見出し画像

竹細工職人として選んだ生き方 / 九州ちくごの作り手⑪石田淳・長岡由記

いわゆる伝統工芸の職人というと、家業を継いで、家族でやっているようなイメージが強いのではないでしょうか?

しかし実際には、まったく縁のない育ちながらも、職人としての道を志したり、違う職種から転職したりする人も少なくありません。

最近では大学の中に染織・工芸コースがあったり、博多織や有田焼や別府竹細工など、産地に職人の養成学校があったりと、職人としての技術を学ぶ入り口が数多く準備されています。

もちろん、学んだからといってみんなが職人として食べていけるわけではなく、そこからものづくりを続けて職人になるのは、一握りだという話もよく聞きます。

技術は、言葉と同じように、あくまでもツールであり、それを通してどういうものを作りたいのか?どういう生き方がしたいのか?という軸が、一人一人の個性であり作風になっていくのかな、と感じます。

今回は、まったく竹細工と関わりのなかった世界から、八女の立花町で竹細工職人としての生き方を選んで活動している、石田淳さんと長岡由記さんをご紹介します。

日本の気候と風土に自然に溶け込む、竹細工

竹というのは、アジア地域を中心に広く分布していますが、その種類は600種以上あるともいわれています。日本では主にマダケ(真竹)が竹細工として使われています。

九州で竹細工の名産地として知られるのは、温泉地でもある大分県別府市。そんな別府に作られた、日本で唯一の公立の竹工芸の教育・訓練機関が「大分県竹工芸訓練支援センター」です。

その訓練支援センターの竹工芸科に同じ年に同期として入ったのが、石田淳さんと長岡由記さんなのです。卒業後、それぞれ別々の工房で修行をした後、2013年に八女立花町へ移住して、今に至ります。

しかし、お二人に別府で出会う前の経緯を伺っていくと、まったく竹というワードが出てきません。むしろ竹や工芸の世界からは程遠い。どうして竹細工にたどり着いたのでしょうか?

石田さんは焼き物の産地でもある、愛知県瀬戸市出身。ただ焼き物には興味はなく、小さい頃の関心はもっぱらお魚でした。魚の研究がしたくて、大学は東海大学海洋学部へ。海の魚の体内時計」についての研究などをしていたそうです。

その後、環境アセスメント会社に勤めたり、研究機関に戻ったりと、お魚街道を進みます。そして28歳のときに、大分県の小さな水族館にやってきたのが転機となりました。

8年ほど勤めていたそうですが「もういいかな。」と思う瞬間がやってきたといいます。魚への興味は相変わらずでしたが、自然と関わりながら少し違うことがしてみたいという気持ちが生まれ、大分にあった竹細工の訓練支援センターへ進むのです。

長岡さんは和歌山県伊都郡出身。自然豊かな環境で自由にのびのび育てられ、小さい頃から美術に関心があったといいます。大学は大阪芸大に進み現代アートをしていましたが、当時は何がしたいのかわからなかったそうです。

卒業後は図書館に勤めたり、ギャラリーに勤めたり、OLをしてみたり、いろいろな職を転々とします。そんな中、たまたま入った「職人のワザ展」でみた竹細工になぜか惹かれ、32歳でえいっと別府へやってくるのです。

お二人が選んできた道と、そのときどきの選択と思いは、とても面白いです。そして竹細工職人になって約5年、実際に楽しさと難しさも感じているといいます。今回はそんな二人の今の素直な思いを、いろいろ聞き出したいと思います。

「長岡さんと石田さんに聞く、竹と魚とものづくりのお話」
八女の立花町で竹細工をしている石田淳さんと長岡由記さんは、もともと八女の出身ではありません。以前は川魚の研究をしていた石田さんは愛知出身、美大を出たのち大阪で働いていた長岡さんは和歌山出身。そんな2人が出会ったのは大分の「竹工芸訓練支援センター竹工芸科」でした。その後別府で修行をしたのち2人は2013年に八女に移住し、竹細工職人としての生き方を選んだのです。今回は竹の割り方や編み方などの実演をしていただきながら、竹という素材について、こだわっている工程について、そして現在に至る経緯や、ものづくりに対する考え方など、お二人から聞き出したいと思いますので、お楽しみに!
「長岡さんと石田さんに聞く、竹と魚とものづくりのお話」
① 5月26日(土) 11:30-12:30 @旧寺崎邸
② 5月26日(土) 15:00-16:00 @旧寺崎邸
– 内容  竹細工実演+作り手レクチャー+あだち珈琲ワンドリンク付
– 参加費 1,200円(ワンドリンク付) / 募集人数 最大20名

お申込み方法:
WEBフォーム
② メール / u-info@unagino-nedoko.net
③ TEL / 0943-24-8021(旧寺崎邸)
企画:株式会社うなぎの寝床

Photo credit: 藤本幸一郎 / http://www.koichirofujimoto.com

Design: 米村知倫 / http://yone.in


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?