夜もすがら

なにかひとつは用事を見つけて外に出る。外の空気を吸うだけでずいぶんと気分が変わるから、散歩はいいものだ。もうすっかり日も暮れた午後6時、傘をさしながらでもわたしはそう思う。他人の庭先で梅が濡れている。歩くことはいいものだ。コンクリートの上に溜まった水で、つまさきが濡れることも、嫌いじゃないなと思ってしまう。ひとりで鼻歌をうたいながらふらついているとき、なぜか世界になじんでいられる。

毎日なにかをやり残したような気がして眠れない。そんなものはないのだけど。いや、正確には、厳密に言えば、あるのだけど。だらだらと本を読んだり、インターネットでラジオを聞いたりしてしまう。そんな気分を解消するための手だてとしてはじめた日記も、あまり効き目がない。たぶん、あれをやればいいのだろうな、と思いながら寝ている。しあわせなことだな。しあわせな休みっていうのは、いつも退屈とセットだ。そろそろ、やめにしよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?