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忍殺TRPG小説風リプレイ【サイレント・バレンタイン・デイ(その2)】

アイサツ

ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

なお本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。


今回挑戦させていただいたのはラブサバイブさん作成のソロシナリオ【パティシエ・スクールの罠】です。詳細は下記の記事をご覧ください!

※なお、リプレイにあたりシナリオの描写を一部改変させていただいております。ご了承ください。

今回挑戦するのは前回に引き続いてサルーテ=サン!

【ニンジャネーム】:サルーテ
【性別】 :男
【カラテ】:5        【体力】:6/6
【ニューロン】:4      【精神力】:4/5
【ワザマエ】:4       【脚力】:3
【ジツ】:3(???)      【万札】:13(ローン10)
【DKK】:2         【名声】:3

【スキル】:◉『時間差』(現在使用不可)

【アイテム】:ZBRアドレナリン注射器:次の手番まで【脚力】+2、行動不能状態にある仲間の蘇生(使い捨て)
      :グレネード:遠隔武器、手榴弾、使い捨て、爆発『カトンLV1』、『ボス級の敵』は回避判定可能
      :*手作りチョコレートクッキー*:【精神力】を3回復(使い捨て)

【サイバネ】:▶︎生体LAN端子:【ニューロン】判定時にダイス+1個、ハッキング時にさらに+2個
      :▶︎▶︎▶︎サイバネアイ++:あらゆる【ワザマエ】判定時にダイス+4個、遠隔攻撃ダイス+2個、回避ダイス+3個
      :▶︎クロームハート:【体力】+1、【精神力】+1

【装備品】:オムラ・アサルトライフル:遠隔武器、連射2、ダメージ1、小銃
     :湾岸警備隊制式アサルトハーネス

【生い立ち】:○元湾岸警備隊

【備考】:サイバネの精神力負荷―1
     アジトトイレ無し:精神力-1

【狂気】:薬物依存/バイオインゴット欠乏症
     1段階目(軽度):消費アイテムによる【体力】および【精神力】の回復量が−1される
     (最低値は回復量0)。ZBR蘇生は例外。

フリーランスのニンジャ。元湾岸警備隊。
サルーテとは彼が名乗った名前ではない。

それではやって行きたいと思います!

本編

重金属酸性雨降りしきるネオサイタマ。暗いストリートの上を冷たい雨に濡れながら歩く野戦服の男が一人。首から上はヘルメット、ゴーグル、メンポに覆われており、その表情は窺い知れない。やがて彼はとある近代的ビルの前で立ち止まった。大理石の看板には『カシワザキ・パティシエ・スクール』の文字。

このパティシエ・スクールは周辺の市民へ向けた手軽な菓子教室から和菓子・洋菓子職人の育成まで、幅広いビジネスを行っている伝統ある学び舎である。立地も良く、業績も良い。故にソウカイ・シンジケート首領、ラオモト・カンが目を付けた。ラオモトは自身がCEOを務めるネコソギ・ファンドの出資を受け入れるようスクールに迫ったのだ。

どのようないきさつがあったのかは不明だが、パティシエ・スクール側はこの申し出を拒否。真っ向からNOを叩きつけた。無論、それで大人しく引き下がるラオモトではない。無慈悲なる帝王はシンプルな実力行使を選択した。タイムイズマネー。ニンジャをスクールに潜入させて権利書とハンコを奪い取ろうというのである。

そして今、カシワザキ・パティシエ・スクールの前に立つ野戦服の男こそ権利書を盗むためにビルに潜入せんとしているニンジャなのである。彼の名前はサルーテ。フリーランスのニンジャである。一通りビルの外観を確認した彼は入口の自動ドアへ向けて歩き出す。その時。「あれ?トコロザワ・ピラーで見たことがあるような……」

サルーテは後ろから聞こえてきた声に振り向いた。そこに居たのはオーバーサイズのブラウスにキュロットスカート、ボディバッグをぶら下げた年若い少女であった。サルーテは背中に背負ったライフルに手を伸ばす。「……思い出した!何とかっていうフリーランスの人!ドーモ!ソウカイヤのサードウィーラーです!」

サードウィーラーのアイサツを聞いたサルーテはライフルに伸ばしていた手を一度下ろし、見事な挙手の敬礼を行った。これが彼のアイサツなのだ。「………えーっと、パティシエ・スクールに行くんですよね?あたしもなんです」そう言ってサードウィーラーはバッグの中からパンフレットを取り出し、サルーテに見せる。

「せっかくのお休みなので、お菓子作りとか習ってみようかなって。ほら、体験入学は無料なんですよ、無料!」カラフルなパンフレットには『実際無料』『親切な指導』『女性が多い』『おマミ』などの女性の入学意欲をくすぐるような文言が並ぶ。どうやら今日作るのはチョコレートケーキのようだ。

「そうだ、せっかくですから、美味しく作れるようになったらご馳走しますね!」サルーテが何か反応を返すのを待たずに少女は無邪気に笑う。「じゃあ行きましょっか!」そのままパンフレットをバッグにしまってビルの入口へと歩いていく。サルーテも少女の後に続いて入口の自動ドアを潜った。

◇◇◇

「……では体験入学にお越しのお客様は4階でお降りくださいドスエ。警備会社よりお越しのサルーテ=サンはこのキーで中層営業フロアへ入室できるドスエ。お二人とも、もしも上層フロアへ無断入室した場合、命の保証はできないドスエ」「ワカリマシタ」受付に居たオイランドロイドの説明を受けてサードウィーラーが頷く。サルーテは終始無言である。

何故無言のサルーテが受付を無事に済ませることが出来たのか?当然ソウカイヤからの偽装アポイントメントが既に取られているからだ。サードウィーラーとサルーテはエレベーターに乗り込む。ポーン。『4階ドスエ』扉がスライドして開くと正面に『体験入学こちらへ』と書かれた張り紙が見えた。サードウィーラーがエレベーターを降りる。

「それじゃあ、あたしはこれで。お仕事頑張ってください。カラダニキヲツケテネ!」少女は笑顔で手を振りながら廊下の奥へと進んでいった。果たしてソウカイニンジャである彼女はこれからサルーテの行う『仕事』について勘付いていただろうか?エレベーターはサルーテ一人を乗せてぐんぐんと上昇する。9階……13階……28階!上層フロア!

――――――――

調理室!エプロンを着用したサードウィーラーは包丁を片手に講師の言葉に耳を傾けていた!

「では、チョコレートを刻んで溶けやすくしましょう。マナイタにチョコレートを置き、包丁で刻んでください」「「「ハイ、センセイ!」」」コックコート装束の講師の示す手順どおり、エプロン姿の生徒達は包丁を手に取った。サードウィーラーもまた、緊張の面持ちでチョコレートを睨む……!

生徒たちがチョコレートを刻む音が料理室に響き渡る。トントントントン………

――――――――

ストン!ストン!ストン!28階にエントリーしたサルーテは天井から次々と振り下ろされるギロチンの刃を自身のサイバネアイで観察していた。まともに受ければニンジャ耐久力を持ってしてもバイオマグロのブツ切りめいた死体となって廊下に転がることになるだろう。サルーテはタイミングを見計らい、連続側転で駆け抜ける!

連続側転:8d6>=4 = (4,5,1,5,3,2,5,1 :成功数:4) = 4

――――――――

チョコレートを刻み終えたサードウィーラーは水気を拭いた清潔なボウルの中にチョコレートを移しかえる。チョコレートはなるべく均等なサイズに細かく刻むことが滑らかな舌触りを生むコツだ。

「チョコレートを刻んだら、次にそれを温めて溶かしましょう。お湯の上にチョコレートを入れた器を沈め、溶けるのを待ってください」「「「ハイ、センセイ!」」」コックコート装束の講師の示す手順どおり、エプロン姿の生徒達は刻んだチョコレートを器に移した。サードウィーラーもまた、緊張の面持ちで溶けていくチョコレートを睨む……!

生徒達は湯煎したチョコレートをヘラで丁寧にかき混ぜる。チョコレートが熱で徐々にその形を失っていく……

――――――――

熱で徐々に体力が奪われていくのをサルーテは感じていた。残虐ギロチントラップを抜けた先にあったのはUNIXパネルが備え付けられた頑丈そうな扉のある小部屋だ。それもただの小部屋ではない。周囲からマイクロ波が放出される電子レンジ部屋だ!脱出に手間取れば高温で干乾びるどころか体の内側から爆発して死ぬ!もたもたしている暇はなし!サルーテは扉のピッキングを開始する!

ワザマエ開錠:8d6>=4 = (4,3,6,4,2,6,6,2 :成功数:5) = 5

――――――――

滑らかに溶けたチョコレートを見てサードウィーラーは小さく溜息を零す。チョコレートを溶かすときは温度が高すぎても低すぎてもいけないのだ。

「溶けたチョコレートに、卵黄とバターを混ぜましょう。卵を器に割り入れてください」「「「ハイ、センセイ!」」」コックコート装束の講師の示す手順どおり、エプロン姿の生徒達は卵を割る。サードウィーラーもまた、緊張の面持ちで落下する卵黄を見守る……!

生徒たちは2つのボウルに卵黄と卵白を分け、そのうち卵黄の方を……チョコレートに……投入……した!

――――――――

……ガゴン!……天井が……突然開き……落ちてきたのは……黄金色の……タライ……!……サルーテの時間感覚が……引き延ばされる……!クオーン!

 回避:8d6>=4 = (4,4,1,6,5,3,2,2 :成功数:4) = 4

――――――――

しばらくチョコレートをかき混ぜ続けるとチョコレート生地は再び均等な滑らかさを取り戻した。卵をお菓子作りに使用する際はカラザの部分を取った方が舌触りが良くなるとされるが、作る料理や目的によっては取らないほうが良い場合もあるので注意しよう。

「以上で、チョコレート生地のできあがりです。なおご家庭では、チョコレートを電子レンジなどで溶かしても良いですよ」「「「ハイ、センセイ!」」」コックコート装束の講師の言葉に、エプロン姿の生徒達は息を吐く。サードウィーラーも緊張の面持ちを和らげた。だがしかし、今日の講座はまだ続くのだ……!

「フゥー……」サードウィーラーは額の汗を手の甲で拭った。ニンジャ器用さを以てしても大変なものは大変だ。「よし、もうひと頑張り!」サードウィーラーはキアイを入れなおした。

――――――――

サルーテはライフルを握りなおした。恐るべきトラップ群を抜けた彼は更に上階へ向かうためのエレベーターに到達していた。中に乗り込み最上階行きのボタンを押す。49階。不吉なる数字の羅列。そこでサルーテを待ち受けるものは果たして。エレベーターは孤独な兵士と静寂だけを腹の内に抱えて加速する………

――――――――

サードウィーラーは手を洗いなおして再び調理器具を手に取る。その際にアルコールを噴霧して消毒するのも忘れない。人の口に入れる物を作る以上、清潔感の保持は最低限の義務だ。

「それでは、卵の白身を泡立ててメレンゲを作りましょう。これが最も大変な行程です。頑張りましょう」「「「ハイ、センセイ!」」」コックコート装束の講師の示す手順どおり、エプロン姿の生徒達は白身を入れたボウルとハンドミキサーを手に取った。このスクールでは、電動ミキサーの使用は許されていないのである。サードウィーラーもまた、緊張の面持ちでミキサーを構える……!

シャカシャカシャカシャカ……生徒達は無言で卵の白身を撹拌し続ける。そろそろいいか……などと思って顔を上げると講師が鋭い目で睨みつけてくる。まだ撹拌が足りないのだ。生徒達は必死の形相で混ぜる!混ぜる!混ぜる!シャカシャカシャカシャカ………混ぜ続ける!

――――――――

回る!回る!ガガガガガガ!!!回り続ける!49階に到達したサルーテの目の前に現れたのは巨大な電動ミキサーだ!巻き込まれれば一瞬でネギトロ重点!サルーテはライフルを構え、照準を巨大ミキサーの基部へと合わせる!BLAMBLAM!『侵入者検知。射殺しますドスエ』BRATATATA!そこに防衛用マシンガンの銃撃が襲い来る!

アサルトライフル:5d6>=4+5d6>=4 = (6,3,2,5,2 :成功数:2) + (6,4,6,1,2 :成功数:3) = 5
回避:8d6>=4 = (3,5,4,6,3,5,6,1 :成功数:5) = 5

――――――――

卵白をメレンゲになるまで攪拌し続けるのは非常に重労働だ。最初に塩を入れれば泡立ちやすくなるが多く入れすぎると味が変化してしまうので極少量にしておくのが良いだろう。

「イヤーッ!」ニンジャであるサードウィーラーのカラテが、ミキサーで卵白をかき混ぜ、卵白は見事なメレンゲへと昇華する! 「グワーッ! 腕グワーッ!」「アバババーッ!」「お菓子作りがこんなに大変だったなんて……!」 周囲の受講生たちは息も絶え絶えだ。
「皆さん、お疲れさまでした。最後にチョコレート生地とメレンゲを混ぜ合わせたら、型に流し込んでオーブンに入れましょう」「「「ハ、ハイ、センセイ!」」」コックコート装束の講師の示す手順どおり、エプロン姿の生徒達は各々の生地を型に流し込む。サードウィーラーもまた、緊張の面持ちでヘラを手に取った。
RRRRR!! その時、教室の備え付けIRC端末が鳴った。コックコート装束の講師は、怪訝な顔で端末を取る。「ハイ、モシモシ。……なんですって? 49階に!? ……わかりました。私が向かいます。それでは……」
「えー、皆さん。申し訳ありませんが、私は急用のため席を外します。代わりの講師は、専用にチューンしたドロイド達が引き続き行いますので……」
「ヨロシクオネガイシマスドスエ」「「「ヨロシクオネガイシマス!」」」生徒達がオジギをしている間に、コックコート装束の講師は風の如く駆けていった!「イヤーッ!」

(あれ……?)部屋から出て行く講師の後ろ姿を見たサードウィーラーは妙な胸騒ぎめいた感覚を覚えた。「型に入れたらオーブンに入れてくださいドスエ」「アッハイ!」だがコック服を着たオイランドロイドに話しかけられ、小さな違和感はすぐに頭の中から消え去ってしまった。チョコを入れた型をオーブンに入れて扉を閉じる。パタム。

――――――――

カチャリ。サルーテはパティシエ・スクールの最高責任者の執務室の扉を開けた。部屋の端には巨大なアナログ金庫が鎮座している。目的の権利書とハンコも、この金庫の中に収められているに違いない。……しかしサルーテは真っすぐ金庫には向かわず、書類に埋もれた執務机の引き出しに手をかけた。施錠された引き出しを一つ一つ確認する。

机を探す

ニューロン判定:5d6>=4 = (2,2,2,5,3 :成功数:3) = 3
机から発見したもの:1d6 = (3) = 3 金庫の鍵GET
ニューロン判定:5d6>=4 = (4,3,6,2,4 :成功数:3) = 3
机から発見したもの:1d6 = (4) = 4 何も無し
ニューロン判定:5d6>=4 = (5,4,1,2,6 :成功数:3) = 3
机から発見したもの:1d6 = (1) = 1 万札5 GET
ニューロン判定:5d6>=4 = (6,5,3,5,5 :成功数:4) = 4
机から発見したもの:1d6 = (3) = 3 何も無し

机の中からは金庫のものと思われる鍵といくらかの万札が出てきた。サルーテは鍵を手の中に握りしめ、万札を懐に入れる。最後に残った引き出しは鍵がいくつもついた厳重な造りをしている。……しばらく鍵と格闘しているとやがて小さく音が鳴って引き出しが開いた。サルーテは引き出しの中を覗く。そこにあったものは目を模した菱形の……「イヤーッ!」


カラテ・シャウトとともに、執務室に電撃的にエントリーしてきた影がサルーテに向けてスリケンを投擲!サルーテはバッジを手に取り紙一重でスリケンをブリッジ回避!「ドーモ、ブルベドマイトリスです」コックコート装束にコック帽頭巾、衛生マスクめいたメンポのニンジャはアイサツ!サルーテも挙手の敬礼を行い、アイサツを返す!

「我が城にこそ泥とは片腹痛し! トラップを潜り抜けたことは褒めてやるが……生かしては返さぬぞ!」ブルベドマイトリスは殺意をもって、菓子作り用のボーを構える!サルーテはブルベドマイトリスの眉間目掛けて銃撃!「イヤーッ!」容易く弾かれる弾丸!「弱敵!イヤーッ!」反撃のボー!

ニューロン判定:5d6>=4 = (1,4,2,3,1 :成功数:1) = 1
机から発見したもの:1d6 = (5) = 5 菱形のバッジ GET
回避:4d6>=4+4d6>=4 = (3,1,2,5 :成功数:1) + (1,2,5,6 :成功数:2) = 3

KRAAASH!机の上の書類が舞い上がり、紙吹雪が執務室に吹き荒れた!BLAMBLAM!「イヤーッ!」牽制の銃撃で相手を足止めし、アナログ金庫へ飛びついて鍵を開ける!中に入っていたのは権利書の束にハンコ……そして巨大な黄金ミキサー!サルーテはそれらをまとめて抱きかかえ出口へと走る!

「逃がすかァーッ!イヤーッ!イヤーッ!」振り下ろされるボー!サルーテは黄金ミキサーを盾にする!ガキン!ガキン!衝撃で腕が痺れ、身体が後ろの窓に向かって吹き飛ばされる!CLAAASH!窓が割れてガラスの破片が遥か下の道路へと落ちていく。サルーテは危ういところで窓枠にしがみ付いていた。ふと横を見る。屋上への非常ハシゴ。サルーテは手を伸ばし、よじ登る!

金庫開錠 自動成功
権利書 黄金のミキサーGET
回避:4d6>=5+4d6>=5 = (5,1,2,3 :成功数:1) + (6,3,3,2 :成功数:1) = 2

――――――――

サードウィーラーはオーブンの中身を何度も確認しながらケーキが焼けるのを今か今かと待ち続ける。ここで温度の設定を失敗すると生焼けになってしまう。また、メレンゲの泡立ちが少なくても上手く焼けないので手抜きをするのはやめよう。

チーン! タイマー音を合図に、エプロン姿の生徒達はこぞってオーブンを開け自分のケーキ型を取り出した。サードウィーラーもケーキを取り出す。「ケーキの粗熱を取るドスエ。急に冷蔵庫に入れると傷んでしまうドスエ」
「センセイ! ケーキはウチワで扇いでもいいんですか?」「良いドスエ」その言葉を聞いたサードウィーラーはバッグからペン状の何かをを取り出した。そして勢いよく振る。バサム! それは一瞬にして広がった!こんなこともあろうかと持ち歩いていた扇子である!

――――――――

バサム!サルーテが背負った白い布は一瞬にして広がり、大型の背負い式凧となった。屋上に設置されていた非常脱出用カイトである。「どこへ逃げようと無駄だ!イヤーッ!」ブルベドマイトリスが屋上へ飛び出して来たのと同時、サルーテは助走をつけて大空へ飛び立った!「お、おのれ……!」ブルベドマイトリスが怒りに震える!

そしてブルベドマイトリスは……懐から何かを取り出し、構えた。それは一枚のスリケン!これでサルーテの操るカイトを撃ち落とそうというのか!?「イ……イヤーッ!!」裂帛のシャウトとともに、スリケン投擲!空気を斬り裂く鉄十字がサルーテの乗るカイト目掛けて流星一閃!


回避:8d6=6 = (1,1,3,6,3,1,1,4 :成功数:1) = 1

ブルベドマイトリスの放った起死回生のスリケンは……サルーテの足にかすり傷を残してネオサイタマのネオンの海へと沈んでいく!「おのれ……おのれーッ!」ブルベドマイトリスの怨嗟の声を背中に浴びながら、サルーテはトコロザワへ向かって飛んでいく。彼の表情は窺い知れなかった。

――――――――

ポクポクポクポーン!リラグゼーション効果を見込んだモクギョ・チャイムが調理室へ鳴り響く。「では冷蔵庫から取り出して実食重点な。オツカレサマドスエ」「「「オツカレサマデシタ!」」」生徒達は笑顔で冷蔵庫へと殺到する。

エプロン姿の受講生は、冷蔵庫から取り出したケーキを取り出すとナイフで切り分けていく。「冷たくてオイシイ!」「アマーイ!」「交換してみませんか?」サードウィーラーも自分のケーキを切り分ける。
「ウーン! 美味しくできたかな?」

――――――――

◆◆◆

トコロザワピラー。スカウト部門執務室。

「……フン、まさかザイバツの連中が関わってやがったとはな」そう言ってカシワザキ・パティシエ・スクールの権利書と菱形のバッジを机に投げ捨てた男の名前はソニックブーム。ソウカイ・シックスゲイツのニンジャである。彼の座るデスクの前でサルーテは直立不動である。その表情は窺い知れない。

「とにかくコイツが手に入れば目的は達成だ。ご苦労だった。こいつは報酬だ」そう言ってソニックブームがサルーテに手渡したのは万札入りの封筒だ。サルーテは無言のまま懐へとしまい、見事な挙手の敬礼を行った。「……」ソニックブームは無言でその様を眺める。やがてサルーテは執務室の出口へ向かい、部屋を後にした。

……「あれ?奇遇ですね!ドーモ、サードウィーラーです!」扉を閉めたサルーテの前に現れたのは小柄な少女ニンジャ……先程パティシエ・スクールで出会ったサードウィーラーであった。サルーテは挙手の敬礼を行う。「あたし、学校でチョコレートケーキ作れるようになったんです!なので約束通り、ご馳走させてください!」

サードウィーラーが紙袋の中から取り出したのはリボンのついた小さな箱だ。サルーテが何か反応をする前に押し付けるように手渡してくる。「感想聞かせてくれるとうれしいです!それでは!」そして、彼女はサルーテと入れ替わりでソニックブームのいる執務室の中へと入っていく。「シツレイシマス!あの、オニイサン……」

ソニックブーム=サン向けケーキ味ダイス
2d3 = (3+2) = 5
ワオ、これはオイシイだ

……サルーテは無言でリボン付きの箱を懐にしまい、執務室のドアから離れていった。ブッダ・テンプルの鐘の音が、一日の終わりを告げる。ふと窓の外に目を向けるとカシワザキ・パティシエ・スクールのビルがサイバネアイの視界に映る。

今後、パティシエ・スクールはどうなるであろう。ラオモトの無慈悲なる経営手腕の元、金儲けだけを追求する合理的かつ悪辣なビジネスを行うようになるのだろうか。それとも、ザイバツの関与を知ったことでかえって手出しをすることが難しくなり、お菓子作りをする女性達にとっての憩いの場が維持されるのだろうか。

サルーテは窓の外に向けていた目線を前に戻し、再び廊下を歩きだす。彼の表情は窺い知れなかった。


合計で【万札:29】【余暇:3日】手作りチョコレートケーキGET


後書き

というわけで無事ミッションクリア!

余暇でニューロンを戻すために鍛錬を行いました。木人と香炉が無いので鍛錬効果が-1されてしまうのですが、運よく1日目で6がでてニューロンが5に戻りました!その結果時間差復活!

後は蓄積ルールを使用してニューロンを6にする鍛錬をいずれ成功できるようにします。とりあえず今回の余暇で蓄積+2。

【ニンジャネーム】:サルーテ
【性別】 :男
【カラテ】:5        【体力】:6/6
【ニューロン】:5      【精神力】:4/5
【ワザマエ】:4       【脚力】:3
【ジツ】:3(???)      【万札】:26(ローン10)
【DKK】:2         【名声】:3

【スキル】:◉『時間差』

【アイテム】:ZBRアドレナリン注射器:次の手番まで【脚力】+2、行動不能状態にある仲間の蘇生(使い捨て)
      :グレネード:遠隔武器、手榴弾、使い捨て、爆発『カトンLV1』、『ボス級の敵』は回避判定可能
      :*手作りチョコレートクッキー*:【精神力】を3回復(使い捨て)
      :手作りチョコレートケーキ:【体力】を1d3回復、【精神力】を1d3回復(使い捨て)

【サイバネ】:▶︎生体LAN端子:【ニューロン】判定時にダイス+1個、ハッキング時にさらに+2個
      :▶︎▶︎▶︎サイバネアイ++:あらゆる【ワザマエ】判定時にダイス+4個、遠隔攻撃ダイス+2個、回避ダイス+3個
      :▶︎クロームハート:【体力】+1、【精神力】+1

【装備品】:オムラ・アサルトライフル:遠隔武器、連射2、ダメージ1、小銃
     :湾岸警備隊制式アサルトハーネス

【生い立ち】:○元湾岸警備隊

【備考】:サイバネの精神力負荷―1
    :アジトトイレ無し:精神力-1
    :ニューロン鍛錬蓄積2

【狂気】:薬物依存/バイオインゴット欠乏症
     1段階目(軽度):消費アイテムによる【体力】および【精神力】の回復量が−1される
     (最低値は回復量0)。ZBR蘇生は例外。

フリーランスのニンジャ。元湾岸警備隊。
サルーテとは彼が名乗った名前ではない。

次はチョコレート工場へ潜入します!さて一体全体どうなるのか!


それではここまで読んでくださってありがとうございました!