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薬剤によるB型肝炎ウイルス再活性化リスクについて

近年の抗悪性腫瘍剤や免疫抑制剤とその適応疾患の増大に伴い、 クローズアップされることが多くなりました。

B型肝炎ウイルス(Hepatitis-B virus:HBV)というのはなかなか厄介で、 感染した一部の人の肝細胞内に潜伏し、ある「きっかけ」で暴れだすことがあります。 これがB型肝炎ウイルスの再活性化です。

この 「きっかけ」 = 薬剤 であった症例が、複数報告されています。 対象薬リストがこちらです。

たくさんありあます。。。
そして、増え続けています。
勤め先でもマスタ登録や処方のスクリーニングなど対策を取っていますが、個人的にリスクの定量化がイマイチできていませんでした。
つまり「どの薬剤をどれくらい使ったら、どの程度危険か???」といった話ですね。 今回、興味深いreviewを見つけたので紹介させて頂きます。

そもそも、HBVrのリスクファクターは、ウイルス学的因子、宿主因子、免疫抑制因子に分類されます。 ウイルス学的因子、宿主因子について話すと複雑になるので免疫抑制因子を中心に話します。 薬剤は免疫抑制因子ですね。
これがHBVrリスクに基づき、高リスク、中リスク、低リスクに大別されます。

Hepatitis B virus reactivation: Risk factors and current management strategies

高リスク
HBsAg陽性/抗HBc抗体陽性またはHBsAg陰性/抗HBc抗体陽性で、リツキシマブやアンスラサイクリン系の抗悪性腫瘍剤、 プレドニゾロン換算で20mg/day以上を4週間以上継続するような場合で10%以上の高い再活性化リスクありと判断

中リスク
HBsAg陽性/抗HBc抗体陽性で、TNFα阻害剤やサイトカイン阻害剤、インテグリン阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、 プレドニゾロン換算で10~20mg/dayを4週間以上継続するような場合で1~10%の中等度再活性化リスクありと判断

低リスク
旧世代の免疫抑制剤(アザチオプリンとか?)、関節腔内膠質コルチコイド、 プレドニゾロン換算で10mg/day未満を4週間以上継続もしくは1週間以内の短期投与するような場合で1%未満の低い再活性化リスクありと判断

ちなみに
B型肝炎ウイルス表面抗原(Anti-Hepatitis B Surface Antigen:HBsAg)
B型肝炎ウイルスコア抗体(Anti-Hepatitis B Core Antibody:抗HBc抗体)
です。

サロゲートマーカ―によるスクリーニングは日本肝臓学会編 B型肝炎治療ガイドラインを参照した方がよいです。 上記で分類して、中程度リスク以上で抗ウイルス薬の予防内服を推奨としています。 エンテカビルを第1選択薬として、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩、テノホビル アラフェナミドも考慮するといった感じでしょうか。

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