくすることをオススメします。
たとえば軸や縦連、腕押しするような配置は発狂譜面以上に押しにくくなるので避けたほうが無難です。ただしアクセントとして入れる程度でしたら問題はないでしょう。無論、高難易度では当たり前のように入ってくるので作る譜面の難易度帯と相談しましょう。
次にLN中の皿は、コントローラで遊ぶ人を考えて除くようにしましょう。1P2P有利な皿もできるだけ避けましょう。ただし高難易度ではその限りではありません。LN難易度表ですと◆10を超えだすと皿が混ざるようになり、◆15以上だともはやLN中に皿が回せて当たり前になってきます。もちろん高難易度でも皿を除くのもアリです。
また皿LNも入れるときも適切どうか判断しましょう。カーテン中に皿LNはよほどの配置じゃない限りコントローラには不可能なので御法度です。皿LN中に普通のノーツはDPの地力が問われますが、LN譜面ではある程度受け入れられているので、あえて入れてみてもいいかもしれません。
練習方法は?
少し話がそれますが、できた譜面はきちんとテストプレイをしましょう。どんな譜面でもそうですが、一通り出来上がってからが本番です。認識しづらい、押しにくい、疲れやすいといった悪目立ちする部分を削るだけでもしましょう。プレイヤー目線に立つことを忘れずに。
テストプレイができるようになるためにもとにかくいろんな譜面をやりましょう。譜面のアイデアをインプットするという点でも触れていくことが大切だと思います。LN表で足りないと思ったら他の難易度表も導入してみましょう。オススメは以下の3つです。
・LN表外難易度表(◇)
・LNを片っ端からプレイする(¶)
・穴抜き色々(∮)
LR2限定ですが曲選択画面でF2を押すことで現れるマニアックオプションの中に"ADD LONGNOTES"という項目があります。値を100%にすることで簡単に擬似穴抜き譜面ができるので、練習にうってつけです。
これで以上になります。長い記事になりましたが、最後まで読んでいただき本当にありがとうございました! 分からない点などがあればどこかしらで質問していただければ答えると思います。
最後になりますがLN譜面をもっといろんな人に楽しんでいただきたいです。この記事がLN譜面の足掛かりになればなと思います。ではではー。