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直接作用型第Xa因子阻害剤中和剤 オンデキサ静注用200mg:アンデキサネット アルファ(遺伝子組換え)

第Xa因子阻害剤の中和剤

アピキサバン、リバーロキサバン又はエドキサバンに対する中和剤です。
ヒト第 Xa 因子の遺伝子組換え改変デコイタンパク質で、第 Xa 因子阻害剤に対する中和剤です。本剤が第 Xa 因子阻害剤に結合することで、その非結合形濃度が減少し、第Xa 因子阻害剤の第Xa 因子阻害活性が低下しました(in vitro)。その一方で、本剤は血漿由来第 Xa 因子が有する膜結合領域ドメインが欠失しているため抗凝固作用は示さず、また、活性部位のセリンがアラニンに置換されているため凝固促進作用も示していません(in vitro)。

近年、心房細動に伴う虚血性脳卒中や静脈血栓塞栓症の発症抑制や再発抑制に第 Xa 因子阻害剤が広く用いられていますが、抗凝固療法中に頭蓋内出血や消化管出血などの出血性合併症が一定の割合で発現することが知られています。しかしこれまでは、第 Xa 因子阻害剤投与下で生命を脅かす出血又は止血困難な出血が発現した場合に、第 Xa 因子阻害剤に対する中和剤がありませんでした。

アンデキサネット アルファは「直接作用型第 Xa 因子阻害剤(アピキサバン、リバーロキサバン又はエドキサバン)投与中の患者における、生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時の抗凝固作用の中和」の適応につい
て 2019 年 11 月 19 日付で希少疾病用医薬品に指定されています。
ちなみに対象となる希少疾患について、日本では「対象患者数が本邦において5万人未満であること」と定義されています。
その後、国内の臨床試験を経て、2022 年 3 月に製造販売承認を取得しました。

添付文書
オンデキサの添付文書(抜粋)

有効性

国際共同第Ⅲb/Ⅳ相試験(14-505 試験/ANNEXA-4 試験)

第Xa因子阻害剤の投与中に緊急に抗凝固状態の中和を要する急性大出血を発現した患者477例(うち日本人17例)を対象とした多施設共同、前向き、オープンラベル、単群試験において、第Xa因子阻害剤の種類、最終投与時の1回投与量、最終投与からの経過時間に応じて、以下のとおりA法もしくはB法にてアンデキサネット アルファを投与した。

  • A法:アンデキサネット アルファ400mgを30mg/分の目標速度でボーラス投与後、480mgを4mg/分の速度で120分かけて点滴静注する。

  • B法:アンデキサネット アルファ800mgを30mg/分の目標速度でボーラス投与後、960mgを8mg/分の速度で120分かけて点滴静注する。

オンデキサの添付文書(抜粋)
オンデキサの添付文書(抜粋)
オンデキサの添付文書(抜粋)

安全性

虚血性脳卒中1.5%(7/477例)、頭痛1.0%(5/477例)、脳血管発作、心筋梗塞、肺塞栓症、発熱各0.8%(4/477例)、脳梗塞、塞栓性脳卒中、心房血栓症、深部静脈血栓症、悪心各0.6%(3/477例)でした。
Infusion reactionにも注意が必要です。

ヘパリンの抗凝固作用を阻害する可能性があります。手術前の本剤投与により手術中のヘパリン抵抗性を示した症例が海外にて報告されています。

雑感

いつか出るだろうと思ってました。この薬。
でもなんというか、ワルファリンがビタミンKで中和されることを考えると、大がかりな印象が拭えないんですよね。
新鮮凍結血漿を使用するようなシチュエーションと比較すべきですが、
それでも・・・。

このオンデキサ静注用 200mgは338,671円です。1回あたりの使用量をB法で考えると、在庫は最低でも9バイアル必要です。イダルシズマブに準じた扱いになるのであれば、在庫の期限切れは交換して頂けるんですよね?メーカーさん?

血栓塞栓症とInfusion reactionの発症は想定の範囲でしょう。
ヘパリン抵抗性は特に透析患者さんにおいて要注意ですね。

抗体製剤であるためか、無菌調剤を義務付けています。
指示されているインラインフィルターの孔径は0.2 又は 0.22μm です。

なお、直接トロンビン阻害剤であるダビガトランに対する中和剤はイダルシズマブであり、本剤ではありません。混同注意です。



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