『インテリ大喜利(文系編)』の難しさを大喜利の観点から解説してみた
『インテリ大喜利』の元ネタはこちら。
東大クイズ王・伊沢拓司率いるクイズ集団、QuizKnockの動画です。
お笑い好きでQuizKnock好きの私にとっては、大喜利の血がたぎる神企画!
彼らをリスペクトして、自分でも大喜利に挑戦してみたい!……と、思ったはいいものの。
『インテリ大喜利』、やってみるとムズすぎないか!?
以下、「どこが難しかったか」を解説していきます。
※次回のnoteでは自分でも回答に挑戦してみます。こういうときに大事なのは笑いのセンスや大喜利の知識より、滑るのを恐れない勇気
インテリ大喜利の高難度ポイント
『インテリ大喜利』の難しさは主に「縛り」「お題」「回答方法」の3点で構成されている。
①「縛り」の難しさ
「縛り」、つまり回答できるのが社会の用語集に載っている単語に限られること。しかも1人1教科限定。
ゆえに回答者は大喜利スキルだけでなく、社会科の知識や理解も求められる。
また当然だが、用語集に載っているのは大喜利でボケるのに向いた言葉ではない。そこからいかに大喜利の回答っぽい用語を引き出してくるか、ワードセンスも問われる。
これは『インテリ大喜利』が『インテリ大喜利』たるゆえんであり、言うなれば意図された難しさ。裏を返せば、普通の大喜利にない面白さを生み出す要素でもある。
②「お題」の難しさ
・適度な「絞り」があると答えやすいが……
続いては、大喜利のお題の難しさ。
動画を見てもらえればわかるが、ここで出されるお題は3つとも、大喜利としてはシンプルであり、答えの自由度がめちゃめちゃ高い。
が、このシンプルさ、答える側には結構厳しい。
答えを考えるための取っ掛かりが少ないからだ。
即興で考えた、以下のお題を例に考えてみる。
お題:
メルヘン王国の法律で一番重い刑罰とは?
お題:
私立成金高等学校の校歌を歌ってください
1つめは「メルヘン」と「刑罰」の2要素の組み合わせ、2つめは「成金」と「校歌」の2要素の組み合わせだ。
これを1要素のお題に変えてみると、以下のようになる。
お題:
こんな極刑は嫌だ、どんなの?
お題:
私立おもしろ高等学校の校歌を歌ってください
どうだろう。
前より自由度が増したはずなのに、かえって考えにくくなった気がしませんか。
実は素人的には、適度に回答の方向性を絞ってくれた方が考えやすいのだ。
・でも、「指定」は難度を上げる
しかも、『インテリ大喜利』のお題は2問目を除いて「~の名前とは?」で終わる。
自由度は高い一方、答え方は「名前」とがっちり指定が入っている。
個人的な意見だけど、文章・台詞・モノを答える大喜利に比べて、名前を答える大喜利は難度が高い。
また即興お題で申し訳ないが、比べるとこんな感じ。
お題:
メンバーが全員元ヤンのアイドルグループの特徴
お題:
メンバーが全員元ヤンのアイドルグループの名前
この場合、特徴を答えるお題で「グループ名が◯◯」と答えることはできても、逆はできない。
答えが「名前」限定だと、使えるボケのパターンも限られてくるので、ウケるにはかなりのテクニックが必要になる。
・なぜ、あえてシンプルなお題にしたのか?
ここからは推測だが、なぜQuizKnock川上さんが3つとも要素がシンプルで名前を問うお題にしたかを考えてみる。
理由はずばり『インテリ大喜利』の性質プラス、
プレーヤー間の有利不利を作らないための配慮だと思う。
まず、『インテリ大喜利(文系編)』が「社会の用語集の単語だけで大喜利!」を趣旨にしている以上、答えが単語で成立するお題を出す必要がある。
かつ、特定の教科に偏った題材を避けつつ、どの教科の単語でも答えとして成立する、有利不利が出ないお題でなくてはならない。
適さないお題の例:
通常国会初日で衆議院が解散。何が起きた?
上のお題だと、文章で「~が~した」「~だから」と答えたくなるし、たぶん日本史・現代社会の人の方が答えやすそうで不適。
適さないお題の例:
こいつだけは夜行バスで隣席になりたくない
上だと誰かしら人物を答えればいいので成立はするものの、どう考えても地理の人が不利だ。
「斎藤道三」「ソクラテス」とかに匹敵する癖の強い人物が地理の用語集に登場する気がしない。いたら教えてください
もろもろ配慮して公平にすると、やっぱりシンプルに名前を問うお題がベストだったのか……
川上さんの考えにうなる。
③「回答方法」が大喜利と違う難しさ
QuizKnockの『インテリ大喜利』の何が新鮮かって、答え方が完全にクイズのそれなところ。
大喜利の回答方法でベーシックなのは、
・お題が出される
・思いついた人が(フリップに答えを書いて)挙手
・司会が回答者を指名してお題を読み上げ
・回答者が答える
というものだろう。
それこそ『笑点』もだが、思いついた人から任意のタイミングでポンポン答えるシステムが多い(ウェブ大喜利はこの限りでない)。
大喜利方式では、基本いくつ答えてもよい(たくさん答えを思いつくのも一つの能力だから)。
なので、色んなパターンを試したり、ひねったボケは後半に回したり、空気が暖まったタイミングを見計らったりできる。
ただ、QuizKnockの『インテリ大喜利』は回答方法がほぼクイズ。
回答前にお題を読み上げる、フリップを使って回答するなど、大喜利流の方法も取り入れている一方で、
・お題が出される
・各人が時間内にひとつだけ回答を記入
・答えが出揃ってから順番に答える
……一連のフォーマットが、どうしても記述式クイズなのである!
かわいい。たぶんこの人たちクイズ大好きなんだな……
この方式、チャンスが1回きりとめちゃめちゃシビア。
「ベタなボケを起点にしてだんだん発想を飛ばしていく」スタイルの人にとっては、一発勝負はベタに寄りがちで実力を出しにくい。(個人的には、パズラーのふくらさんはそのタイプだと思う)
しかも答えが出揃ってからだと、全員必然的に満を持して答えることになってハードルが上がる。
「俺、良い答え見つけた!」とか言っちゃうともうヤバい。上げ倒したハードルの下を腹ばいのペンギンみたいにサッ…とくぐり抜けてフェードアウトしていったこうちゃん、めちゃめちゃ典型例で笑った。
まとめ
以上、大喜利好きの人間から見た、『インテリ大喜利(文系編)』の難しさでした!
今回QuizKnockの動画をじっくり分析したことは、今後大喜利のお題を作るのにも役立ちそうです!
まとめ
・お題は適度に要素=絞りがあると答えやすい
・でも、答え方をがっちり指定されると難しい
・「出揃ってから」「満を持して」「一回だけ」答える方式だと難しい&恥ずかしい
↓つづきのチャレンジ編↓
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