たぶん、ゆとりのせい。

普段自らのことをわざわざ「ゆとり世代だ。」と意識することなどないが、どうしても「私はゆとり世代だなぁ。」と思わざるを得ない瞬間がある。

それは例えば、どう考えても笑ってはいけない場面で笑ってしまうとき。

先日入院中の伯母の面会に行った際に、隣のベッドの男性が大騒ぎをしていた。正確に言うと、激怒していた。

「この病院は評判が悪いから気に入らない」「この俺に研修医をよこすなんて何事だ」「俺が呼んだら10分以内に来い」など、延々と1人で怒鳴り散らしていた。
よくよく事情を聞くと、そもそも本人はどの病院に来ているか理解していないし、研修医は夜中に一瞬来たが治療のためでなく状況をベテラン医に伝えるために様子を伺いに来ただけだし、呼ばれたらすぐに誰かしらが駆け付けている。つまり状況を正確に捉えられていない。
時折痙攣を起こし、気絶する辺りから身体はかなりの重症の病気のようなのだが、心も鬱病診断が出ているとの事だった。

それならば仕方ない、と構わず伯母と話をするも(正確に言うと伯母は声が出ないので、話しかけては伯母の口を読む、という作業)、伯母はうるさいお隣さんに気を取られ、怒り心頭の様子だった。

すると同室にいるおばあちゃんが、男性に共鳴し「うわぁぁぁ」などと言い出した。
そこへ男性の息子が現れた。

「いい加減しろっっ!!先生一生懸命やってくれてるだろ!他の人に迷惑だろうが!死にたいなら黙って待ってろ!そのうち死ぬんだから!!!」

息子の怒鳴り声とともにベッドをガツーンと蹴る音がした。

尚も怒鳴り続ける男性。それにキレる息子。共鳴して騒ぐおばあちゃん。うるさいと口をぱくぱくさせ怒る伯母。困惑する先生。作り笑いしつつもキレ気味の看護師。
病室は完全にカオスであった。

「この状況は一体なんだ…?」
そう思ったら、笑いが止まらなかった。どう考えても笑う場面ではなかったが、止められずに声を出して笑った。

どうも昔から修羅場などに弱い。激怒している人を見ていると「こんなに怒っているなんて凄い…!」と思ってしまう。

あまり感情剥き出しで怒る機会のないゆとり世代ならではの感覚のように思う。もしくは私個人の性格か。

どちらにせよ、もう少しTPOに合わせた反応をできるようにならないと、良い大人にはなれないと思った。

ちなみにくだんの男性は、業を煮やした看護師に薬剤を投与され、一瞬にして眠らされていた。そのオチがまた、私をニヤニヤさせるのであった。

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