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Netflix「ハーフオブイット」ネタバレ感想,考察①伝えること

こんにちは、ティーン映画が大好きなコブシです。

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"(「ハーフオブイット 面白いのはこれから」より引用)


星の数ほどありそうなティーン・ラブコメディ映画ですが、最近はNetflixオリジナル映画が熱いですね。

今回は、Netflixオリジナルの新着映画「ハーフオブイット 面白いのはこれから」を観たのでつらつらと思ったことを書いていきたいと思います。


上述したとおり、私はティーンの青春映画が好きですが、ぶっちゃけ当たりはずれが激しいですよね。

思春期の若者の心の葛藤とか、成長、家族や友だちとの人間関係とか、、、
映画で描かれるとすごい儚くて美しく表れるんですよね、、、良い。

ただし中には、チャランポランただのイチャイチャ映画もあります。

いつも一抹の不安を感じながらも観るのですが、「ハーフオブイット」は評価も高く、期待して観ました。
が、予想以上の脚本の良さに大満足でした!
(前置きが無駄に長くなってしまいましたが、、、)


◇感想◇

基本はよくありそうなラブコメディですが、哲学と絡め、ウィットに富んだストーリーと丁寧なキャラクター描写で、退屈しない深みのある作品でした。

この映画は、「愛」、そして、「言葉で伝えること」について考えるきっかけになりました。

気持ちを言葉にして伝えるって、会話では基本的なことだけど、一番むずかしいことですよね。作中で、「伝える」っていうことに関していろいろな描写があったと思います。以下にいくつか列挙していきます。


「伝える」ことの難しさ

・エリーパパの外国語という壁
エリーパパは英語が苦手で、仕事や生活にも支障がでてしまっています。母語が違いから生まれる意思疎通の困難さは、容易に想像できますし、私にも思い当たる節がいくつもあります。

・ちょっとおバカなポールの口下手
同じ言語を使っているのに、思ったように通じ合えないことってありますよね。物語の前半、ポールとエリーが車の中で初めてお互いの家族について話すシーンで、エリーがパパの仕事が英語力が問題になっていることを明かしたときにポールは、「僕も英語は苦手だ。」と言っています。エリーもそれに同意していて、ポールはアスターの前だとうまく言葉がでてこないし、アスターに惹かれることについて簡単な言葉でしか言い表せていません。

・文面だと口達者なエリー
ポールも口下手ですが、エリーも口下手ですね(笑)学校での様子からしても内気で、会話を楽しむようなことはなさそうです。メールや手紙だと、ちょっと駆け引きしたり、ひねった表現で工夫していますが、彼女もエスターの前になると口数が途端に少なくなります。


言葉以外で「伝える」

反対に、言葉で表さなくても伝わることもあります。

・絵
絵には、描いたひとが訴えたいこととか、描いた人の感情や気持ちが表されますよね。作中では、文通している時に、ひと描きごとに足していって絵にするシーン(おしゃれ!)や、アスターがポールに絵をプレゼントしたり。

・表情
ポールがつくったタコス・ソーセージを食べるシーン。エリーもパパも何も言いませんが、美味しいということが伝わってきますね。(食べたい!)ポールも二人が気に入ってくれたことが分かって嬉しそうです。
また、ポールがアスターにキスしたと聞いたエリーが、なぜキスしたのか聞くとポールは、「そういう表情がある。」と答えます。アスターの時は成功したようですが、エリーへのキスは完全に読み間違いでしたね(笑)

・音楽
エリーは学校になじめず、友だちもいないようでしたが、学芸会での弾き語りには大きな拍手が送られ、二次会では今まで話したことのない人に話しかけられたり、輪のなかに入り楽しく過ごせていました。

・エリーとエリーパパの関係
エリーパパのセリフは登場回数に比べてめちゃくちゃ少ない(笑)寡黙なお父さんです。エリーとの会話も数回のやりとりですが、エリーパパのエリーに対する愛情はありありと感じ取れます。ソファで並んでテレビを観るときや、餃子をつくる時の距離感がいいですよね。欧米人のようにハグやキスもしないし、愛してるよなんて言わないけれど、しっかりと強いつながりを感じます。
(可愛いエプロンをしながら餃子をつくるパパをみて、ガリ勉で料理なんかしなさそうなパパは、ママが亡くなってから苦労したけど、エリーを大事に育ててきたんだなって勝手に想像して泣く(T_T))

・エリーパパとポール
この二人の無言のシーンもいくつかあります(笑)交わす言葉は少ないけど、確実に仲良しになってる(笑)ポールがお肉を届けにきたシーン。ポールはエリーパパに「本当の彼女が見えていない」とたどたどしく曖昧な表現で言います。(英語だともっと曖昧な言い方な気がする)エリーパパは中国語で語り始めますが、ポールはもちろん理解していないでしょう。でも二人は確かに通じ合っているようでした。



ポールとエリーの対比

主要登場人物のふたり、まさに正反対のキャラクターです。行動、考え方、伝え方、すべて真逆です。印象的だったのは、ふたりがテレビで男女が列車でのシーンを見ている場面。走り出す列車を追いかける男を見て、エリーは「陳腐でばかばかしい」と言いますが、ポールは「素敵だ」といっていて、正反対のふたりの組み合わせは面白いですね(笑)

直観・ストレートなポール ⇔ 熟考・婉曲的なエリー
(まっすぐ走るのは得意なポール)


ポールがアスターに告白する前、エリーは絶対にうまくいかないと思っていました。車から様子を見ていたエリーは、ポールのモジモジさにしびれを切らしてアスターにメールを送ります。何も状況が読めないポールの思いは爆発して、突然立ち上がり好きだと伝えます。「うまく言えないけど、好きだ」、と。

やっちまった!とエリーは失敗を確信したでしょう。しかし、結果は違いました。不器用ながらもまっすぐなポールの思いは、アスターの心に響いたのでしょう。

凝った表現を使わなくても、細かい説明ができなくても、ストレートな言葉のほうが時にはより伝わるのかもしれませんね。



まとめ

少し長くなってしまいましたが、私が映画のなかで見つけたいろいろな「伝える」の形を書いてみました。

けっきょく大事なのは、
自分自身の言葉で正直に伝える、ということなのかなと思いました。

それがたとえ言葉たらずだったとしても、列車を追いかけるくらいおバカなどストレートさのほうが届くのかもしれません。

終盤の教会でのシーン。ポールとエリーは偽っていたことを告白します。

初めての代筆ラブレターでは映画のセリフを代用したり、映画のなかから恋愛について研究したり、それまで、エリーが恋愛に関して自分の意見を言うことはありませんでした。

エリーは教会で初めて、「愛とは」についてエリー自身の言葉で語ります。

Love is messy and horrible, and selfish, ... and bold.

"BOLD"「大胆」については、次回②でまた書いてみたいと思います。


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