出会い系で会った男その5

暑い夏の夕暮れ時…

オフィスビルとビルの谷間の遊歩道

「もしかして、、まあまあさん?

あ、初めまして 光一です

えーっと

お腹すいてないよね?

とりあえず、社の人に見られるとマズイんで、あっち行きましょうか?」


は?

夕暮れ時だぜ?

とりあえず、ご飯からじゃないの?
奢れとか言わないし
高いところ行けとか言わないけど

それに、自分の仕事先の近くを指定したのはそちらだろう

何を今さら、見られたら?

…こんな愚痴愚痴の第一印象から始まった光一との夜

いやな、予感はしていた

でも、もしかしたら?
という
期待を持っていた私は青かったね

熟熟の熟女のクセに

身も心も青くて酸っぱい黄色いさくらんぼ~~♪みたいだったわ

沈みゆく夕陽を見ながら
みなとみらいの後ろ側の公園を

ゆったり歩きながら
話したの


「そこに座りませんか?」と

海に面したベンチを指差す光一

はぁ?
喉、渇いてんすけど

しかも蒸し蒸しに暑いんすけど
まさかの
屋外トークですか?

などという言葉は全て飲み込んで

「あ、ちょっと飲み物買ってきます、そこの自販機で」と

脱兎のごとく
いや、忍者みたいなイルージョンで
缶コーヒーをゲットして現場に戻りました、素晴らしい気遣い!自画自賛!

光一「あ、、すみません。お金、、払います」


…本当に、そんな気持ちがあるなら
今すぐ屋内へ行きましょう

せめてこの汗だくではない環境で話したい

という心の声は届かず


クソ暑い←ピー!放送禁止用語

ベンチに並んで缶コーヒーすすりながら

お互いの仕事やら家族構成やら
出会い系に登録した経緯やら

小一時間、いや小ニ時間近く話しました

もうおばちゃん、暑さでくらっくらっして
途中から記憶ありませんけど


しかもあたりは暗くなって

並んで座ってるからお互いの顔も見えなくて

なんていうか

暗い夏の海に向かって

一人ずつ独白してるって感じ

ああ、高校時代、演劇クラブでの活動、思い出しちゃうなって


いや、正にこのシチュエーションは高校生
いや、今日び、もはや中学生だってスタバしばくやろ


そろそろ帰りましょう、と私がうながして二人して立ち上がり
歩き始めに、ちょっとよろめいた←よろめくよ、暑くてめまい起こしかけた

光一の肩にちょっとぶつかって

「あ、ごめんなさい」というと

「いや、大丈夫?」

大丈夫じゃない理由、あなたにわかりますか?わかりませんかー?

「なんか、こういうのいいよね~」と

ひとり悦に入る光一…


缶コーヒー一本だけでは足りない水分と糖分
21時近いのに何も食していない私は

マトモな思考回路を持てぬまま帰路についた


で、すかさず光一から
メールが…


「なんだか、高校生みたいな初々しいデートで感激でした

最後に、肩が触れ合って
ドキドキしちゃいましたね

またお会いしたいです」

( ̄▽ ̄)

もうね、ボタンのかけ違いとかいうレベルではない

息をしてる時空間が違いすぎる

確かお互い45歳は過ぎてましたよ、、この時


「楽しい夜をありがとうございました。
光一さんには、私なんかよりもっと素敵な人が似合いますよ」

と返してジ・エンド


追伸
「次のお相手には せめて水分補給だけはさせてあげてね、出会いに幸あれ!」

今でもあの夜を思い出すと

すっごい喉の渇きを覚えます


ある意味記憶に残る出会いでした