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9月の短歌、31首。

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8月も終わりましたがまだ夏です宿題を出すまでが夏です

月面に不時着したよ、数時間前なんだけど君に届いた?

存外に浅瀬の夢は覚めなくてただ踝にあそぶ潮騒

花束を湖面にばらすもう全部さざ波の先へ離れていって

(ああ駄目だ嫌なことばかり思い出す、飛沫で全部消してよクジラ)

薄張りのグラスを洗う君の持つそれも割れずにありますように

タイピングするや否やの爪先で星の欠けらがぱちぱち爆ぜる

何もかも爆破したくて人知れず台所にてレモンを割った

音のないモールス符号として僕ら瞬きだけを交わし合うのだ

踊り場で翻る裾、今はただ月光ばかり浴びて踊れよ

二十分後の鈍行を待ちながらイヤホンの片耳の熱量

口もとにあてる指先、この瞬間から僕たちは共犯になる

35度くらいの温い湯を出れずこのまま沈むのもありかとか

未明3時、あなたのくれる星たちの欠けらばかりがやさしくひかる

泥濘に溶けて紛れて前後不覚、すべて忘れておやすみなさい

今日くらいハッピーエンドを願ってよ分厚い雲の奥の流星

ベルが鳴る、扉が閉まる (またねって言うつもりなどなかった) 叫ぶ

懐のペーパーナイフは研いである?それじゃあ利き手を預け合おうか

オーバーフローの言い訳をして目を閉じて日付変更線上にキス

流星を招くみたいに歌ってよ独壇場で北極星(ポラリス)になる

もう何度聞いたか分からないクロスフェードをなぞるように手を繋ぐ

階段を駆け下りていくガラス越し傘を持たない君を見たから

無重力空間にいて右足の枷にかえって安寧を得る

虫の鳴く音が絶えない 朝なんてやっては来ない錯覚をした

手のひらで目隠しをしてぱちぱちと爆ぜる思考は少し黙って

逃げ場所を探して扉、快晴に白煙燻る非常階段

屋上で叫んだ歌があなたには聞こえていませんようにと願う

諳んじることさえできる歌たちを装填しては今日も生きてく

光らないくらげでいても赦されるそもそも赦しなんて要らない

スクロールする文字列にEND.って付してさ全部終わりにしよう

たとえ今、流星全部見逃したとしても生きていけるよ僕ら


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