0405

2019年3月の短歌、18首。


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給水塔/あなたの髪が重力に遅れてなびく様を見ていた

強風に乱れる髪を直せずにあなたのいない春が来てしまう 

音もなく一斤染めに覆われるスクリーン越しの嵐に涙

快哉を叫べ見あげて立ち眩むように一面降る紙吹雪

何を以って成功と呼ぶ?さんざめくワルツとワルツの合間に答えて

月を両手のひらに綴じる今宵だけ灯台になってあげるよ

絶対に見せてやったりしないけど隠しもってる弾丸がある

手を繋いでもあなたへは薄まらないのを分かりつつ淹れる珈琲

快速がホームを過ぎていく速さ頻度で僕のことは忘れて

覆水は盆に返らず薄張りのグラスも過去だ(後悔してる?)

昨日付でクジラとなったから貴方みたいな些細はもう知らない

いま全部なかったことにしてあげる/シロツメクサの指輪をほどく

あなぬけのヒモを持たずに来てしまい答えを出せず絡まったまま

「それじゃあね」かざすSuicaの残額が足りずにドアが閉まれば良いのに

傷あとが見えた気がして指先を静かに添える宵の明星

神さまが自身で望んだならきっとあなたを神とは思わなかった

多分きっとあなたは笑ってて幸福という祈りをさせて神様

あなたのいない深夜にあなたの声だけを思い返そうとして寝付けない



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