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わたしの猫物語①
その時私はペットロス症候群に襲われていた。
初めて迎えた子猫は一年足らずで橋を渡って行った。
その子は、いつも私の味方で、その頃のパートナーと喧嘩をして泣いている時は腕の中から大丈夫よ、私がいるわ、とひたむきな目で私を見ていた。
私の心をいつも察してそばに飛んでくるような子だった。
ある日仕事から帰ったら様子がおかしい。
家にはパートナーがいたはず。
まさか、とは思ったけれど口にはしなかった。
それから約半年、歩けなくなり、寝たきりになった。どうしてかはわからなかった。
お風呂にいっしょに入って動かない足をリハビリしたりいろいろやってみたけれどダメだった。
どうにか動いていた体もいつしか寝たきりになってしまった。
私が仕事から帰ってくるまでパートナーは猫を見ることはなかっただろう。
私の帰りを待ち望んでいた子は、トイレに連れて行ってもらいたがり、ご飯を食べさせてもらいたがり、水を飲ませてやった。
安心してまた眠る。
私は時々重心がかかる位置をずらしてやっていた。床ずれになるから。それは、実家で飼っていた犬があっという間に床ずれになってしまった思いがあったからだ。
いつの間にか私の帰りを待ち望んではいたものの、おしっこを漏らしてしまっていた。
ごめんね、ごめんね、と言うように私の顔を見て鳴く。
私こそごめんね、と泣きながら言って抱き抱えてお風呂へ連れて行った。
程なくしておはようとおかえり、おやすみと頭を上げるだけでニコニコしてご飯も水も口に入れることはなかった。
ぺったんこの体と私を見る時の優しい目と。
そのまま1ヶ月ほど生きていたが最後の時はやってきた。
もう歩くどころか起き上がる気力すらなかったはずなのに、座っている私の膝下へ来て手をかけながら私を見上げてありがとうと言うように鳴いた。
きっとこれが最後なのだろうと悟った私はもう動けずに見守るしなかった。
里親探しのところでトイレの中からじっとこちらを見ていた子は、最後もトイレの中にどうにか潜り込んで荒い息をしながら遠くへ行こうとしていた。呼びかけると頑張って答えようとするのが辛くて、最後は呼びかけなかった。
一晩中起きていて朝の5時に天へ召された。
私はしばらく泣いて、葬儀場へ行き永代供養の合同墓地に納めた。
その時は手元にお骨を残しておくなんてことは考えていなかった。
心の支えであり、相棒であったその子との生活を終えた。
心の中が空っぽになり、ほとんど毎日泣きながら眠る生活。ペットロス症候群という言葉はその時はまだなかった。
今思えばそれは明らかなペットロス症候群。
しばらくしてパートナーに勧められてペットショップへ行くことにした。
相棒なんて出来るのだろうか。
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