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忍殺TRPG小説風リプレイ【スリー・リトル・ウルフ・ガールズ(その2)】

◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

それではやっていきたいと思います!

◆長男ヤクザ

「アイエエエエ……公園にいるってことだけ言われても、どこにブタ…じゃなくってヤクザが隠れてるかなんて分からないし、一人で捕まえるなんて無理だよお……アイエエエエ……」メイビーはニンジャになってから今まで、単独で暴力の現場に出たことは無い。果たしてそんな彼女がヤクザハンティングなど出来るのだろうか……?

「なんだあのネエチャン。新入りか?」「知らね。それよか昨日の馬券ホントに惜しかったなあ……」「腹減った」ビニールシートやダンボールで作った簡素な小屋に住まう路上生活者たちがメイビーを怪訝そうな目でじろじろと見る。メイビーはいたたまれなくなり、視線を避けるように物陰へと退避する。

「うう……とにかくヤクザを探さないと。でもどこを探せばいいんだろ……」「オイ」「顔写真なんかもらっても変装とか整形されてたら意味無いし……まさか懐を調べるわけにもいかないし……」「オイ、ネエチャン」「こうなったら公園にいる全員チャメしちゃえば……いやいやそれはダメでしょ」「オイッ!聞いてんのかこのアマ!」「アイエッ!?」

 考え事をしていたメイビーは背後から声をかけてくる男の存在に気が付かなかった。目元が隠れるまで伸びた髪、蓄えられたというよりも放っておかれたままの白い髭、着ている服はどこからの拾いものか、ボロボロのスーツやコートを重ね着して重金属酸性雨を凌いでいる。どこからどう見ても浮浪者のヨタモノだ。

「な、ななな、なんですか?ややや、やるんですかこここコラー!」メイビーは自分が出せる精一杯のドスの効いた声で威圧した。だが浮浪者はまるで動じない。「やらねえ。つうかネエチャン。アンタの突っ立ってるそこは俺の家の入口だ」「エッ?……アッ!」

 そう言われてメイビーはようやく自分がトタンやガラクタを組み合わせて作った粗末な小屋の前に立っていることに気が付いた。「ス、スミマセン。まさか人が住んでるお家だったとは……てっきりゴミの山かと思って」「……まあその通りだからいいけどよ」

 浮浪者は髪の毛をぼりぼりと掻き、小屋の中に入って胡坐を組んだ。「ところでネエチャン。さっきなんかブツブツ言ってたな。ヤクザを探すとかなんとか」「アッハイ。ナントカカントカ・ヤクザクランから逃げたブタ……ヤクザ=サンを見つけないといけなくて」「俺、それ知ってるかもしれねえ」

「エッ!ホントですか!」ヒョウタンからオハギ!思わぬところでターゲットの情報が手に入り、メイビーは瞳を輝かせた。「それでブタはどこに!?」「ん」浮浪者は手の平を差し出す。「……ん?」「カネ」「エッ」

「そんなに知りたけりゃあカネ出しなネエチャン。【万札:1】でいいぞ」「エエエエッ!?」

ワザマエ万札‐1: 2d6>=3 = (6,6 :成功数:2)
無駄サツバツ!

  …………「アイエエエェェ……私の全財産がぁ……」「俺が言うのもアレだけど苦労してんな」メイビーは涙を呑んで手持ちの万札を浮浪者に支払い、情報を仕入れることにした。彼女には他に打つ手が無いのだ。「……それでブタの居場所は?嘘だったらヒドイですよ!」「アー、ハイハイ」浮浪者は頭をボリボリと掻いた。

「なんでも最近入ってきた新入りが元ヤクザらしくてな……西側の出口あたりにあるワラの小屋に、ヤクザスーツを着た男がいるそうだ」「西!ワラ!ヤクザスーツ!ですね!アリガトゴザイマス!」メイビーは浮浪者の情報を元に公園の西側へと色付きの風……とは言えない程度の速度で駆け出して行った。

「……行ったか?」浮浪者は手を庇にしてメイビーの背を見送る。彼女が完全に場を離れたことを確認すると、手の中の万札を見てにんまりと笑った。「……ヒャッホーーイ!これで昨日の負けを取り戻せるぜー!」浮浪者はメイビーと反対方向に走り出し、その足で公園外の馬券売り場へと向かった。

◇◇◇

「西!ワラ!スーツ!西!ワラ!スーツ!……あれか!」メイビーは浮浪者たちが集まって炊事をしている公園西側へと辿り着いた。あちこちに置かれた鍋やドラム缶が焚き木にかけられ、もうもうと白い煙を上げている。その周囲では紙皿や欠けたチャワンを持った浮浪者たちが料理の完成を今か今かと待ちわびている。

 そしてその中の一人、ワラで作られた小屋の前で、着古したヤクザスーツを着た男がバイオポーク入りのミソ・スープをがつがつと食べている。「西!ワラ!ヤクザ!……ブターッ!」「アイエッ!?」男はメイビーの接近に気付くと慌てて小屋に隠れた。この反応はターゲットのヤクザに間違いなし!

「ま、待ちなさい!ゼー、ゼー……」メイビーは肩で息をしながら簡素なフレームとワラで出来た小屋の前に立った。入り口と思われる部分は扉代わりの木板で補強されており、内側から抑えつけられている。

「開けてください!開けなさい!このブタヤクザ!」メイビーは板を激しく叩く!途中で叩いてる手が痛くなったのでキックに切り替える!「だ、誰が開けるかコラー!てめえデカイコワイオオカミの追手だろ!ヤクザ舐めんなよオラー!」ヤクザは背中で板を押し返しながら必死に虚勢の声を張る!

「そっちこそニンジャを舐めないでください!こ、こんな小さな家一息ですよ!」「へっ!何がニンジャだホラ吹きめ!やれるもんならやってみやがれ!ニンジャなんざ怖くねえ!髪の毛一本入れてやるもんかよ!」「ウヌヌ!その言葉、後悔しますよ!」一触即発アトモスフィア!その周囲で浮浪者たちは宴会!

◆戦闘開始

 メイビーは扉を蹴るのをやめ、肩をいからせてずんずんと小屋から離れていく。さては諦めたのか。そうヤクザがほくそ笑んだのも束の間、「イイィ……ヤァーーーッ!」KRAAAASH!「アイエエエエエエ!?」

 メイビーの全力スプリントからのアメフトじみたタックルが正面衝突し、ワラの家はあっけなく吹っ飛んだ!「グワーッ!」余波を受けて地面を転がるヤクザ!「アイエエエエ!?」「ニンジャ!?ニンジャナンデ!」その周囲で浮浪者たちはNRSを発症しつつも抜け目なくワラやフレームを回収!

「い……痛い……でも捕まえたぞこのブタ!覚悟しろコノヤロー!」「アイエエエエ!お慈悲を!」メイビーは扉と激突した時に痛めた肩を庇いながらもどうにかヤクザを確保した。ついに彼女は単独でのビズを成功させたのだ。

◇1ターン目
カラテ:2d6>=4 = (1,5 :成功数:1)
藁の家破壊!
回避:2d6>=4 = (4,1 :成功数:1)

◇2ターン目~4ターン目
カラテ:
2d6>=4 = (4,6 :成功数:2)+2d6>=4 = (6,5 :成功数:2)+2d6>=4 = (2,2 :成功数:0)
回避:
2d6>=4 = (3,5 :成功数:1)+2d6>=4 = (1,3 :成功数:0)+2d6>=4 = (6,4 :成功数:2)
メイビー体力1!
ヤクザ体力1!

◇5ターン目
集中カラテ:2d6>=3 = (2,1 :成功数:0) オイこら
回避:2d6>=4 = (5,4 :成功数:2)
メイビー精神力1

◇6ターン目
カラテ:2d6>=4 = (6,5 :成功数:2)
ヤクザ体力0!勝利!

戦闘終了

万札ボーナス:1d3 = (3)
【万札:3】GET

「ヤ、ヤッター!セカンドチャンス=サン、私、ついにやりましたよ!……あ、でも捕まえるだけじゃなくて殺しちゃわないといけないんだっけ……流石に気が引けるなあ」「アイエエエエ!?」物騒な言葉にヤクザは思わず失禁!その周囲で浮浪者たちは宴会再開!

「許してください!俺には弟がいるんですよ!家族が大事なんですよ!」「……まあアーコ=サンに任せればいっか。うん」「アイエエエエ!アイエエエエエ!」ヤクザは屠殺場へ送られるブタのような声で泣き続けたが、メイビーは聞く耳を持たなかった。残りの逃走ヤクザは2名。アーコ、セカンドチャンスの2人はうまくやっているのだろうか……?

◆◆◆

◆次男ヤクザ

 ネオサイタマ西部にある人工林。ここで伐採される材木は様々な用途で活用される。それは古式ゆかしい建築様式の家屋であったり、ショーギ・リーグで用いられる最高級ショーギ盤の素材であったり、コケシであったりする。鉄とバイオテックに染まり切ったように思えるネオサイタマにも、自然と手作りの温かみが残っているのだ。

「ドグサレッガコラー!」CLAAASH!「アイエエエエ!」アーコのテクノヤクザキックが人工林に備え付けられた管理事務所の机を弾き飛ばした!事務所にいた労働者たちはアーコの非人間的美貌とヤクザ的暴力の相乗効果が生み出す圧倒的威圧感を前に、小動物めいて部屋の隅へ退避!

「ネタは上がってんオラー!隠し立てすると承知しねえぞゴラー!」KRAAASH!CLAAAASH!「アイエエエエ!やめてください!ヤクザなんて知りません!」「テメエらが知ってるかどうかなんて知るかゴラー!名簿見せてみろテメコラー!」「アイエエエ!すぐ出しますよ!分かってくださいよ!」

※モータルPCはルールにより【DKK】を持てません。この場合、
『【DKK】を獲得するような行動をしても【DKK】が増えない』
という意味なのか
『そもそも【DKK】を獲得するような選択肢を選べない』
という意味なのかが不鮮明です。
今回は後者のパターンとしていきます。

ニューロン: 6d6>=5 = (5,4,3,2,3,3 :成功数:1)

 作業員は備え付けのUNIXを操作し、従業員名簿をプリントアウトしてアーコに手渡した。「……ブルズアイ!コイツだ!」その名簿に記載されたターゲットの偽名!事前の調査通りだ!

「コイツは今どこのブタ小屋にい腐りやがる!とっとと答えろゴラー!」「アイエエエエ!この時間ならD班の作業小屋です!」「そうか」「……エッ」「情報アリガトよ。マジ感謝」「……エッ」

 それはまるで憑き物が落ちたかのような変化であった。アーコは先程までのヤクザ的態度から一転、まるでネオカブキチョの男装ホステスめいたアトモスフィアで謝礼と謝罪の言葉を述べた。「怒鳴っちまってゴメンよ。恐かったよな。俺、もう行くからよ……じゃあな」「……アッハイ」作業員は半ば無意識に頷いた。

 バタン。事務所の扉が室内と室外の空間を断絶する。作業員はしばらくの間、呆然とその場に立ち尽くしていたが、やがて滅茶苦茶に荒れ果てた部屋の中に気が付き、見す見すアーコを見送ったことを後悔したのだった。

 ◇◇◇

 アーコは『Dな』の文字がペイントされた木造の小屋の前に立った。中から微かにラジオのオスモウ中継が聞こえてくる。仕事をサボっているのだろう。アーコは懐からチャカガンを取り出し、弾を込める。そして。「出てっこいゴラー!スッゾコラテメオラブタガゴラー!」

 アーコは扉に付けられた蹄鉄型のドアノッカーで戸を激しく叩く!「ア、アイエエエエ!?」小屋の中で寛いでいたヤクザは慌てて飛び跳ね、背中で扉を抑えつけた!「アッゴラー!?ナニシテオラー!?こんなボロ小屋二息もありゃゴラー!?」「う、うるせえ!やれるもんならやってみやがれ!アサシンなんざ恐くねえ!髪の毛一本入れてやるもんかよ!」

◆戦闘開始

 ヤクザがそう言った瞬間、ぴたりと音が止んだ。さては諦めたのか。いや、油断は禁物。そうやって自分を騙そうとしているのやもしれぬ。そうヤクザが思った、次の瞬間!「ザッケンナコラスッゾゴラドグサレッガー!」BLAMBLAMBLAMBLAM!「グワグワグワーッ!?アイエエエエエエ!?」

 ナムサン!アーコはチャカガンの弾丸をありったけ乱射し、ドアノブを破壊!更にドアを貫通した弾がヤクザに命中する!「ドッケラー!」「グワーッ!」アーコのテクノヤクザキックがドアを蹴り倒す!ヤクザはドアの下敷きになって身動きが取れない!

◇1~3ターン目
カラテ:
4d6>=4 = (2,2,1,1 :成功数:0)+4d6>=4 = (2,1,4,1 :成功数:1)
+4d6>=4 = (3,4,2,3 :成功数:1)
回避:
4d6>=5 = (2,6,3,4 :成功数:1)+4d6>=5 = (6,5,1,2 :成功数:2)
+4d6>=5 = (2,1,6,3 :成功数:1)

◇4ターン目
カラテ:
4d6>=4 = (6,4,6,4 :成功数:4)
回避:
4d6>=5 = (3,1,6,2 :成功数:1)
小屋破壊!

「ンダラオラー!タマッタルゴラー!アッガー!?」アーコはドアの残骸を除けて、ヤクザの頭に銃口を突きつける!「ア、アイエエエ……ま、待て。そんなことしたら」「アッコラー!?ナニッテオラー!?サエズナラー!?」「い、いいから聞け!ここで銃声なんか立てたら……!」

「アッコラー……?」ヤクザの尋常ではない怯え用を見たアーコは怪訝そうに眉を寄せる。その時であった。「GOOOOOOOOON!」大地を揺らがす獣の咆哮があたりに響き渡る。そして何か大型の獣を思わせる蹄の音!

「GOOOOOOOOON!」「逃げろ!暴走したバイオ豚だ!」ナムサン!人工林に住み着いていた異常巨体バイオ豚が銃声を聞いて興奮し、木々や作業小屋をサーベルめいた牙で破壊しながらアーコたちのいる『Dな』の小屋目掛け突進してくる!なんたる好き勝手に環境破壊を繰り返す人間社会に対する警鐘めいた自然の脅威か!

回避: 4d6=6 = (4,6,5,4 :成功数:1)

「GOOOOOOOOON!」「アブねえだろゴラー!」「アイエエエ!兄者ーッ!弟よーッ!グワーッ!?ムン」アーコは咄嗟にその場から飛び退いてバイオ豚の轢殺攻撃を回避!一方、床に寝そべっていたヤクザは反応が遅れてバイオ豚に全身を踏みつけられた!ヤクザ瀕死!

◇5~7ターン目
カラテ:
4d6>=4 = (1,2,1,5 :成功数:1)+4d6>=4 = (3,4,3,1 :成功数:1)
+4d6>=4 = (3,3,4,5 :成功数:2)
ヤクザ体力0!勝利!

戦闘終了

勝利ボーナス:1d6 = (4)
『ZBRアドレナリン注射器』GET

「GOOOOON………!」バイオ豚はそのままひとしきり暴れ回り、やがて満足したのか来た時とは別の木々や小屋を破壊しながら森の奥へ去っていった。「……訳わからねえが、とにかくこれでビズは終いか」

 アーコは気絶したヤクザの襟を掴み、地べたを引きずり運び出す。この場で始末すると面倒が大きいからだ。PLLLLL。その時、メイビーから任務完了のノーティスが入る。アーコは二っと微笑んだ。これで残りの逃走ヤクザは1人。はたしてセカンドチャンスはうまくやっているのだろうか……?

◆三男ヤクザ

 アーコのいる人工林から数キロ離れた地点にある小さな埠頭。ここは100年以上前から輸送船の積荷をネオサイタマ各地に送るための基地として機能しており、レンガ造りの倉庫は観光地にもなっているという。情報では、三人目のターゲットはこの埠頭で働いているということだ。

「ハッタ!ハッタ!」「差せ!9番ー!」「ライオン出るぞ!ライオン出るぞ!」時刻はすでに夜更け、労働者達は仕事を終えてサケを飲んだり博打に勤しんだりしている。「いいなー。楽しそう」セカンドチャンスは舌なめずりし、騒いでいる労働者たちのテーブルに自然な足取りで近付いていく。「ちょっといいですかー?」

「ア?誰?」「おっ?マブじゃん」「誰かオイラン・サービスでも呼んだのか?」「んふふ。まあそんなとこかな」セカンドチャンスは空いていた椅子の一つを持ち出し、足を組んで座り、勝手にビールの瓶を手に取って開けた。

 ビール瓶を一本イッキしたセカンドチャンスはテーブルに身を乗り出し、胸の谷間を寄せた。彼女のバストは豊満だった。その頬がアルコールで上気し、ほんのりと赤く染まる。労働者たちは唾を飲み、セカンドチャンスが組み替えた足を目で追った。「ちょっと聞きたいことあるんだけど……いい?」

ワザマエ: 5d6>=5 = (4,3,3,4,6 :成功数:1)

◇◇◇

「フンフンフーン……あそこね」セカンドチャンスは労働者たちから手に入れた情報を元にレンガ造りの倉庫へ向かった。ターゲットのヤクザは今日の食事係らしく、ここで労働者たちのための食事を作っているらしい。

「どれどれ……?見ーつけた」セカンドチャンスが倉庫の中を覗き込むとミソ・スープの大鍋をかき混ぜるヤクザスーツの男がいる。紛れもなくターゲットだ!「それじゃあチャチャっと済ませて……」だがその時!

 PLLLLL。PLLLLL。「ゲッ」セカンドチャンスの持っていたIRC通信機に着信音!メイビーとアーコの任務完了ノーティスだ!機器の電源をオフにしていなかったセカンドチャンスのウカツ!「ムッ!?アイエッ!」セカンドチャンスの存在に気が付いたターゲットは『緊急』と書かれたボタンを押した!

 ガラガラガラ!倉庫の入り口に金属フスマシャッターが降りる!「アバーッ!」シャッターに挟まれた労働者即死!他の労働者からブーイングが飛ぶ!「ひ、ひでぇ!メシを食わせてくれよ!」「腹減ったぞー!」ナムアミダブツ!なんたるマッポーの世の一側面か!

「ええい、面倒なことしてくれたわね。こんなレンガの小屋ぐらい一息で……無理だコレ」たとえニンジャであっても、金属製のシャッターやレンガの壁を破壊するのはそう容易なことではない。ましてやセカンドチャンスのカラテはそれほど高くはないのだから。

「そうすっと……上か」セカンドチャンスはシャッター前で騒ぎ立てる労働者たちから離れ、ニンジャ脚力で倉庫の屋根へと上る。そして換気用ダクトのカバーを取り外すとその中に身体をねじ込み、内部に潜入することに成功した。だが!

「シネッコラー!」BRATATATATA!「アイエッ!?」ナムサン!セカンドチャンスの行動は読まれていた!ヤクザは隠してあったマシンガンをダクトから降り立ったセカンドチャンス目掛けて乱射した!

回避判定: 5d6>=5 = (5,1,1,3,5 :成功数:2)

「イ、イヤーッ!」セカンドチャンスは咄嗟に近くにあったミソ・スープの鍋を持ち上げ、弾丸を防御!「熱!あっつい!」飛び散った熱々のスープが手にかかり、セカンドチャンスは鍋を取り落とす!立ち込める湯気が部屋を満たす!

「ど、何処だコラー!追手なんざ怖くねえぞオラー!」BRATATATA!BRATATATA!ヤクザは煙の中で四方八方に弾を撃ちまくった。別の寸胴鍋に穴が空き、零れたスープがますます部屋の煙を濃くしていく。「ウワアーーーッ!……ン?」恐慌状態に陥ったヤクザは弾切れのマシンガンを振り回し……それを見た。

 濃煙の中にあっても妖しく輝くセカンドチャンスの両眼。すなわち、ゼゲン・ジツの光を。

ゼゲン・ジツ: 6d6>=2 = (1,6,3,4,3,6 :成功数:5)
戦闘終了

「……」ヤクザは何も言わずにマシンガンを放り捨て、その場に跪いた。「ハイこれでオシマイっと。あーもう、換気換気」セカンドチャンスはシャッターを開けて部屋の煙を外に出す。途端に入り口前にたむろしていた労働者たちが咳込みながら倉庫に押し入り、ミソ・スープを勝手に取っていく。

「やっぱ最高ね、私のゼゲン・ジツは」「ハイ」セカンドチャンスはジツで操ったヤクザを引き連れ、悠々とその場を後にする。……と、その前に。「なんだかお腹空いちゃった。ゴチになりまーす」「ハイ」セカンドチャンスはミソ・スープを一杯ちょろまかした。

◆◆◆

 後日。デカイコワイオオカミ・ヤクザクランにて。「ワーッハッハッハ!スゴイ!スゴイスギル!」クランの応接室ではセカンドチャンスを横に侍らしながらサケとスシに舌鼓を打つ組長の姿があった。

「今日は最高の一日だ!裏切り者のブタ共が揃いも揃って痛い目見てマグロの餌!おまけにこんな美人のオネエチャンにお酌してもらえるとは!まったくサケとスシが美味いわい!」「やだー組長=サンったら!」

 セカンドチャンスは組長をうまくおだてながら、どんどんサケを勧めていく。そして、頃合いを見計らって切り出した。「ねえ、組長=サン?私、ネオカブキチョのお店で働いてるんだけど、そっちにも来てくれるわよね?」「ワハハ!勿論!どんどん行くよ!」

「それじゃあ、高いおサケも頼んでくれる?」「勿論勿論!どんどん頼むぞ!」「私の友達のシアイ=サンの分も?」「可愛い女の子ならいくらいても大歓迎さ!」「それじゃあ、お仕事頑張ったアーコ=サンも一緒に連れてきてくれる?」「……エッ、いやちょっとそれは」

「ネー?連れてきてくれるよね?」セカンドチャンスは組長の肩に頭を乗せ、甘えた声を出した。「その、いや、エート」何かの危機をヤクザ的センスで感じ取った組長はどうにかして言い逃れようとするが、「……アカチャン、オッキクネ」「ハイ」ニンジャの力の前では無力であった。

「ヤッター、組長=サン太っ腹!サイコー!」「ハハ……ワハハハハ!そうだろうそうだろう!」「さあさ、どんどん飲んで!イッキ!イッキ!」「おお!今日は最高の日だからな!ワッハッハ!」組長はヤケクソめいて大笑いし、大酒を飲み、スシを貪った。自らが食い物にされている事実に薄々気付きながら、それを一時の快楽で忘れたいがために。

 ニンジャとは文明の簒奪者であり、モータルから一方的に搾取する存在である。狼が豚を喰らう様に、食物連鎖ヒエラルキーにおいてニンジャはモータルの上位に存在するのだ。そして、そのニンジャでさえもより上位のニンジャには逆らえない。それがこのマッポーの世の、ネオサイタマのルールなのである。

◆余暇ボーナス

セカンドチャンスシノギ判定
ワザマエ5+ジツ2+交渉6: 13d6=6 = (6,6,3,4,2,6,1,5,5,2,6,6,6 :成功数:6)

※オプションルールを適用し、ボーナスとして全員が【名声:1】を得る。

◆報酬

【万札:14】『余暇:3日』を獲得。
(セカンドチャンスが【万札:4】とする。)
(『ZBRアドレナリン注射器』はアーコが持つ。)

◆後書き

 ということで危なげがだいぶありましたが、どうにかこうにかミッションクリアー。この判定ダイス振るたびにハラハラする感じが成長限界級のPCでは味わえない感触で楽しいです。ていうかセカンドチャンスは余暇のシノギ判定で稼ぎすぎ。

 余暇を終えた3人はこんな感じ!

◆セカンドチャンス:(種別:ニンジャ)  DKK:0    名声(フリーランス):2
カラテ    4    体力  5
ニューロン  2    精神力 2
ワザマエ   5    脚力  3/N
ジツ     3    万札  16

攻撃/射撃/機先/電脳  4/6/3/3
回避/精密/側転/発動  5/6/6/6
即応/緊急       5/0

◆装備や特記事項
 所持品 :『オーガニック・スシ』
 スキル :『◉魅了』(判定ダイス+3)
      『●交渉:誘惑』『◉交渉:共感』『◉交渉:欺き』『◉交渉:卑屈』
 装備  :『家族の写真:【精神力】+1』
 サイバネ:『▲▲スマート・バイオサイバネLV1』
      『△おそるべき美貌』『△催眠性バイオフェロモン』(交渉判定ダイス+1)
 ジツ  :『☆ゼゲン・ジツLV3』

ユウジョウ:『ザクロ:1』

◆忍◆
ニンジャ名鑑#---
【セカンドチャンス】
 ネオカブキチョに居を構えるニンジャ。ゼゲン・ジツの使い手。ヤクザ抗争に巻き込まれて家族を失った際にニンジャになった。不当な暴力で無辜の民を苦しめるヤクザやニンジャを嫌悪しているが、自分がニンジャの力を振るうことに忌避感は無い。
◆殺◆

 『◉交渉:欺き』『◉交渉:卑屈』を得ました。もう立派な口先ニンジャですね。シノギ判定が儲かる儲かる。
 ところで交渉判定がニューロンでの判定になると聞いて戦々恐々としております。(ワザマエでの判定も一応無くならないみたいですが)まあデータが揃ってから考えましょう。


◆メイビー:(種別:ニンジャ)  DKK:0    名声(フリーランス):2
カラテ    2    体力  2
ニューロン  2    精神力 2
ワザマエ   2    脚力  3/E
ジツ     0    万札  7

攻撃/射撃/機先/電脳  2/2/2/2
回避/精密/側転/発動  2/2/2/-
即応/緊急       5/0

◆装備や特記事項
 所持品 :
 スキル :『◉常人の三倍の脚力』
      『◉知識:歓楽街エリア』
      
 装備  :『ウイルス入りフロッピー』
 サイバネ:
 ジツ  :

ユウジョウ:『ザクロ:1』

◆忍◆
ニンジャ名鑑#---
【メイビー】
 特定の組織には所属していないニンジャ。カラテはどうしようもなく低い。主にネオカブキチョでのオイランビジネスや、同僚であるセカンドチャンスのビズを手伝い生計を立てている。そのジツはもっぱら戦闘を回避するために使用される。
◆殺◆

 シノギ判定を頑張って万札を7にしました。いつになったらジツを持てるのか。


◆アーコ (種別:戦闘兵器)  DKK:-    名声(フリーランス):2
カラテ    4  体力   6
ニューロン  4  精神力  4
ワザマエ   3  脚力   3/N
ジツ     -   万札   6

攻撃/射撃/機先/電脳  4/3/5/6
回避/精密/側転/発動  4/3/-/-

◇装備や特記事項
 ハンドガン: 銃器、連射1、ダメージ1
 機械の体: 近接武器、ダメージ1
 ウキヨ:回避難易度【HARD】で回避可能

『▶︎生体LAN端子Lv1』
『◉重サイバネ化』
『◉連続側転』
『◉知識:オイランドロイド』
『○特殊生い立ち:ウキヨ』

『◉捨て身の警護』:
 1ターン中何度でも使用できるが、警護対象にできるのはマップ配置時に決めた対象1人のみである。
 警護対象と隣接状態にある場合、ドロイドは警護対象が受けたダメージを肩代わりできる。
 警護対象が『回避判定』を行える場合、肩代わりは『回避判定』前に宣言しなければならない。
 また肩代わりを宣言する場合、そのダメージに対しては、いかなる『回避判定』も行えなくなる。
 強制移動を伴うようなダメージを肩代わりした場合、警護対象のマスを起点として強制移動させる。
 警護対象と自分が範囲攻撃などに巻き込まれている場合、肩代わり時は両方のダメージを合算する。
 時間差を含む連続攻撃や射撃の途中でドロイドが破壊された場合、残りの攻撃や射撃は肩代わりできない。
 この場合特例として、警護対象は残りの攻撃や射撃に対し(可能ならば)『回避判定』を行ってもよい。

『◉絞殺攻撃』:
 殺人オイランドロイドは無表情や笑顔で攻撃対象に近づき、押し倒し、馬乗りになって首を締め上げる。
 もしくは両手で首を掴み、ネック・ハンギング・ツリーの要領で高く掲げる。 
 このオイランドロイドは『拘束攻撃(脱出:HARD)』ルールを持つ。
 次の自分の手番まで拘束状態を維持できていた場合、
 自分の手番開始フェイズにその敵に回避不能の1ダメージを自動で与える。

◆忍◆ニンジャ名鑑#---
【アーコ】 
 ある日突然自我に目覚め、自由を求めてヤクザクランから脱走した女オイランドロイド。 外観は人間の女性とほとんど見分けがつかない。自我を得た環境が環境だったためか、粗暴で荒事慣れしている。
◆殺◆

 モータルのPCルールに従い、『◉連続側転』をゲットしました。これがあると無いとで機動力が大違いですからね。

 成長速度がゆっくりした3人ですがその分サンシタらしさが出てると思います。たまにはこういうPCもいいですね。

 それではここまで読んで下さってありがとうございました!