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無能が1年ティラノビルダーを使ったらどんな作品を作るのか?【ほぼ自分用振り返り】


まえがき

若海葉と申します。
自分が最初にノベルゲームコレクションに作品を投稿したのは、2023年の5月。
もともと自分で楽しむ用に作っていた「怪人スパイがヒーローお嬢さんをそだててみた」という作品をほんのきまぐれで投稿したのが始まりです。

当時はゲーム制作を続ける気は無かったのですが、作業が予想以上に楽しく、気づけば初投稿から1年、登録作品数は6件になりました。現在はふりーむ!やフリーゲーム夢現にも一部作品を投稿しています。

ゲーム制作活動を始めて1年という事で、これまでの作品について制作のきっかけや反省点などをまとめてみることにしました。

「絵は下手、文章もずば抜けて上手いわけではない」という自分がまともなノベルゲームを作れるのか?という点を見ていただければと思います。

全6作という事で少々長いものの、お暇なときにお付き合いいただければと思います。

「怪人スパイがヒーローお嬢さんをそだててみた」

「怪人スパイがヒーローお嬢さんをそだててみた」(長いため以下「怪ヒ嬢」)は自分のノベコレ投稿第一作目です。
まえがきにもある通りもともと公開するために作った作品ではなく、そもそもノベルゲームとして構想した作品ではありませんでした。

元々この世界観は自分が楽しむ用の小説を書く目的でヒーローや怪人のオリキャラを妄想していたものです。
当初は「死人が出るドゲ〇ジャーズみたいな作品」という無理のあるコンセプトでした。

キャラや世界観の設定を作る中で、1人のキャラクターの末路について3つほど出した案から1つに絞ることができず、「いっそシナリオ分岐式のゲームにしたら面白いんじゃないか」という思いから作った代物です。

そんな感じで作った作品なので、ストーリーやキャラクターは読み手の事を一切考えず自分の趣味を詰め込んだ感じになっています。

「怪ヒ嬢」のノベコレでの100DL達成までの期間は約1週間。ノベコレのダウンロード数の平均値については未だによく分かっていないのですが、現時点で地味に500DLを超えており(無課金のため正確なDL数は不明)、100%自分が楽しむために作ったゲームの割にそこそこの数の人に遊んでもらえてるんじゃないかと思います。

本作は脇役として登場するキャラクターにもかなり詳細な設定を持たせており続編の構想も何作かあったものの、現在は単発の作品を作ることが楽しく寝かせ中です。

今となっては色々と反省点も多く見返すと落ち込みそうになる作品ではありますが、キャラクターに対する愛着は深く世界観も気に入っているため、1~2年後ぐらいにまだゲーム制作を続けていたらリメイクや続編に取り組みたいと思っています。

気に入っている点

・世界観やキャラクター。
・本格的な制作は初めてながらエンディング数8つという、当初の目的だったシナリオ分岐してキャラの末路が変わる作品を作れた。

反省点

・張り切りすぎ。独りよがり。
・絵の質が均等ではない。
・そもそも絵が下手。(これは全作品通して言える事ですが)

「海洋生物娘に○○される」

完成した「怪ヒ嬢」を身内に遊んでもらったところ、「1度見たスチルが見返せるギャラリーモードがあった方が良い」というお言葉をいただきました。
そこで自分は何故か「怪ヒ嬢」にギャラリーモードを搭載するのではなく、「ギャラリーモードをつけることを目標に完全新作を作る」という行動に出ます。

「怪ヒ嬢」の制作にかなり時間がかかったことから、可能な限り無駄な作業をそぎ落とし、最短ルートで1作作ることをコンセプトに2作目の制作を開始。そんな感じで生まれたのが「海洋生物に○○される」(長いため以下「海洋娘」)です。

選択によって8種のエンディングに分岐する形式だった前作とは打って変わって、分岐は最初の選択肢のみ、立ち絵の変化やスチルも最小限という省エネ仕様によって、実質的な作業期間は5日程度。その割にはそこそこ形になっていると思います。

「海洋娘」はリリースから間もなく実況動画を制作していただくという幸運に恵まれ、100DL達成までの期間は前作の半分以下である2日。現時点では2000DL突破の通知も届いており、拙作の中で最も多くの方に遊んでいただいた作品です。

ティラノゲームフェスでも好意的なコメントを沢山いただいたうえ佳作に選出していただき、製作期間に対してコスパの良い子だなあという印象です。

気に入っている点

・キャラクターのデザインや生態面。

反省点

・分岐が少ない。
・スチルも少ない。

「なぎともーふぃんぐ!」

突然ですが自分は特撮作品に登場する着ぐるみの人外キャラ、所謂「怪人」が大好きです。
「怪ヒ嬢」はその辺の趣味を詰め込んで作った作品だったのですが、いかんせん独りよがりすぎて出来が良かったとは言えませんでした。

3作目「なぎともーふぃんぐ!」(以下「なぎもふ」)は「特撮に興味の無い人にも楽しんでもらえる怪人が出てくるゲーム」というコンセプトで作った作品です。

本作の個人的な挑戦は、登場人物を男性に絞ったことです。苦手なんですよね、人間の男の子描くの……(イラストでも文章でも)。なぎとの兄・真太郎は外見の設定は存在したのですが「大人の男性を描くのに自信が無さ過ぎる」という極めて個人的な理由からゲーム内でははっきりと容姿が出てきません。

そもそも怪人やモンスター娘ではない「普通の人間」のキャラデザをするのが苦手なんですよね。
「怪ヒ嬢」の主人公(ペカミンティス)とヒロイン(初華)も人間形態がありますが、彼女たちは先に怪人やヒーローとしての姿をデザインし、そこから逆算して人間の姿を考える(言ってみれば「擬人化」をする)という方法で乗り切りました。

なぎとの人間態と怪人態はそのような裏技は使わずほぼ同時進行でデザインしたので、その点でもちょっと冒険した作品ではあります。

本作もいくつか実況動画を作成していただいており、100DL達成までの期間は9日程度とやや遅かったもののその後は「怪ヒ嬢」のダウンロード数を瞬く間に追い抜きました。「ふりーむ!」では公開した3作品の中でこの作品がPlay数トップです。

実況やコメントにおいてシナリオが良かったと言ってもらえる機会もあり、自分の中でノベルゲーム制作を現在まで続けたいと思うきっかけになった作品の1つだといえます。

気に入っている点

・シナリオ。
・世界観。
・なぎと怪人態のデザイン。

反省点

・折角「怪人ゲー」というコンセプトなのだから、なぎと怪人態のスチルをもう少し多くしても良かった。
・主人公である真太郎のビジュアルが出ない(苦手な作画からの逃げ)。

「シン海テン生」

比較的力を入れて作った「なぎもふ」の後、少々燃え尽きてしまい、しばらくノベルゲーム作りに手を付けない日が続きました。
このままだともう作れないかも……という焦りから、「リハビリ」として作ったのが4作目「シン海テン生」です。

リハビリという事で作っていてしんどくないボリュームで、考えていて楽しいことをモチーフにという事で、「海洋娘」と被ることを承知の上で再び海洋生物モチーフを選択。
ただ、全く同じコンセプトのものを作るわけにもいかないため、今回は「モンスター娘」ではなく「擬人化」を意識したキャラデザインにし、等身も若干上げています。

「海洋娘」と同程度のボリューム・制作期間を目指していたものの、キャラクターが多かった関係から結局1ヶ月近くかけて何とか完成。
もっと色々分岐させて色んな生物を出したかった……という気持ちはあるものの、無事形になって一安心。

100DL達成までの期間は「なぎもふ」とほぼ同程度。本作については評価よりもとりあえず完成させることに意義があった作品だと思っています。

気に入っている点

・スランプ気味になりながらもなんとか完成させられた。
・登場キャラのモチーフとなる生物の「目」を全てバラバラにするという個人的な縛りを突き通せた。
・キャラクターのデザイン。

反省点

・もっと分岐させて、色んな生物を出したかった。

「ときはふぁたーる」

「シン海テン生」の完成後、「2024年度ティラノゲームフェスに自信を持って出せるような作品を作ろう」ということで構想したのが「なぎもふ」と世界観を共有する「ときはふぁたーる」(以下「ときはた」)です。

本作は「なぎもふ」を知らなくても楽しめるけど、知っているとより楽しめる作品、というところを目指して作りました。
何故「なぎもふ」の世界観を続投させたかというと、あの作品が作者としても気に入っていたし遊んだ人からの評判も良かったことに加えて、「運命」という本作で描きたかったテーマに「なぎもふ」の雰囲気がぴったり当てはまったからというのもあります。

「ときはた」において結構悩んだのが、ヒロイン・ときはの怪人態のデザイン。構想段階で最初に描いたスケッチでは採用案よりも悪そうで、尖った感じの外見でした。
ときはというキャラクターの方針が決まるにつれて「これで良いのか?」「運命に振り回されるヒロインの哀れさをこのデザインで表現できるか?」という思いが強くなり、1から描き直すことに。
最終的には天使をモチーフに入れ、割と可愛らしい感じに纏まりました。

「なぎもふ」でもそうだったのですが、グロくしようとするといくらでも不快感を煽るデザインになってしまうので、「怪人になっても好きでいてもらえるように」という意思でブレーキをかけることはある程度必要だと思います。

また、本作は公開作品では初のビジュアルノベル形式を採用しています。一番好きなPCゲーム(R18ノベル)がビジュアルノベル形式で憧れていたので、挑戦できてよかったです。
一方で読みやすい文章の長さや文字の大きさなど、今後の課題も残る作品となりました。

本作の100DL達成までの期間は約4週間。現在公開している作品では最も遅かったです。ただノベコレでは早い段階でコメントをいただけたり、実況動画では割とときはというキャラクターに対して意図した通りの反応をいただけたりしたことから、自分としては失敗ではなかった作品だと思っています。

気に入っている点

・オルゴールで統一したBGMやほぼ同じ室内で話が進む形式など、雰囲気づくり面。
・「運命」という最初に決めたテーマを突き通してシナリオを書けたと思う。

反省点

・ビジュアルノベル形式に慣れておらず文章が読みにくい。
・タイトル画面の絵が地味。

「惑溺のしずく」

「怪ヒ嬢」の投稿から約一年、現状での最新作が「惑溺のしずく」(以下「惑溺」)です。

本作の方向性を決めるきっかけとなったのは、ふりーむ!の掲載審査基準に「ときはた」が引っかかってしまったこと。

「今後ヤンデレゲーとかも作りたかったけど、もうふりーむ!には載せられないのでは?」「どのサイトでも問題なく掲載してもらえるヤンデレって、どの程度だろう?」という思いから、「グロに頼らないヤンデレ」をコンセプトの1つとして制作したのが「惑溺」です。
調整の甲斐あり、無事ふりーむでも公開できました。

「惑溺」のヒロインであるシズミは人間の倫理観を備えない怪物であり、「人間関係の中で生まれる病み」である狭義のヤンデレとは少し違う面もあります。
でも「そもそもの価値観が違うことで人間から見ると病んでいるように見える」という広義のヤンデレとして、ヤンデレが好きな人の琴線に触れるところがあると良いなと思って書きました。

「惑溺」はこの記事を書いている時点でアップしたばかりであり、これからどのような評価を受けるのかは未知数ですが、自分としては良いものが作れたと思っています。

もし「海洋娘」「ときはた」「惑溺」と遊んだ方がいらっしゃったら「この作者、触手娘好きすぎるだろ!」と思われるかもしれませんが、本当にそうなので否定は致しません。触手娘、というか触手生物大好き。

気に入っている点

・海の神秘的な雰囲気を出すことに専念したBGM選び。
・自ら撮影した水中写真を加工して作った背景。
・ヒロイン・シズミの性格面。

反省点

・エンディング分岐がやや分かりにくい。

あとがき

以上が、ノベルゲーム制作開始から約1年で自分が制作した作品です。
初期の作品と最近の3作品を比べてみると、

・自分の趣味100%で遊ぶ人の事を考えていなかった「怪ヒ嬢」から「ヤンデレが好きな人に気に入ってもらうには」と楽しんでもらうためのキャラづくりを意識した「惑溺」
・何も考えずにアドベンチャー形式を採用していた初期作から、憧れていたビジュアルノベル形式に挑戦した「ときはふぁたーる」
・思いつくままに闇雲に作った「海洋娘」から自分が作りやすい題材は何か?ということを自覚して作った「シン海テン生」

……このように、少しずつではあるものの進歩がみられるような気がしないでもありません。
結論としては、絵は下手、文章もそこそこ程度の自分でも、必要なソフトと根気があればノベルゲームは作れます。

今回の記事はほぼ自分用の記録ですが、もしこのnoteを読むことでノベルゲーム作りへの心理的ハードルが低くなり、新たにゲーム制作を行ってくれる方がいらっしゃればとても嬉しく思います。

おまけ・真の処女作「フカバノウタカタ」

実はゲームとして公開こそしていませんが、「怪ヒ嬢」よりも前に一度自分の小説をティラノビルダーでノベルゲームにするという試みを行っていました。

その作品の名前は「フカバノウタカタ」。海に憧れる少女と海の幻覚を見る少女の通りすがり以上友情未満な微百合ノベルでした。

本作は「絵が人様に見せられる水準に達していない」という理由でお蔵入りになり、その後長らくティラノビルダーを触ることはありませんでしたが、このときの経験が紆余曲折あって「怪ヒ嬢」に繋がりました。またこういうしっとり百合っぽい作品も作ってみたいですね。

本作はノベルゲームとしては日の目を見なかったものの、メインのルートを小説として整え直して小説投稿エブリスタにアップしています。


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