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朝さんぽ


AM5:17
もうちょっと寝たい。
そんな言葉が頭をよぎりつつも
5分間の二度寝からむくっと起きた朝。

ベッドのすぐそば。
開け放っていた窓から
前日が真夏日だったとは到底思えない
涼しくて爽やかな風が入ってきた。


髪をはらりと舞い上げるほどの風が
何とも心地よい。

思わず外を眺めてみると
朝日に雲が当たり
まるで絵に描いたような空が広がっていた。



「この空気を味わいたい!」

つい数分前まで
起きることすらしぶっていたのに
5分とかからず支度して
外に飛び出た。



一日の内
たった数時間しか味わえない。

朝日が太陽に変わるまでの間の
空気感がとっても好き。

そうだ!あそこにしよう!

空を眺めながら
お気に入りの公園へむかう。

夏の雲に変わり始める6月の空。


ちょっと日がかげる道へ入ると
より一層空気感に透明感が感じられ

思わず呼吸が深くなる...




こんなに呼吸を楽しめているのは
いつぶりだろう?




深呼吸は意識している方ではないだろうか。

身体のためであったり。
心を落ち着かせるためであったり。

しかし、
いつしか作業のひとつとなっていたのかも知れない。

楽しむということを
いつの間にやら
どこかに置き、忘れてしまっていたようだ。


正しくは、
覚えてはいたけど
どこか蔑ろにしていた。
そんな感じ。



思わず立ち止まり
深呼吸。





存分に味わい
また足取りを進める。


公園へ到着。
と言っても緑の多い広めの公園。

やけに幅広い階段を
一段一段大股で。
心の中でよいしょよいしょと
言いながら登っていく。
( いや。よいしょの「しょ」くらいは口から漏れていたかもしれない )

朝日が木々の隙間から
溢れる。

明るい部分とそうでないところのコントラストが好き


光と影。
隠と陽。
そんな景色には
心動かされやすいタイプだ。

そのまま進み

公園の中ほど。

小高く少し開けたところには
下に広がる道とは段差があり
そこに足を放り出しながら
ぼーっとするのが
私のお気に入りタイム。

足をぷらーんとさせたり、瞑想したり



今を味わいつつ
湧き上がる思考を観察。


上手くいかなきゃ。
頑張らなきゃ。


そんな気持ちが一番前に出できて
勝手に足ばっかりが前に出て
身体が追いつけていない。


そんな生活を、
ここ最近していたように感じる。


でも、行き先がなぜか霞んで見えなくて
どこに向かいたいのか
どこへ向かっているのか。

分からないまま進むから
しんどかった。

俯瞰なのか他人事なのか
分からない感覚で
振り返った。

解決策は見つからなかったけど

その後に歩く道は何だか
さっきより煌めいている気がして
心躍った。

蜘蛛の巣すら朝日に照らされて美しい
ススキみたいな子。朝日で白く輝きが増していた



そして。
お待たせしました...ブランコ!


誰もいないし。
ちょっとくらいならいいよね!


と誰に止められたわけでもないのに
若干の後ろめたさと
恥ずかしさと
ワクワクを自分に感じつつ



いつもは通り過ぎる
ブランコに乗ってみた。

本当はずっと乗りたかったのよ


ブランコの低さに戸惑いつつ
漕ぎ出してみる。

前に行った時に
ほんの少し足で勢いをつければ
ぐんぐん高さと速さが増す。

意外と少しの力で勢いがつくんだな〜と感じつつ


せっかくならと
幼少期に帰ったように
楽しんで漕いでみる。

ふわっとした浮遊感。

止まる時にはちょっとこわさも感じつつ
楽しい時間だった。

ブランコの下にある擦ったような足跡から
乗っていた子供の軽快さを感じた。
私は止まるのに必死でしっかりと足跡が...!




大人になり
どこか全力でやること
全力で楽しむことを
抑えてしまっていないだろうか?


大切なものが増えたからこそ
動けなくなることだってある。



でも、大切なものの側からしたら
自分の存在が相手の足枷になるなんて
望んでいないし、誰も求めていない。


ここ最近の私は
「失ってしまうかもしれない。」

そんな気持ちが自分を占領して
自らの足を掴み、
動けないとジタバタしていた。


そんなひとり劇場は
つまらないし
とってもダサい。


少し顔を上げれば
こんなにも豊かなものが
ありすぎるくらいに溢れかえっているのに。



柔らかくも力強い朝日と
すっきりと吹き抜ける風のおかげでか
最近のモヤモヤが晴れていった。




もっと好きな自分で生きていこう。

そんな言葉が降ってきた。

決して今の自分を否定するでもなく
ただ今を感じながら
未来に向いていたい。

そう思った。



朝日が太陽へと変わり、
寝癖隠しのために被った帽子の中が
自分の熱で蒸されていることに気づいた頃

帰路へ着いた。

玄関で靴を脱ぎ、
ブランコの時に入ったであろう
靴に入った砂を出すのに
思わず笑みが溢れる。

さて、どんな一日にしようかな?



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