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経皮吸収型 持続性疼痛治療剤 ジクトルテープ75mg:ジクロフェナクNa経皮吸収型製剤

経皮吸収型のNSAIDs持続性疼痛治療剤

ジクロフェナクNaを有効成分とする経皮吸収型製剤です。2021年3月にがん疼痛への適応で製造販売承認を取得していました。「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2020年版)」において、 軽度のがん疼痛に対する導入薬として推奨され、中等度から高度のがん疼痛に対しては、オピオイド鎮痛薬が投与されているにもかかわらず、十分な鎮痛効果が得られない、又は有害作用のためオピオイド鎮痛薬を増量できない場合などには、非オピオイド鎮痛薬とオピオイド鎮痛薬の併用も推奨されています。

2022年6月に「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」の効能又は効果追加承認を取得しました。

貼付部位は胸部、腹部、上腕部、背部、腰部、大腿部とされています。
1日1回貼付で、がん疼痛は3枚まで。腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎には2枚まで使用可能です。

本剤75mg 1日1回貼付 14日間 インタビューフォームから抜粋

血漿中ジクロフェナク濃度は、投与 7 回目以降に定常状態に到達しました。

雑感

大きな特徴は局所作用ではなく、全身作用を目的に製剤設計されているところでしょうか。そのため、動態の比較対象は既存の貼付剤ではなく内服のジクロフェナクNaです。両剤のAUC比で

経口ジクロフェナクNa 1回25mg 1日4回 内服 = 本剤75mg 1日1回 3枚貼付

つまり、 経口100mg = 本剤 225mg です。

貼付剤なので、NSAIDsに付き物の「消化管障害」の頻度は経口と比較して低くいとされていますが、もう少し症例数が蓄積されてから判断したいと思います。血管透過性亢進に伴う腎前性急性腎障害や心不全の悪化に注意が必要なのは経口剤と同一です。

鎮痛薬の選択肢が増えたことは嬉しいですね。

よい適応のイメージは、オピオイドによる腸管蠕動低下や鎮静を避けたい場合で、消化管障害のハイリスク症例や経口困難例の鎮痛でしょうか。

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