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スペース設営で意識していること。

次回のイベントに向けて、なんとなくまとめてみたくなったので、自身のスペース設営で意識していることを備忘録的に書いておきます。

なお「あくまでこれは私個人のこと」なので、こんなやつもいるのだなあと寛容に読み流していただければ幸いです。

↓今回の設営。イベント8回目。

↓初サークル参加時の設営。


まず前提として、設営を工夫(努力)してみようかな、と思う理由なのですが。

同人誌は、本それ自体のクオリティがよければ、本が面白ければ売れる。
当然そうだと思います。中身が気になれば買うし、とてつもなく面白ければいずれ人がクチコミで広めてくれる。
私は良いものは勝手に宣伝したくなるし、あるいは逆に、本当に大事な人以外には秘密にしたくなったりします。
飲食店がSNSで紹介されて、バズっているのをご覧になったことが一度はあるのではないかなと。

ただ、その「誰か1人目」がまず来店してくれなければ、紹介されることも自慢の料理を味わってもらえることもありません。客数0であれば、料理の味は一切知られることもないまま。せっかくの料理は美味しいかどうか判断されることもなく廃棄になってしまいます。
(本は腐らないのが良いところですが…過剰在庫はいくら自室とはいえ保管コストがかかりますね)

私が参加したことのあるイベントはコミティアと文学フリマです。
どちらも文芸ジャンル(文学フリマではエンタメという細分化されたジャンル)で参加しております。
回数としては、計8回。スケジュールが合えば応募、という形なので隔回だったり新刊もあったりなかったり。

その中で、あくまで体感ですが、幸いにも「全然売れなかった(=ので切ない/悔しい)」という思いをしたことがありません。
どのイベントも本当に楽しかった。

(立ち寄ってくださり、イベントの楽しさを感じさせてくださる皆さまに感謝しきりです)

もちろん、この「全然売れなかった」の「全然」は人によって感覚が違うと思います。
「××××部」で自分の期待より売れていないなあと感じる方、「××部」で沢山だと感じる方。
それはその人が周りのサークルや、自分の期待値や、かけた時間や、前回の自分と比較した結果であるので、別に何部売れたからえらいとかすごいとか、そういう訳ではないのですが。

大変ありがたいことに、東京開催のイベントにはツイッターのフォロワーさんがちらほらお立ち寄りくださいます。
ただ今回のコミティアでは、完全に新規の方が目をとめてくださったり、立ち読みしてくださったり、が特に多かったように感じています。
具体的な人数はカウントしていませんが、持参した名刺は80枚ほどお嫁に行きました。
これは本を購入してくださった方にお渡しした分と、セルフで持っていってくださった分の合計です。
購入しない、かつ名刺も持っていかない、という方ももちろんいらしたので、人数としてはもう少し、足を止めてくださいました。
単純計算で、5時間で80人=4分に1人、くらいの感じ。

前述したように頒布数、人数への感想は個人によって違いますが、私個人としては、 初参加時よりは圧倒的に立ち寄ってくれる人数が増えています。
ありがたいことですし、成長(成長と言うのか分かりませんが)を感じて楽しいです。
同人誌即売会というものに対して、お店屋さんごっこ、という側面も楽しいタイプなので。

ちなみにこの文章は完全に自己満足のものなので、別にどなたかに相談をされた訳でも、何かツイートを見かけた訳でもありません。
そのため、世にすごいサークルは山ほどありますが、「自分が書きたいから書いている」ことをご承知おきください。
別に真新しいことは言えない(寧ろ当然のことかなとも)し、皆さん声に出さないだけで、色々と工夫されていらっしゃいます。
(だからイベントでさまざまな設営を見るのがとても楽しいです)

まあ、書きたいと思ったきっかけをあげるなら、今田ずんばあらずさんと軽く、設営の雑談リプライをさせていただいたことかなと。
ずんばさんの、2回目以降必ず「ずんばさんのスペースだ」と分かる様子や、小売業界のチェーンストア理論を考えながら設営している姿勢には感心したり共感したりさせられています。
今回夏のイベントでは「無名の一次創作文芸個人サークルが1年間で500部頒布する方法。#むいちもん」という本を出されておりました。
私も買いました。ご興味あればぜひ。

-CM-
今田ずんばあらずさん著
『無名の一次創作文芸個人サークルが1年間で500部頒布する方法。』#むいちもん
https://twitter.com/johgasaki/status/1031014019925065728

(今回、ずんばさんの御本と内容が重複する部分もあるかと思いますが、ずんばさんの本の方がはるかに丁寧で読み物としても面白いです)

さて、前置きが大変長くなりましたが。
私が自身の設営において意識していることを、分類するならば次の2つになります。

①目をとめてもらうこと
②試し読みしやすくすること

ちなみに、「買われる」までにはさまざまなプロセスがあるかと思います。本それ自体の装丁(表紙など)の工夫や、本の中身の面白さ、自身のファンを増やすこと、イベントまでの宣伝活動…などなど。
ただ、ここでは本それ自体ではなく、本に付随する設営について書きたいなと思います。

(本それ自体の表紙が魅力的だったり、インパクトがあったり、すれば手にとってもらうことが本当にたくさんあると思います。
白地に黒文字のタイトルのみだって、タイトルにインパクトがあれば十分かもしれません)

①目をとめてもらうこと

まず第一歩として、自分のサークルに目をとめてもらうこと。
星の数ほどあるサークル、あの広い空間においてたった長机半分。その中で、通行している人に、自分のスペースをただの「風景」でなく、「好みの本があるかもしれないサークル」として認識してもらうこと。

自スペースがいわゆる「壁サークル」、つまり会場の壁際に配置されていれば、「壁にある=つまり人がたくさん来る人気サークルなんだな。面白そうだから自分も覗いてみよう」と考える人も多いでしょう。
実際私も、ただ人が沢山並んでいたという理由だけで同じく並んで素敵なイラスト集を手に入れたことがありますし、行列のできるパンケーキやラーメン屋さんの店名を記憶していたりします。

最初から壁際、あるいは立ち並ぶ長机たちのお誕生日席に配置されれば自然と目立ちますが、私ふくめ、そう簡単に目立つ場所へは配置されません。
はじめは大抵、細い通路の中なのではないかなと。
別に競争や購入者の取り合いではないけれど、そのずらりと並ぶサークルたちの中で、「何か惹きつけるスペース」、にならなくてはならない。

チェーンストア理論では、人を惹きつけ、出口ではなく、次へ次へと足を運ばせる商品や演出をマグネット(磁石)と呼びます。
ここでは、広い通路から内側の狭い通路へ引きつける、誘導する第四マグネットに相当します。

自分たちが何に惹きつけられるか、本屋さんなどで想像してみてください。
沢山ある漫画たちは、どれも装丁が美しく、印刷所で綺麗に刷られています。
その点では同等ですが、そこから人はそれぞれ、手に取ったり購入したりするものを絞っていきます。

たとえば、ヒロインのイラストがある、大きなポスター。
書店員による、気になるキャッチコピーや、「アニメ化決定!」といったPOP。
棚に押し込まれた本の中で、それらだけ表紙がきちんと見えるようになっていたり。

人は「何だろう?」「もっと見てみたい」と思ったものに近寄っていきますね。

私は文芸ジャンルでサークル参加しております。
文芸(小説)は、大抵、中身を見てから購入を決める方が多いものです。あらかじめ作家のファンであったり、ジャケ買いをする方でなければ、大抵、試し読みやあらすじを読んでから購入を決定するはずです。

では、中身あるいはあらすじを読んでもらうためにはどうしましょうか。
本当にさまざまな方法がありますが、私の場合は大体こんなことを考えております。

◎置き方を工夫する
◎ゴールデンラインに置く
◎ポスター等、マグネットを作る

◎置き方を工夫する…本屋さんでも、さまざまな置き方が見られると思います。
山のように平積みされていたり、縦置きして表紙がはっきり見えるようになっていたり、棚の中に収められていたり。
個人的には、本を立て、表紙を通路から見えるようにしています。
平積みもボリューム感があって良いのですが、机の上から覗き込むようにしないと表紙が見えません。
遠くから近寄ってもらうためには、遠くから「なんだかいい感じ」に見える必要があるかなと。

◎ゴールデンラインに置く…これも上記とだいぶ重複してきますが、どうせ置くのであれば、人の目につく高さに置いた方が効果はあるでしょう。
ゴールデンラインというのは、床から75cm〜135cm、一般的に人の目線の留まりやすい高さのことです。(一般の机が床から72cmくらいかと思います)
おすすめの作品、今回推しの作品、新刊があるなら位置を意識して置いてみるのも良いかもしれません。
(まあ机上に立てて置けば大体その高さになるな…と思いました)

◎ポスター等、マグネットを作る…マグネットというのは人を惹きつけるもののことです。大きなポスターやスタンドは荷物を増やしますが、やはり遠めに見てインパクトがあるので、自慢したい素敵な表紙やアピールしたいことがある時は良いと思います。
イベントほか、ショッピングでは「声をかけられること」を忌避する人がいます(私もしばしばそのモードになります)。
そういった人はスペースの机すれすれではなく少し離れたところを歩きがちです。
ただ、もちろんイベントを楽しもうと思って来ているので、逆にポスターなどで興味を持ってくれれば近寄ってきてくれます。
あとは完全に余談ですが、ポスター、お買い物をしてスペースに戻るときに目立って楽です。

また、小物を置いたり敷布を工夫したり、スペースを作風に合わせ「演出」することでもとても素敵かと思います。
その雰囲気が好きな方に訴求できますし目立ちますね。

②手に取りやすいこと

スペースに近寄ってもらったとして、本が手に取りやすいこと。つまり試し読みしやすいこと。

これもまた個人個人でさまざまな思いがあるかと思いますが、私は以下のようなことを考えています。

◎見本誌があること
◎ボリュームがあること
◎値段がわかること
◎概要がわかること

◎見本誌があること…試し読み用の本のことです。これはほぼ全てのサークルさんが置いているかと思いますが…。新品、つまり売り物の本しか置いていないと、人によっては「これを読んでいいのかな?(読み癖や折り目をつけてしまっていいのかな?)」と悩むことと思います。
試し読みのハードルを上げるので、はっきりと見本と分かるものを置いた方が楽かなと。

◎ボリュームがあること…これは机上の話です。机に見本誌だけをぽん、と置くのもそれはそれで味があると思うのですが、そうすると試し読みとサークル主の間に遮るものがありません。
試し読みをする方にプレッシャーを与えてしまう可能性があるので、視線を気にせず読んでいただけるよう、私は本を平積みしたり、大きめの棚什器を設置しています。(しまや出版さんの段ダン段ボール)
試し読みしてくださっている最中は嬉しいやら気になるやらですが、「買え〜〜」と圧を与えたい訳ではないので…。
ある程度在庫を机上に置くことで、ボリュームが出てにぎやかさが出る効果もあります。
またフェイシング数(ざっくり言うと、同じ品を横並びにする数)を増やせば、相手に「これが推しなんだな」と伝わることも。

◎値段がわかること…その本がいくらなのか、サークル主に尋ねなくともわかる方が良いかと思います。これも皆さんやっていらっしゃいますが。
服を買いに行ったとき、初めてのお店で気に入った服を見つけ、値札を見るときどきどきしませんか?(私だけでしょうか)
イベントでいくら金銭感覚が狂ってきているとはいえ、財布の中身には限度があります。
500円かと思って試し読みをして、購入を決めたら2000円…、お財布の中身が足りないと気まずいので、値段がまったく読めないものは手を取りにくくなるかと思います。
値段は分かりやすいところに明記しておくべきかなと。
まあ価格設定は、自分が高いと思ったら買わないし、安いと思ったら買う。ただしどれだけ安くても、自分の好みでなければ買わない。
そんな感じかとは思いますが。
値札は、手書きでも可愛いと思いますし、100円ショップでクリアケースも売っています。
PCで作って自宅やコンビニで印刷しても綺麗ですね。コンビニの場合、画質は粗いですが光沢紙に印刷すると楽。

◎概要がわかること…たとえば作品のジャンルやあらすじです。
イベントでは皆さん持ち時間が限られています。
何千もあるサークルの中にまだ見ぬ神サークルが待っているはずなので、ひとつのサークルで何十分も使う人はなかなかいないでしょう(サークル主と友達であって話が弾むことはあるでしょうけれど)。
買おうか悩むこと、それ自体がイベントの楽しみの1つであるとは思いますが、全ての本を試し読みするのはなかなか難しく、ましてや小説本はイラスト集や漫画ほど分かりやすくありません。
作品のジャンルやあらすじ等は、本それ自体かPOP、おしながきあたりに掲載しておくのが良いかと思います。
サークル主さんにおすすめしてもらうのも良いですが、ショートタイムショッピングしたい人にとっては、本にあらかじめ載っていた方が分かりやすいかなと。
また、私は、おしながきそれ自体に「試し読みはご自由に」と記載しています。
立ち寄ってくださった方、大抵皆さま「試し読みいいですか?」とご丁寧にお声がけくださいますが、それ自体(たとえばショッピングの時に試着可否を店員に尋ねること)に気乗りしない方も当然いらっしゃると思うので、目につく位置にそう記載しておきたいなとは考えています。
もちろん、お声がけいただけるのは嬉しいですが…!

現時点で、考えていることはこんな感じです。
なにか思い出せば追記します。
ほかにいくつか箇条書きするならば、

◎必ずどこかにスペースnoとサークル名を入れておく。それだけを控えてやって来てくれる方に分かるように。
◎ペーパーや名刺など、テイクフリーのものは目立つようにそう書いておく。

こんな感じでしょうか。
あらためて書いてみて、さぞ偉そうな文面になってしまいましたが、皆さん普通に実践していらっしゃるなと思いましたし、設営画像を見るのは楽しいなあとしみじみ感じました。
ただまあ「書きたいから書く」、今後のために残しておいたものなので、生暖かい目で流していただければ幸いです。

所感としては、自分の設営理念が、つくづくショートタイムショッピングとフリーサービスなのだなあと。
さまざまなスタンスがあってしかるべきと思いますが、手にとってほしい、ただずっと声出しをしていたい訳ではない、という感じです。ただ黙っているのみで素通りされるのもなと。せっかく参加するなら沢山見てもらいたい。

中身をよくしていかなければならないのももちろんですが、設営も少しでも良いものにしたいです。

無駄に長くなりました、ここまでお付き合いありがとうございました。
あらためて皆さんが至極当然にやっていることだったので逆に驚くほどでしたが、書くこと自体は楽しかったです。

あなたのサークル活動も、引き続き楽しいものでありますように。

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