見出し画像

忍殺TRPG小説風リプレイ【ブラッド・カタナ・エボリューション(その3)】

アイサツ

ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

なお本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

ではやっていきたいと思います!

本編

5ターン目

「「カラテ!」」2体のヒヤヤッコによる挟撃!彼女たちの手にはやはりドス・ダガーが握られている!「イヤーッ!」「ピガーッ!」右のヒヤヤッコが振り下ろしたドス・ダガーを掴み、腕を取って捻じ伏せる!「イヤーッ!」「「ピガガーーッ!」」そのままもう1体のヒヤヤッコに投げつける!

「もっとしてください」「3人でするドスエ」重なり合ってもがくヒヤヤッコたち!「イイヤァーーッ!」「「ピガガーーッ!」」そこにスイカ割りめいた強烈な唐竹割り!上側のヒヤヤッコの胴体が裂け、下側のヒヤヤッコの胸部ボディがひび割れた!「アカチャン!」下側のヒヤヤッコはスクラップと化した自分の分身をどけて立ち上がる!

だが、遅い!「イヤーッ!」「ピガガーーッ!」立ち上がったヒヤヤッコの顔面にヤクザシューズの靴底が叩きつけられた!転倒するヒヤヤッコ!「ピガッ、ピガガッ」AI系統に異常!ひっくり返ったカメめいて手足をバタバタさせるだけで起き上がれぬ!ブレードブレイカーは床でもがくヒヤヤッコにしめやかに接近し、「イヤーッ!」「ピガガガーーッ!」その顔面を踏み砕いた。

BB→ヒヤヤッコフェイント:7d6>=4+8d6>=4 = (1,2,4,3,5,5,2 :成功数:3) + 
(1,3,1,6,4,4,1,2 :成功数:3) = 6
ヒヤヤッコ回避:1d6>=5 = (6 :成功数:1) = 1
ヒヤヤッコ体力2

ヒヤヤッコ近接攻撃:3d6>=4 = (1,6,4 :成功数:2) = 2
BB回避:6d6>=4 = (2,1,5,3,5,3 :成功数:2) = 2

6ターン目

BB→ヒヤヤッコフェイント:7d6>=4+8d6>=4 = (1,3,2,4,1,3,5 :成功数:2) + 
(4,1,2,1,5,1,1,2 :成功数:2) = 4
ヒヤヤッコ回避:1d6>=5 = (2 :成功数:0) = 0
ヒヤヤッコ体力0

ヒヤヤッコ近接攻撃:3d6>=4 = (5,4,6 :成功数:3) = 3
BB回避:6d6>=4 = (6,2,4,4,2,5 :成功数:4) = 4 カウンター!
ヒヤヤッコ体力1

7ターン目

BB→ヒヤヤッコフェイント:7d6>=4+8d6>=4 = (3,1,3,6,1,3,1 :成功数:1) +
 (3,1,4,4,1,4,3,2 :成功数:3) = 4
ヒヤヤッコ回避:1d6>=5 = (5 :成功数:1) = 1
ヒヤヤッコ体力0

「………」ザンシンしたブレードブレイカーはカリキを……否、その後ろの壁を睨む。ここまでで手に入れた情報とニンジャ第六感が脳内でケミストリ反応を起こし、ブレードブレイカーにインセツク・オーメンめいた啓示を与えていた。「イヤーッ!」ブレードブレイカーはカリキの後ろの壁にスリケンを投擲!

ニューロン判定:6d6>=4 = (6,4,1,5,1,1 :成功数:3) = 3
BBスリケン:8d6>=5 = (1,4,6,5,4,1,4,3 :成功数:2) = 2

ZOOOM!スリケンが命中した壁は音を立てて崩れ落ちた。砂埃が舞い、中から現れたのは……人影!「イヤーッ!」人影は連続側転で壁から飛び出る!その身を包むのは人形技師めいたニンジャ装束にメンポ!そう、ニンジャである!「シマッタ!見つかったか!ドーモ、コッペリアです!」

◆コッペリア (種別:ニンジャ) 
カラテ 3 	体力 3
ニューロン 5	精神力 3(5)
ワザマエ 3	脚力 2
ジツ -	万札 10
							
◇装備や特記事項
ジョルリ・ジツ:精神力を1消費し、MAP内のオイランドロイド一体を操り、ジョルリ状態にできる。なおPCによる攻撃が当たった場合ジツは中断される。ジツを発動している間は回避を含む一切の行動が出来ない
また、精神力を2消費する事で2体同時に操る、あるいはオイランドロイドを操りつつ行動できる。
ロングドス・ソード(カタナ):スタイル選択
なおコッペリアという名前だが、男性。

「ドーモ、ブレードブレイカーです。コソコソ隠れやがってサンシタが。アァ?」二人はアイサツを行う。ここでイクサの前に読者の皆様にブレードブレイカーが辿り着いた結論を解説させていただこう。まず、ウェールスネーク・ヤクザクランのオヤブン、カリキにはヒヤヤッコという名前のネンゴロなオイランが居た。

だが、何らかの事情でヒヤヤッコを失ったカリキは正気を失い、狂気に飲まれた。そこでクランの専属ニンジャであったコッペリアは己のジツ、ジョルリ・ジツを行使し、オイランドロイドをヒヤヤッコに見立ててカリキの壊れかけた心の拠り所としたのである。この秘密を知っているのはコッペリア、そしてカリキの右腕であったコノエだけだ。

クランの他の者は本物のヒヤヤッコが死んだことも知らぬ。彼らの目には頼もしいオヤブンであったカリキがある日突然おかしくなったように見えたことだろう。……だが、コッペリアもコノエも知らぬ間に静かに暴走していたカリキの狂気は、今回ソウカイヤに対して喧嘩を売るという愚行をしでかした。それが今回の件の経緯というわけだ。

「カハハッ、そうやって壁に隠れてオイランドロイドを操作してたのかよ。ご苦労なこったなァ?もう人形ゴッコはやらなくていいぜ。ここで死ね。クズめ」ブレードブレイカーはカタナを突き付けて宣告する。「ク、クソッ……オヤブン……ナンデソウカイヤなんかに喧嘩を売ったんだ……」コッペリアの額に汗が流れる。

「だから言ってんだろ!こいつらのオヤブンが俺の脳内でその……ナントカっていう俺のオイランに……ファックされてて?」おお、ナムアミダブツ。カリキのニューロンは目の前でヒヤヤッコが何度も破壊されたことにより完全に打ち砕かれていた。「カハッ!テメェらボケジジイの妄想に付き合わされたのか!下らねェ!カッハハハハ!」ブレードブレイカーが腹を抱えて嘲笑する。

「オヤブン……マジでおかしくなって……ああ、クソッ!」コッペリアは心底無念そうに歯を食いしばった。どうしてこうなってしまったのか。ただ以前のオヤブンに戻ってほしいだけだった。それが、こんな。「……モハヤコレマデ!だが!」コッペリアはその瞳に覚悟の炎を灯し、両手でミスティック・サインを刻む!

「ジョルリ・ジツ!イイヤアーーッ!」KRAAASH!コッペリアが飛び出してきた壁のすぐ横の部分が内側から壊され、中から人影が躍り出た。その姿は先程までのヒヤヤッコと同じオイランドロイド。いや、それ以上に人間らしく、美しく。「ドーモ、ヒヤヤッコです」

◆戦闘用カスタムオイランドロイド 「ヒヤヤッコ」(種別:戦闘兵器)
カラテ		4	体力		6
ニューロン    	4	精神力		ー
ワザマエ		3	脚力		3
ジツ		ー	万札		5

◇装備
 ハンドガン:『遠隔武器』、『ダメージ1』
 
 ▷電磁クローアーム:『特殊近接武器』、『ダメージ1』、『電磁ショック1』

◇スキル

 『ジョルリ』:
 ニンジャの攻撃を【難易度:HARD】で『回避』が可能になる。

 『戦闘兵器』:
  このルールを持つキャラに「カナシバリ・ジツ」などの精神攻撃は作用しないが、
  『電磁ショック』のダメージは2倍となってしまう。

 『絞殺攻撃』:
  殺人オイランドロイドは無表情や笑顔で攻撃対象に近づき、押し倒し、馬乗りになって首を締め上げる。
  もしくは両手で首を掴み、ネック・ハンギング・ツリーの要領で高く掲げる。
  これを表すため、オイランドロイドは『拘束』ルールを持つ。
  オイランドロイド側が望むならば、敵の『拘束脱出判定』を【カラテ】による対抗判定にしてもよい。
  オイランドロイド側が対抗判定に勝利した場合、『拘束』による締め付けダメージは1でなく2となる。

「ホウ、奮発しやがったな」今までのヒヤヤッコが廉価版ならばこのヒヤヤッコはオーダーメイドの高級品!運動性能、装備、ともに格上!それだけではない。ヒヤヤッコとコッペリアはブレードブレイカーを挟んで鏡写しのごとくカラテを構える。ジョルリ・ジツを使用したまま本人のカラテが可能なのだ!

8ターン目

イニシアチブ
ブレードブレイカー→コッペリア→ヒヤヤッコ

「イヤーッ!」ヒヤヤッコのジョルリ・カラテ!その右腕には帯電する爪めいたサイバネ!電磁クローアームだ!「見飽きてんだよ!イヤーッ!」「ピガーッ!」スウェー回避からの後ろ回し蹴り!「イヤーッ!」「ピガーッ!」更に右肩にカタナ!痛打!「所詮人形遊びだなァ!カッハハハ!」

BB→ヒヤヤッコ強攻撃:7d6>=4+8d6>=4 = (5,3,4,5,2,1,2 :成功数:3) +
 (5,1,2,6,5,5,2,4 :成功数:5) = 8
ヒヤヤッコ回避:2d6>=5+2d6>=5 = (1,4 :成功数:0) + (2,3 :成功数:0) = 0
ヒヤヤッコ体力2

……だが!「イイイヤアアーーーッ!」(何!?)おお、ゴウランガ!ヒヤヤッコは最初から囮!本命はコッペリア自身の全力を振り絞ってのチョップ突き!ブレードブレイカーの驕りと油断で隙だらけとなった背後へ向けて致命の一撃が飛ぶ!その先にあるものは……心臓!30センチ……10センチ……5センチ……1センチ!




コッペリア→BBカラテ:3d6>=4 = (6,2,6 :成功数:2) = 2 サツバツ!
BB回避:6d6>=4 = (2,1,3,1,1,4 :成功数:1) = 1
アッブナイ!

「グワーッ!」悲鳴を上げたのはコッペリアであった。その右手は小指から人差し指の第一関節の骨が折れ、ひしゃげている。ブレードブレイカーの持つブラッドカタナによって砕かれたのだ。「コイツは……」ブレードブレイカーは目を見開いた。体が勝手に、否、カタナが勝手に動いてコッペリアのチョップを捌いたように感じた。「……カハッ!良い子だ!」

ブレードブレイカーは己の獲物に語りかける。「コイツを殺してェのか。今すぐ殺させてやるさ!カハハハッ!」そして確かに感じとった。ブラッドカタナの声を、鼓動を、その邪悪な飢えと渇きを!「カラテ!」背後からヒヤヤッコのテクノパンチ!人間ではあり得ぬ関節可動域を持つドロイドならではの複雑怪奇なカラテだ!

ヒヤヤッコ→BB電磁クロー:4d6>=4 = (4,3,4,3 :成功数:2) = 2
BB回避:6d6>=4 = (2,3,4,1,5,1 :成功数:2) = 2

KRASH!ヒヤヤッコの細い指で作られた拳が、ブレードブレイカーの無骨な手の平で受け止められ、握り潰された。「ピガッ……」「オイ、ポンコツ」機械以上に機械めいた、熱の通わぬ平坦な声でブレードブレイカーが言った。「今いい気分なんだよ……邪魔してんじゃねェ」「ピガッ、ピガガガッ」「イイイヤアアアアーーーーッ!」

9ターン目

BB→ヒヤヤッコ強攻撃:7d6>=4+8d6>=4 = (2,5,6,1,6,2,1 :成功数:3) + 
(3,2,1,2,2,1,4,4 :成功数:2) = 5 サツバツ!
ヒヤヤッコ回避:2d6>=5+2d6>=5 = (2,4 :成功数:0) + (5,4 :成功数:1) = 1

サツバツ:1d6 = (6) = 6
「イイイヤアアアアーーーーッ!」ヤリめいたチョップが敵の胸を貫通!

 サツバツボーナス:1d6 = (5) = 5

ヒヤヤッコ完全破壊!
サツバツボーナス【万札:5】GET
ヒヤヤッコ【万札:5】GET

「ピガガガガガガーーーーッ!」ブレードブレイカーのチョップ突きが、今度は何者にも邪魔されることは無く、ヒヤヤッコの胸部を、そこにあった致命的なパーツを完全に破壊した。「ピ……ga……」「ヒヤヤッコ……?」カリキの場違いなまでに呆然とした声がブレードブレイカーの右耳から左耳に流れていった。

「き、貴様ァーーッ!イヤーッ!」コッペリアは無事な左手でチョップを打つ。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!?」短いカラテ応酬の果てにコッペリアの右膝に斬撃が叩き込まれた。「グ、グワーッ……」コッペリアはよろけながらもカラテを構えようとする。目の前にカタナ。ワン・インチ距離。

「イイヤアーーッ!」「ア……アバーッ!」鼻っ柱に斬撃を受け、コッペリアの目玉が飛び出した。ブレードブレイカーはそのままカタナを振りぬき、コッペリアの身体を吹き飛ばす。「グワーッ!」コッペリアは壁に叩きつけられ、血の染みを壁に残してずるりと床に落ちた。「サヨナラ!」コッペリアは爆発四散した。

コッペリア→BBカラテ:3d6>=4 = (4,5,2 :成功数:2) = 2
BB回避:12d6>=4 = (6,2,1,3,6,3,6,5,4,5,2,5 :成功数:7) = 7 カウンター!
コッペリア回避:5d6>=4 = (1,1,3,1,2 :成功数:0) = 0
コッペリア体力1

10ターン目

BB→コッペリアフェイント:7d6>=4+8d6>=4 = (3,5,4,1,5,1,4 :成功数:4) + 
(3,6,4,5,1,6,4,5 :成功数:6) = 10 サツバツ!
コッペリア回避:1d6>=4+2d6>=4 = (1 :成功数:0) + (5,4 :成功数:2) = 2

コッペリア体力0!爆発四散!

コッペリア【万札:10】

「コッペリア……?おい、お前が死んだら……誰がヒヤヤッコをやるんだ……?」カリキは白痴のような表情で涎を垂らしながら壁の染みとなったコッペリアに向かって言った。もはやウェールスネーク・ヤクザクランの構成員は誰も居ない。ニンジャも、オイランも。後は正気とソンケイを失った哀れな老人が一人居るばかりだ。

BB→カリキ、スリケン:8d6>=5 = (4,5,5,1,2,5,5,5 :成功数:5) = 5

「イヤーッ!」「グワーッ!?」そしてネオサイタマはそのような男に慈悲を施しはしない。彼に与えられたものは肩口に突き刺さるスリケンと激痛であった。「グワーッ!グワーッ!」ブレードブレイカーは……痛みに喚くカリキを見下していた。心底、愉快そうに。

戦闘終了


ちょうどその時であった。スターン。部屋のフスマが開き、数人のクローンヤクザがエントリーしてきた。「オウ、ちょうど今済んだところだ。連れていけ」「ヨロコンデー」クローンヤクザ二人がカリキの両腕を掴んで立ち上がらせる。「タテッコラー!」「アルケッコラー!」「アイエエエ……ヒヤヤッコ…ヒヤヤッコ…」

そのままカリキは抵抗も許されずに連行されていく。残ったクローンヤクザは部屋の物色を始めた。すぐにこの部屋はバイオイナゴの群れに襲われたコメ畑めいた有様に変貌するだろう。つまりネコソギだ。

アンコモン・トレジャー判定表
1:サイバネアイ
2:ウイルス入りフロッピー
3:ZBRアドレナリン注射器
4:キーボード・オブ・ゴールデン・エイジ
5:LAN直結ヤクザガン
6:マキモノ・オブ・シークレット・ニンジャアーツ
アンコモン判定:2d6 = (1+4) = 5
二つとも売却。【万札:10】GET

「俺は帰るから適当にやっとけ。誰かトコロザワピラーに車を出せ」「ワカリマシタ」「センセイオツカレサマデシタ」クローンヤクザの一人を運転役として連れ立ち、オヤブンの部屋を後にする。そのままエレベーターで降りて玄関から外へ。迎えの車に乗ったブレードブレイカーは邸宅を一瞥する。

今回のイクサは反省点が多かった。単独での任務から離れていたツケか。だがしかし、その分収穫もあった。ブレードブレイカーは己のカタナを見る。ニンジャの血を吸ったそれは食事を終えて満足げに眠る獣のようにその輝きを落ち着かせていた。ブレードブレイカーはカタナを鞘にしまう。

「……出せ」「ヨロコンデー」ブロロロ……クローンヤクザがエンジンをかけ、すぐに車が走り始めた。(コイツもそろそろ化粧直しが必要だな)窓の外で流れる景色を見ながらブレードブレイカーは思案する。(……ソニックブーム=サンを頼るか。あまり気は乗らんが)彼にはちょっとした考えがあった。

……彼が乗るヤクザベンツがカネモチ・ディストリクトの強化樹脂製透明ルーフを出るとすぐに陰鬱な重金属酸性雨が出迎えた。ブレードブレイカーは座席にもたれ、雨粒が窓を叩く様をぼうっと眺めていた。

◆◆◆

リザルト

ネオサイタマ、トコロザワ・ピラー、ブリーフィング・ルーム。

「だからな……俺のオイランの脳内でお前らのオヤブンをおれがファック……あ?」「……ダメだなこりゃ。カニの餌にしちまえ。」「アイ、アイ」ソニックブームの言葉を受け、ブレードブレイカーは部屋の隅に居たクローンヤクザの足元へカリキを放り投げた。「タテッコラー!」クローンヤクザがカリキを乱暴に引きずる。「おれが……ヒヤヤッコで……?ファックが……?」

バタン。音を立ててブリーフィング・ルームの扉が閉じられた。カリキはソウカイヤのとある一室に連れていかれ、そこのプールに泳ぐバイオズワイガニ達の餌となるだろう。ソウカイヤに逆らうとはそういうことだ。「……チッ、世間知らずのヤクザが騒がせやがって」ソニックブームが煙草を咥えるとブレードブレイカーが火を点けた。「で、今回のテメエの任務だが」

A:オヤブン、若頭ともに生け捕りにし、ニンジャも二人始末
【万札:9】【名声:2】【余暇:4日】GET

シナリオクリア報酬とシナリオ中に拾った万札合計……【万札:110】

「ちょうどいい小遣い稼ぎにゃなっただろ。テメエもそろそろ引っ越したらどうだ」「引っ越しっすか」「いつまでもマケグミマンションに居るつもりもねえだろ。テメエも。ヤクザがそれじゃあ格好がつかねえだろうが。エエ?」「それはそうなんですがね……ちとカネの使い道が出来まして」「アン?」ブレードブレイカーは姿勢を正す。

「一つ頼みがあるんすがね……キョート潜伏組と連絡が取りてェんですよ」

◆◆◆

後日、キョート共和国のとある鍛冶屋にて。

ふいごによって空気を送り込まれた炎がチリチリと音を立てて燃え上がる。熱で真っ赤に染まった鉄がヤットコで掴まれアンヴィルの上に置かれ、2人の職人が持つハンマーで交互に叩かれる度にキン、キンと甲高い音が鳴る。それは不要な不純物を落とし、一切の混じりがない無垢なるカタナを産み出す儀式だ。

ブレードブレイカーはネオサイタマからシンカンセンに乗り、ソウカイヤと敵対するザイバツが支配するこのキョートへと訪れていた。危険は大きいが、それだけの価値があるとブレードブレイカーは判断した。すなわち、己の持つブラッドカタナを一歩先のステージへ進めること。それは今後必ず自分の役に立つはずだ。

ネオサイタマにカタナ鍛冶屋が無いわけではないがやはりキョートのそれに比べると数段劣る。これはザイバツニンジャ達との交戦記録などからも明らかだ。ラオモトの持つナンバン・カロウシやダークニンジャのベッピンは別格としても、一般構成員の持つカタナのクオリティは明らかにザイバツ側が上回る。そのためのキョート訪問であった。

しかしそのためにソニックブームにも無茶を言った。キョート潜伏組であるソウカイヤのニンジャに連絡を取り、ザイバツニンジャが襲ってきても対応出来るようにわざわざキョート・ステイションまで出迎えを頼んだのだ。ヴァンガードと名乗ったニンジャは奥ゆかしく対応してくれたが大分ワガママを言ってしまった。後でなんらかのフォローが要るだろう。

「鍛えなおす…と言うがな」岩のように不動だったカタナ鍛冶職人がぽつりと話し始めた。まるで頭と顎を巨大な手で押しつぶしたかのように深い皺を湛えた平たい顔。そしてその手にはブラッドカタナが握られている。今までカタナの目利きを行っていたのだ。

「カタナというのは…生まれた時に寿命も斬れ味も決まっとる。人間とおんなじだ。それをやれ折れたカタナをくっつけて元通りにしろだの、やれもっと斬れるようにしろだの宣うボンクラの多いことよ」「すまねェが結論から言ってくれ。キョート人の話は長くていけねェ」「フン、田舎者が!」職人は機嫌を悪くした。

「一つ尋ねるがな……このカタナはろくに人を斬っておらんだろ。だが」職人は自らの目の前に刀身を持ってきて、分厚い瞼の奥にある鋭い眼光を刃に映した。「だのにどうしたわけか多くの血を飲んでおる。お前さん、何をした」「……カハッ!俺は平和主義なんだ。人を斬ったりしねェさ」ブレードブレイカーは冗談めかして肩をすくめた。

「平和主義?お前さんが?カーッ!」職人は唾を吐く動作をした。「まあどうでもよいわ、コイツにすべきことは一つじゃ」そう言って職人は近くの棚からチゼルを取り出した。「何だそりゃ?」「新たな銘を彫る」職人は厳かに言った。「お前さんが決めろ。このカタナに彫るカタカナを」「俺が?」

「このカタナを生まれ変わらせるのにあれこれいじくり回す必要はない。持ち主のお前さんが銘を与えてやりゃあコイツは応える」「……」ブレードブレイカーは目を瞑り沈思黙考した。工房から聞こえてくるカタナを叩くキン、キンという音がブレードブレイカーをある種のトランス状態へと導いていく。


やがて、ブレードブレイカーは口を開いた。「………『イチガツ』」その言葉は不意に出てきたものであったが、ずっと昔から呼び慣れていたかのように舌が動いた。「そこで待っとれ」職人は単語の意味を尋ねることもせずにすぐに作業に取り掛かった。………数時間後、ブラッドカタナの刀身に見事なルーンカタカナが彫刻された。イチガツ。

「フゥーッ……ドッコイショ!そら、持ってみろ」職人は額の汗をぬぐいながら大きく息を吐き、ブレードブレイカーの右手にカタナの柄を握らせた。「……!」まるで失われていた腕が戻って来たかのような一体感。ブレードブレイカーは目を見開き、刀身を眺めた。「……ゼン」称賛の言葉が思わず口をついて出る。職人が皮肉げに笑った。

ブレードブレイカーは右腕を伸ばし、カタナを高く掲げ、刀身に彫られたカタカナを左手の指でなぞった。彼のソウルが求めていた武器が、彼の手に渡った瞬間であった。…………妖刀『生血穿』。ブレードブレイカーの目が野心の熱を帯びる。それに応えるように、カタナの文字が僅かに、しかし確かにきらめいた。


後書き

ということで一人での挑戦ということでしたが、いかがでしたでしょうか。

ニンジャ名:ブレードブレイカー
【性別】:男
【カラテ】:10         【体力】:13/13
【ニューロン】:6       【精神力】:6/6
【ワザマエ】:8        【脚力】:6
【ジツ】:3(近接武器)    【万札】:85
【DKK】:3          【名声】:17

【アイテム】:**イチガツ**:
       近接攻撃ダイス+2 『射撃基本難易度:HARD』、『連続側転難易度+1』
      :オーガニックスシ:【体力】を3回復(使い捨て)

【サイバネ】:ヒキャク【脚力】+1、回避ダイス+1個

【装備品】:フルヘルムメンポ【体力】+1
     :*高級ヤクザスーツ NPCに対する説得や脅迫時、1つの判定につき1回だけダイスを振り直せる。
      またこのシナリオの後に『カルマ・ロンダリング』を行う場合、1回だけダイスを振りなおせる。

【スキル】:『連続攻撃2』
      ●ツジギリ ●タツジン(イアイドー) ●頑強なる肉体

【備考】:ワザマエ鍛錬蓄積+1

ソウカイヤのニンジャ。肩に担いだ妖刀『イチガツ』を扱う。
彼がカタナを振るったものは何故か切断されず、打撃的衝撃によって破壊される。

地味に滅多切りをツジギリに変更したりしました。アジトの拡張が発表されましたし、マケグミオフィスから引っ越したいですね。オイランパブとか経営できるのはいつの日になることか。

それではここまで読んでくださってありがとうございました!