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忍殺TRPG小説風ソロリプレイ【ゼア・イズ・ノゥ・ゴッド、バット・ゼア・イズ・アン・アンジャスト・ゴッド】

アイサツ

ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

なお本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

今回挑戦させていただいたのはラブサバイブさん作成のソロアドシナリオ【カイシャ役員宅襲撃】です。詳細は下記の記事をご覧ください!

【DKK】取得の可能性が高い、ソウカイ・ニンジャによるプレイを想定、ということで今回は久しぶりに邪悪なサンシタニンジャ、ブレードブレイカー=サンに挑戦してもらいたいと思います!

ニンジャ名:ブレードブレイカー
【カラテ】:6
【ニューロン】:6
【ワザマエ】:2
【ジツ】:0
【体力】:7/7
【精神力】:5/5
【脚力】:3+1
【万札】:24
【DKK】:6
【名声】:1
【アイテム】:カタナ
【サイバネ】:ヒキャク【脚力】+1、回避ダイス+1個
【装備品】:フルヘルムメンポ【体力】+1
【備考】:
ソウカイヤの末端ニンジャ。肩に担いだカタナを扱うがそのイアイドーは力任せでワザマエとは程遠い。
彼がカタナを振るったものは何故か切断されず、打撃的衝撃によって破壊される。

公式のソロアドをいくつかこなし、ニューロンを鍛えフルヘルムメンポを購入したブレードブレイカー=サン。今回の任務はどうなるか。さっそくやっていきましょう!

1.

ウシミツ・アワー、とある中流階級向けマンションの上空を巨大なマグロツェッペリンが横断する。その時、マグロの腹の下から一本のワイヤーが垂れ、マンションの屋上へ接地する。そのワイヤーを滑るように降りてくる影が一つ。

影が屋上へ着地するとワイヤーはすぐに引き上げられてマグロの腹に収まった。そのままツェッペリンは離れていく。しかし屋上に取り残された男に動揺はない。ここが目的地だからだ。男は階下へ行くためのドアを開けようとする。ガチャガチャとドアノブが音を立てた。鍵がかかっているのだろう。

カラテ判定: (1,6,2,3,5,2 :成功数:2)

「イヤーッ!」KRAAASH!男は手に持った棒状の武器で…否、暗がりで棒に見えたそれはカタナだ。カタナを振るってドアを破壊した。切断ではない、破壊したのだ。彼の名はブレードブレイカー。あるミッションを受けてこのマンションへやって来たソウカイニンジャだ。

自らが破壊したドアをくぐりながら彼はこのミッションを受けた時のことを思い出していた。携帯IRCでシックスゲイツであるソニックブームに呼び出しを受けた時のことを。

◇◇◇

「襲撃依頼?オムラが?」「ああそうだ」ここはトコロザワピラー、ソニックブームの執務室。椅子に座って机に両足を乗せるソニックブームの前にブレードブレイカーは立っていた。「カハッ。あのイカレ企業が襲撃依頼なんて繊細な真似できるんすね」「舐めた口聞いてんじゃねぇぞサンシタガッコラー…」「…スミマセン」彼は棒読みで謝罪した。

「ターゲットはコイツだ。トヨフツ工業役員カドラギ、マンションで娘と二人暮らし」投げられた写真をキャッチする。写っていたのはくたびれた中年男性だがその眼光は芯の強さを感じさせる。「オムラはトヨフツにM&A取引を持ち掛けた。そいつに対する反対意見のトップがカドラギだ」「殺しゃいいんで?」

「素直に言うこと聞くならそれでいい。だが抵抗するようなら…」「分かりました」ブレードブレイカーは持っていたカタナを肩に担いだ。「早速行ってきます。タイムイズマネー」「しくじるんじゃねぇぞ」「ヨロコンデー」ブレードブレイカーの姿が消えた。

執務室に残ったソニックブームは煙草に火をつける。煙を肺で堪能して天井に向かって吐く。「さて、あのヤロウがどこまでやるか…」ソニックブームは独り言を呟いた。

◇◇◇

2.

ブレードブレイカーは屋上の階段からターゲットの住む119号室の前まで辿り着いた。扉は屋上の物より頑丈そうで物理鍵も論理鍵も一般的なものよりタフな作りをしている。「チッ…面倒かけやがる」携帯UNIXを論理鍵に直結する。

ニューロン判定:(4,5,4,3,3,6 :成功数:2)

キャバァーン!開錠を知らせる音が鳴ったのを確認するとブレードブレイカーは素早くドアの中に身を滑らせた。

◆◆◆

廊下は間接照明でほのかに照らされておりニンジャ視力の持ち主であれば歩くのにまったく問題は無い。だが、ブレードブレイカーのニンジャ第六感は明るさとは別の問題の存在を感じ取っていた。廊下の角を曲がって何者かが顔を出す。ターゲットではない。

「ドーモ。私はヤトクです。あなたは侵入者ですね。排除します!」それはメイド服を着用したオイランドロイド家政婦!ヤトクと名乗ったオイランドロイドは手のモップを武器にブレードブレイカーに襲い掛かってきた!「カハッ、ポンコツが!」

カラテ判定:(3,6,4,2,1,4 :成功数:3) ヤトク体力2
回避判定 :(5,1,3,6,2,3,6 :成功数:3)
カラテ判定:(6,5,6,4,4,5 :成功数:6) サツバツ!ヤトク体力-1

「イヤーッ!」「ピガーッ!」モップを蹴り払う!「イヤーッ!」「ピガガガーーッ!」頭部にカタナを振り下ろす!粉砕!ヤトクはスクラップとなった頭部を廊下にばら撒きながら動かなくなった。「ポンコツがガラクタになったなァ」ブレードブレイカーは笑う。

万札:1d3 = (3) = 3   【万札:3】GET…なのですが

「フン」ヤトクはただのオイランドロイドにしては性能が高かった。トヨフツ独自のカスタマイズがされていたのだろうか。オイランドロイドやテックに詳しいものが居ればヤトクのパーツを拾って小遣い稼ぎをしただろう。

だがブレードブレイカーはテックに詳しいわけではない。故に出来ない。いや、仮に出来たとしても彼はやらなかっただろう。(そうさ、そんな必要はない)彼は動かなくなったヤトクの横を素通りした。

◆◆◆

3.

廊下の先はリビングであった。冷蔵庫、金庫、UNIX、どれも興味を惹かれない。腹は減ってないし任務は脅迫ないし殺害だ。ブレードブレイカーは入ってきたのとは別の扉からリビングを出る。そこには2つの扉。片方には「ISACO」のネームプレート。

「娘と二人暮らしって話だったか」任務は脅迫…、そして一人娘。ブレードブレイカーは妙案を思いつく。「ISACO」のネームプレートがぶら下がった部屋へ入る。「すぅ……すぅ……」モチヤッコ型ぬいぐるみやピンク色のカーテンなど可愛らしい内装の部屋の中、ベッドの上で娘が寝息を立てていた。

「オイ、起きろ、ガキ」ベッドを乱暴に蹴っ飛ばして起こす。「ウウン……? ……アイエ!?」目を覚ました娘が不審な男を見つけて悲鳴を上げる。ヤクザスーツ、額にクロスカタナの飾りのついた鎧兜、そしてメンポ!「ア、アイエエエ!? どなたですか!?」娘は慌てて枕元の眼鏡をかけた。彼女のバストは豊満であった。

「ドーモ、ハジメマシテ、俺は、ブレードブレイカー、です」言い聞かせるようにアイサツをして名乗る。「ド、ドーモ。私はイサコ・カドラギです。女子高生です……」現状を把握しきれていないのか、呑気な返事が返ってきた。

「お前の親父は隣だな?」「エッ?」「答えろ」「ア、アイエエ…」威圧的な態度にイサコは小さく失禁する。「お父さんは寝室に……お、お父さんにひどいことをするのはやめてください!」「…カハッ」必死の懇願に笑い声で返されたことにイサコは恐怖と怒りを覚える。

「それはテメェ次第だ。ガキ」だがイサコが何かを言う前にブレードブレイカーはカタナを持たない方の手でイサコの下顎を万力のような力で締め上げた。「ンーッ!ンーッ!」「いいか、俺はお前で楽しむことも出来る」その言葉にイサコの顔面から血の気が引く。

「だが俺はお前が考えてるようなことはしない。何故だと思う?」イサコは震えながら首を横に振った。「そんな下らんことより大事なことがあるからさ」ブレードブレイカーはイサコを引きずるように歩き出した。「ンーッ!ンーッ!」

選択肢:攫う 【DKK:+1】
◆◆◆

4.

隣の部屋ではターゲットがUNIXで作業をしていた。ヘッドホンをしているためか扉を開けたブレードブレイカーに気付かない。ブレードブレイカーはイサコの口から手を離した。イサコは戸惑ったような目でブレードブレイカーを見たがすぐに父親の方へ向き直り「お父さん!」叫び声をあげた。

選択肢:説得する

「アイエ!?なんだ君は!?イ、イサコ!?何をしている!何をするつもりだ!?」「ドーモ、カドラギ=サン。ブレードブレイカーです。」喚くカドラギに取り合わずアイサツを繰り出す。「今日はお願いを聞いてもらいに来ました」「お、お願いだと?」「オムラのM&A、テメェは賛成に回れ」「何だと!?」カドラギが声を荒げる。

「そんなこと…!いや…しかし…」否定しようとしたカドラギであったがすぐに黙ってしまった。否定すれば、イサコがどんな目に合うか。「オイ、イサコ=サン」「アイエッ!?」急に名前を呼ばれたイサコがびくんと跳ねる。

「お前からもお願いしてくれよ。娘のお前が頼めば頑固なお父さんも聞いてくれるだろう?…カハッ、カハハハハッ!」ナムサン!邪悪!ブレードブレイカーに初めから断らせるつもりなど無い!それはイサコの首に突き付けられたカタナが物語っている!「ア、アイエエエ…」イサコはボロボロと泣き出した。

それでもイサコは震える声で絞り出すように言った。「お父さん…助けて…コワイ…」「イ…イサコ…!」ブレードブレイカーがカタナをゆっくり見せつけるように振りかぶる!メンポ越しでも分かるその邪悪な笑み!「わ、わかった! 条件を飲もう!会議ではオムラ=サンを受け入れることに賛成する!……社長、申し訳ありません」カドラギは涙を流した。

ニューロン判定:(3,1,1,3,6,1 :成功数:1) 

ブレードブレイカーは振りかぶったカタナを肩に担ぎなおした。「カハハッ!それでいい、そらよ」イサコをカドラギの方へ放り投げる。「アイエエッ!お父さん!」「ああ、イサコ!」親子は泣きながら抱き合った。死の淵を乗り越えた喜びとこれからの苦難を予感しての涙だった。

だがそんな感傷に浸る暇など与えられはしない。このマッポーの世では。「さて、それじゃあハンコの準備をしてもらおうか」「わ、分かった…」ブレードブレイカーは懐から書類を出す。これは事前に用意されていたもので、オムラとトヨフツのM&Aに賛成することを認める文面が書かれている。カドラギは無念の表情でハンコを押した。押さざるを得なかった。

「…よォし!完璧だ、カドラギ=サン」ブレードブレイカーは懐に書類を仕舞って部屋を後にした。カドラギとイサコはまだ泣いている。どうでもいいことだ。そのままメソメソしてるがよい。ブレードブレイカーの関心は既に任務達成の喜びとこの後のボーナスに移っていた。

…その時である!

【DKK:累積値7】           DKK判定:2d6 = (5+4) = 9  不発!

…特に何も起こらない!ブレードブレイカーはカドラギ親子の泣き声を背にネオサイタマの夜にその身を投げ出し、色付きの風となって去っていった…。

【万札:10】 【余暇:1日】を獲得
◆◆◆

5.

「日刊コレワ」の三面記事
【トヨフツ工業、オムラ・インダストリからM&Aの提案を受ける!】暗黒メガコーポによる雇用、残業時間手当、休日任意出勤などの問題が頻出する今の世の中で、頭を抱えたくなるような事件が発生した。
古き良き伝統を守りぬいてきたトヨフツ工業がオムラ・インダストリの強引な買収を受け入れたということが昨日の記者会見で判明した。1週間前までは反対意見を唱えていた役員が手のひらを返したように賛成意見側に寝返ったのだという。役員会議の結果を知らされた社員たちのブッダもオーディーンも居ないのかという声が痛ましい。こんな事態を引き起こさぬ為にもただちに内閣総辞職して政権交代だ。

ソニックブームの執務室、部屋の主は手に持っていた日刊コレワを部屋の隅のゴミ箱に投げ入れた。ブレードブレイカーは上手くやることはやったらしい。「そろそろ良い頃合いだな」ソニックブームは何かを決断するように言った。机から写真を取り出す。

机の上には三枚の写真。そして三人のニンジャ。どいつもこいつもヒヨッコだ。だがこれ以上単独任務でウダウダやらせる訳にもいかない。仕事はいくらでもあるのだ。故に効率化を図る。チームを組ませ、単独では困難な任務に当たらせる。

この三人にはソニックブームから見てそれぞれ欠点がある。チームを組むことでそれが解消されるかもしれないし、より悪化するかもしれない。もしも駄目だったらどうするか?決まっている。「キリステ、だ。使えねぇニンジャはな」ソニックブームは煙草に火をつける。

やがて、煙草を吸い終えたソニックブームは写真のニンジャ三人を呼び出す。彼らが集まるまで時間がある。もう一本煙草を吸おうとして箱が空になっていることに気が付き、箱を部屋の隅のゴミ箱に投げ入れた。

後書き

ということでストライダー=サンとは会えませんでした。もっと邪悪行為とかすべきかもしれませんがブレードブレイカー=サンは面倒くさいタイプの邪悪なので(?)仕方がありません。

さて、そろそろ複数のニンジャを動かしたい欲が強くなってきましたのでヤクザ事務所襲撃とかやってみたいと思います。ただマップがあると時間がかかりそうですね。大変な分やりがいがありそうなので頑張ってみます。

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!