ぼる塾はすごい。

人によって態度を変える(距離感を変える)という笑い。
志村けんが美人とそうでない人への態度の対比をコントにしていた様に。
上司には媚を売って部下には横柄な態度をとったりする人を表現する笑いが昔からある様に。
日常のあるあるとして笑いに用いられるものなのだが、ぼる塾はそれを漫才に落とし込んだことがすごい。
酒寄さんが育休を取ることになり3人で漫才をやることで生まれた偶然の産物かもしれないがすごい発明だと思う。

ぼる塾は丁寧に関係性をフってからネタに入る。
「あんりとはるちゃんは幼馴染で同級生。」
「あんりと田辺さんは食べ放題仲間で年齢もかなり離れている。」から始まり、はるちゃんが「美容師に恋しちゃった。連絡先も交換しちゃった。」と言うとあんりは「やめなよ。美容師なんて。連絡先の交換だって美容師にとっちゃただの営業だよ。」と否定的な事を言う。それから田辺さんが「私も最近、お気に入りの美容師と連絡先交換したわ。」と言うと、あんりは「でかしましたね〜。」と微笑む。

幼馴染のはるちゃんへの言葉はキツイけど距離の近さ、親密さ、本心を感じる。対して田辺さんには優しい言葉だけど距離の遠さと小馬鹿にした感じがある。(田辺さんの漫才の中での鈍感さも良い。)
この絶妙な距離感を表現した漫才に衝撃を受けた。桂枝雀の言っていた『笑いとは合わせと離れ』を思い出した。

ボケとツッコミというのではなく完全にキャラクターのパーソナリティーで漫才をやっている。ので最初から完成してしまっている感じもする。

だが、これからどうなっていくのか。年を重ねたり、恋人ができたり、4人になったり、また誰かが育休を取ったりとその状況で色々変わるだろう。今の形からどう変えるのか楽しみ。

今、バラエティでも活躍していて、あんりのいじられた時の返しの強さや、やりたくないことはやらないというスタンスも良い。

漫才やバラエティで新しい価値を提案しているぼる塾はすごい。


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