忍殺TRPG小説風リプレイ【ホップ・ステップ・アップ】

アイサツ

ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

なお本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

こちらの記事はシナリオのリプレイではなく、余暇中の出来事を小説風にしたものです。シナリオとシナリオの繋ぎのようなものと思ってください。

ではやっていきたいと思います!

本編

その部屋に染みついた薬品臭と体に走る僅かな痛みでブレードブレイカーの意識は深海から水面に浮かび上がるかのように覚醒した。自分が横たわっていたベッドから上半身を起こす。ここはどこかの病院だろうか?「俺は……どうしてたんだったか」

額に手を当ててニューロンの奥に沈んだ記憶をサルベージする。徐々に記憶が輪郭を取り戻していき、脳裏に現れたのはこちらに向かって迫る二刀の……「ああ……思い出したぜ」ブレードブレイカーはベッドから降りた。首や肩をゴキゴキと鳴らす。

辺りを見回すとベッドの横にあったプラスチック製の籠の中に自分のスーツと兜が入っている。立て掛けるように置いてあるのは赤い漆を塗られた鞘を持つカタナ。自分のカタナだ。「……」ブレードブレイカーは仏頂面で着替え始める。

上着に袖を通し、ネクタイを締め、兜を装着するとブレードブレイカーはそのまま自分が寝ていた病室を後にした。腹が減っている。スシを食いたい。それに身体も動かしたい。自分のニューロンに今もなお残るあの感覚が……ラオモトのカラテをこの身に受けた感覚が消える前に。

「あれ?ブレードブレイカー=サン?」廊下を歩くブレードブレイカーの背中に声がかかった。聞き慣れた声。「……ドーモ、チキンハート=サン。丁度良かった。俺はどんだけ寝てた?」嘴めいたメンポに白い装束。自分がリーダーを務めるチームの部下の一人、チキンハートであった。

「今は翌日の昼過ぎですよ。ダメですよ勝手に起きたら」チキンハートは呆れたような顔をして質問に答える。「うるせえぞ。俺はスシを食いに行く。じゃあな」もう用は無いとばかりに立ち去ろうとしたが「……スミマセン、少しお時間良いでしょうか」

チキンハートが神妙な声で尋ねてきた。ブレードブレイカーは振り返ってチキンハートの顔を見る。何かしらの決意を感じさせる目。「……あんだよ」ブレードブレイカーが言うや否や、チキンハートは90度のオジギをした。

「起きたばかりで頼むことじゃないとは思いますけどスミマセン!俺に稽古をつけてください!」チキンハートは一気に言った。「いいぞ」「そこを何とか…エッ」思いもよらない反応にオジギした姿勢のまま顔を上げる。間抜けな格好だが即答されるとは、しかも受け入れてもらえるとはまったく予想していなかったのだ。

そんなチキンハートの胸の内に構わずブレードブレイカーは話を進める。「で、いつだ?テメェまさかタダで頼もうってんじゃあねェだろうな」「アッハイ、こちらのオンセン宿を予約しています。確認を……」チキンハートはIRCを取り出して予約画面を見せた。

「……フン、まァいいだろ。車の手配はしとけよ」「ハイ、ヨロコンデー!」画面を一瞥したブレードブレイカーはそのまま立ち去っていく。スシを食べに行くのだろう。これ以上引き留めたらカタナの出番になりそうだと思ったチキンハートは何も言わずに見送った。

「さて…俺も準備しないとな!」キアイを入れてチキンハートもその場を離れた。彼の脳裏には昨日のイクサの記憶とラオモトとブレードブレイカーの立ち合いの光景が刻み込まれている。それらを思い起こす度に自分のニューロンが、身体が、ソウルが熱を帯びていくような気がする。

チキンハートはこの感覚を、熱を、我が物にしたかった。…しかし自分はそのような人間だっただろうか。イクサを繰り返して血に酔ったか、それともラオモトの覇気に当てられたか、あるいは。「おっといけない」また自分は余計なことを考えている。今すべきことはそうではない。まずは車の手配だ。

◆◆◆

………後日。トコロザワピラー前。

ミヤモト・マサシ像の前で腕組をして立ち尽くすブレードブレイカーの前に一台のマイクロバスが停止した。扉がスライドして出てきたのはジャケットにスラックスを着用した赤みがかった髪の男。チキンハートである。「ドーモ、チキンハートです。お待たせしました」「ドーモ」「オウ、来たか」「エッ」

チキンハートはもう一人の人物を見て目を白黒させた。リーゼントヘアに金糸のヤクザスーツ。「ソ、ソニックブーム=サン?ナンデ?」然り、上司であるソニックブームである。「ア?俺様がオンセンに行って何か問題あるのかコラ?」冗談なのか本気なのか判断のつかないことをソニックブームが言う。

「エッ。いえそんなことは」「チキンハート=サン。テメェ気を利かせて荷物くらい持てや」「アッハイ、スミマセン!」ブレードブレイカーの言葉にチキンハートは慌ててソニックブームのカバンを預かった。

……結局有耶無耶にされた気がしたがチキンハートに文句が言える筈も無し。バスに乗り込むソニックブームを止めたりはしなかった。「えっと……それじゃあ行きましょう。クローンヤクザ=サン、お願いしま……頼むよ」「ハイヨロコンデー」チキンハートの言葉を受けて運転ヤクザがバスを出発させた。

バスはネオサイタマを走り始める。「途中で観光名所に寄ってそこで食事を」「……オイ、チキンハート=サン」旅行のスケジュールを説明しようとしたチキンハートにブレードブレイカーが口を挟んだ。「どうしました?」「どうしましたじゃねェんだよ。何だよその……それは」ブレードブレイカーがチキンハートの隣の席を指差す。

「コケ―!」そこには一羽のミニバイオ鶏が大人しく座っていた。ブレードブレイカーに指差されたミニバイオ鶏はアイサツするかのような声を上げた。「あ、スミマセン。紹介が遅れました。俺の家族のヒナイです。ヒナイ、こちらは上司のソニックブーム=サンにブレードブレイカー=サンだよ」チキンハートが紹介を済ませる。

「コケ―!コケ―!」ヒナイと呼ばれたミニバイオ鶏はソニックブームとブレードブレイカーの両方に改めてアイサツするかのように鳴いた。賢いのだ。「………俺様は寝る。着いたら起こせ」ソニックブームが後部座席を独占した。「あ、枕と毛布がありますのでドーゾ」チキンハートの準備が良い。

「チキンハート=サン、テメェ……ハァ。まあいい」ブレードブレイカーは何も言わないことにした。しばしの間。「あの……ブレードブレイカー=サン」チキンハートが沈黙を破った。「どうして俺の稽古に付き合ってくれる気になったんですか?」胸の中の疑問をぶつける。

「何だ、まるで俺がケチなニンジャみてェな言い草じゃねェか」ブレードブレイカーは立ち上がり、バスに備え付けられていた冷蔵庫からシュリンプ・ビールを二本取り出した。一本をチキンハートに向けて投げ、手に持ったもう一本のタブに指をかけて開けた。プシュと炭酸が抜ける音がする。

「テメェのワザマエが上がれば俺にとってメリットだ。他に理由が要るかよ」それだけ言ってビールを喉に流し込んだ。ブレードブレイカーは今、メンポも鎧兜も付けておらず、オーダーメイドのヤクザスーツとヤクザシューズという恰好だ。

「それに…」「それに?」ブレードブレイカーは少し間を開けて、再びビールを飲んだ後、「ラオモト=サンに……稽古をつけてもらってからよ。どうも体が疼く」そう言って缶を持っていない方の手の平を開閉し、もう一度ビールを飲む。すぐに一本を飲み切り、缶を素手でティッシュペーパーめいて握り潰した。

「試してみてェんだよ。今の俺のワザマエをよ」ブレードブレイカーのギラついた目を見て、チキンハートもシュリンプ・ビールの缶を開けてチビチビと飲み始めた。恐らくは、自分が感じている熱とブレードブレイカーの疼きは近しいものだろうと考えながら。​

※ブレードブレイカーはラオモト=サンの稽古により、ワザマエの成長の壁を突破しました。これによりチキンハートのワザマエの成長の壁を超えるセンセイ役が出来るようになりました。


「コケ―……」その時、ヒナイが小さな声でチキンハートの顔を見ながら鳴いた。「ヒナイ?どうした?」「コケッ」ヒナイは器用に羽を動かして後部座席の方を指し示した。ブレードブレイカーとチキンハートがそちらへ注意を向けるとイビキが聞こえてきた。ソニックブームだ。

ブレードブレイカーは肩を竦め、何も言わずに座席を倒して目を閉じた。チキンハートも賢く気が利く家族の羽を撫でてやりながら窓の外の景色に目を向ける。今日は重金属酸性雨も小降り。オンセン旅行に行くには、悪くはない。

◆◆◆

やがて一行を乗せたマイクロバスはオンセン宿『夏終わり冬』に到着した。受付を済ませ、それぞれの部屋に荷物を置いた後は着替えを持ってオンセンへと向かう。オンセンの入り口にはそれぞれ「男」「女」「仏」の文字が書かれたノーレンがかかっている。三人は「男」のノーレンをくぐった。


なお余談ではあるがオンセンに入浴する際にテヌギーを頭に乗せるのは頭の血管を温めることで立ちくらみを防止する効果があるためだと言われているが、実際にどれほど効果があるかは不明である。ともあれ、古来より培われた日本人的な奥ゆかしいマナーがオンセンには存在するのだ。


…さて。我々が余談に興じている間に三人は入浴を終えたようだ。チキンハートはジュー・ウェアに、ブレードブレイカーは……やはりいつも通りのヤクザスーツに着替えている。彼らはオンセン宿の広いタタミスペースを貸し切り、タタミ3枚分の距離を開けて向かい合った。横にはソニックブームもいる。

「ドーモ、チキンハート=サン。ブレードブレイカーです」「ドーモ、ブレードブレイカー=サン。チキンハートです」二人は掌を合わせてゆっくりとオジギした。オジギから顔を上げて互いの目を見る。

これから行われるのは実戦形式の訓練、組手だ。…しかしこの部屋に運悪く迷い込んだモータルがいたとしたら二人の間に広がる張り詰めた空気によって急性NRSを起こし、失禁して気絶するであろう。

あくまでも訓練であるためブレードブレイカーはカタナを持たぬ素手のカラテを構え、チキンハートもヘンゲヨーカイ・ジツを使用してはいない。「始めろ」ソニックブームは一言告げると、部屋の壁際に行って腕を組んで壁に寄りかかった。ブレードブレイカーとチキンハートはしばらく睨み合い…………

「イヤーッ!」先に仕掛けたのはブレードブレイカー!ハイキックで側頭部を狙う!「イヤーッ!」チキンハートはしゃがんで回避!(どうする!?)無防備に伸びきった軸足を狩るか?いや、その程度は読まれている。「イヤーッ!」折りたたんだ足を伸ばして小ジャンプからの蹴り上げ!

「イヤーッ!」ブレードブレイカーは顎を狙った一撃をスウェーバック回避!「イヤーッ!」それだけに止まらずチキンハートの足首を両手で掴みにかかる!「イヤーッ!」だがその時既にチキンハートは空中でもう片方の足での蹴り上げを繰り出していた!空中二段蹴り!

「イヤーッ!」ブレードブレイカーは伸ばした両手を防御に使用!「イヤーッ!」着地したチキンハートはハイキックでガードの上から叩く!ブレードブレイカーは防御を固める!「イヤーッ!」チキンハートは注意を上半身に向けてからのローキック!

「イヤーッ!」「グワーッ!」ナムサン!蹴られていたのはチキンハート!足を引き戻す動作のぶん初動が遅れた!「次!」ソニックブームが良く通る声で叫ぶ。チキンハートとブレードブレイカーは再びタタミ三枚分の距離を開けて対峙した。「…オネガイシマス!」「……いくぞ」

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「次!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「次!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「次!」……………

◇◇◇

「フゥー…まァこんなとこだろ」「ゼェー…ゼェー…アリガトゴザイマシタ」二人は息を切らせてオジギをした。「フン、湯上り後の良い体操にはなったみてえだなぁええオイ?」横で見ていたソニックブームが尊大に言った。「カハッ、こいつには特にでしょうよ」

ブレードブレイカーはチキンハートを見て言った。息を整えながら自分の両手を見つめるチキンハートを。ブレードブレイカーの言葉が聞こえていないようである。今の彼は外界から入ってくる情報をニューロンで処理出来ていない。自分の内側で起きていることを処理するので精一杯なのだ。

チキンハートは今、自分が一つ壁を打ち破った感覚を掴んでいた。熱を持ったニューロンがブレードブレイカーとのカラテで打ち鍛えられ、自らのワザマエが研ぎ澄まされたことが実感として分かる。

温泉旅行チキンハートワザマエ鍛錬、センセイ役ブレードブレイカー:1d6 = (4) = 4
チキンハートワザマエ7へ

「それじゃあ俺は休憩だ。ソニックブーム=サン、選手交代ですぜ」「舐めた口きいてんじゃねえぞガキが」ブレードブレイカーとソニックブームがすれ違い、その位置を変えた。

「フゥー…エッ?ソニックブーム=サン?エ?ナンデ?」ようやく呼吸が落ち着いたチキンハートが狼狽する。そんなチキンハートにお構いなしにソニックブームがカラテを構えた。先ほどのブレードブレイカー以上のニンジャ威圧感。

「何ボサッとしてやがる。とっとと構えろ」ソニックブームに急かされてもチキンハートは動揺を抑えきれず、ソニックブームとブレードブレイカーの顔を交互に見た。壁に寄りかかって片膝をついてタタミに座るブレードブレイカーが溜息を吐いた。

「有難く思えよチキンハート=サン。ソニックブーム=サンはこの間のミッションでキンボシを挙げたお前にガンバリマシタ賞をくださるんだとよ。……カハハッ!まあ要はカラテの稽古さ」ブレードブレイカーは小馬鹿にしたように笑った。

「まあそういうこった。そっちのサンシタは既にラオモト=サンから直々にサンドバックにしてもらいやがったからな。今回は俺様がお前をそうしてやるってんだ。チキンハート=サン」「チッ!」「ハ…ハイ!オネガイシマス!」チキンハートは横から聞こえた舌打ちに聞こえなかったふりをしてオジギをした。


シックスゲイツからの報酬

①ソニックブーム【条件:Boss以外のニンジャ4人のうち3人以上をPCが撃破】(一人で全て倒す必要はない)
 ソニックブームから「ノーカラテ・ノーニンジャ」の薫陶を受ける。カラテの『成長の壁(1)』を取り除ける。

②ダイダロス【条件:「ハッキング判定」と「特製フロッピー」の成功回数が前篇後篇合わせて3回以上】
 ハッキングの腕を買われ、ハッカー部門にスカウトされる。「冗談です」という目は笑っていない。ニューロンの『成長の壁(1)』を取り除ける。

以上二つの条件を満たしたため、①で(内容が微妙に違いますが)チキンハート=サンのカラテを1成長させ、②でブラインド=サンのニューロンの成長の壁(1)を取り除きました。

◆◆◆

トコロザワピラー、電算機室。

「ヌンヌンヌン……」ボサボサの髪から伸ばしたLANケーブルで部屋にあるUNIXの一つと直結しながらブラインドは特大ビーズクッションの上で痙攣した。その近くの高椅子ではダイダロスが無数に伸ばしたLANケーブルを頭上の巨大UNIXに直結している。まるで光差さぬ深海に棲む海洋生物めいてグロテスクだ。

ダイダロスの周囲には物理ファイアウォールが彼のテリトリーを主張するかのように円形に並び、その更に周囲には無数のモニターが全方位に配置され、ソウカイネットに流れる有象無象の情報をリアルタイムで映し出す。

ブラインドはつい先日このダイダロスの仕事場でありサンクチュアリでもある電算機室に連れてこられ、ダイダロス直々のハッキングの手ほどきを受けていた。今も傍から見る分には二人はコミュニケーションをとっているようには見えないが実際は電子の世界で厳しい訓練を行っている。

「ヌンヌン……アバーッ!?」ブラインドの頭部から白い煙が浮かび、その身体が陸に釣り上げられたマグロめいて激しく痙攣する。「フム、こんなものでしょう」ダイダロスが直結を解除してブラインドへと近づき、「イヤーッ!」「アバーッ!」ブラインドの頭部から伸びていたケーブルを引っこ抜いた。

「ンアー……死んだおばあちゃんが見えました…。ナギナタとマシンガンで私を」「あなたの家族構成に興味はありません。黄金立方体は見えたんですか?」ダイダロスが質問するとブラインドは腕組みしながら考え込んだ。

「ウーン……見えたような見えなかったような…アッ!でもピンクのふにゃふにゃしたドラゴンは見えたことありますよ!」「何ですかそれは。アルコールかドラッグのやり過ぎでしょう」「ホントなのに…」どうやらダイダロスが求める水準までブラインドはたどり着けなかったらしい。

「仕方が無いですね。ここから先はご自分でタイピング鍛錬を欠かさないで行うように。”見える”ようになったらともに仕事をすることもあるかもしれません」「ハーイ!アリガトゴザイマシタ!」ブラインドはダイダロスが言い終わるや否や部屋から出ていった。シツレイである。

「やれやれ、私は気にしませんがあれではソニックブーム=サンは苦労するでしょうね」一人電算機室に残ったダイダロスは同僚の顔を思い浮かべた。「それにしても……ああ、黄金立方体の謎を解くための鍵……我が電子のヨメと直結できるのはいつの日か……」ふぅと息を漏らす。

ダイダロスは自分の言葉に陶酔しているかのようだった。再び高椅子に座って直結する。IRC空間を、ソウカイネットを、01世界を自在に飛び回り、敵対ハッカーのニューロンを焼き切り、ファイアウォールをショウジ戸めいて破り、ネオサイタマを電子的に支配するために。

◆◆◆

「今回はどうもありがとうございました。ソニックブーム=サン、ブレードブレイカー=サン」「コケ―ッ!」帰りのバスの中でチキンハートは上司二人に頭を下げた。同じタイミングでヒナイが鳴きながら頭を下げるような動作をした。賢いのだ。

「ようやくケツに付いてた殻が落ちたってとこだな。エエ?帰ったらまた楽しい仕事が待ってるぜ。覚悟しとけよ」ソニックブームがブレードブレイカーとチキンハートの顔を見ながら言った。「カハハッ、望むところですよ」「ハイ…!」二人が頷く。

ブレードブレイカーとチキンハートはあの後もカラテの訓練を行い、着実にその力を増していた。ブレードブレイカーは己の力を試したくてたまらないといった様子であり、チキンハートも少しは自信が身に付いたようだ。

「フン、返事だけは一丁前になりやがったか。まあいい。後は結果で示せよ」ソニックブームが煙草を取り出して口に咥える。ブレードブレイカーが火を点け「あ、車内禁煙です。スミマセン」……チキンハートが口を挟んできた。

「アァ?チキンハート=サン、テメェなに抜かして「禁煙です。ヒナイも居ます。口元が寂しいなら飴やガムをドーゾ」チキンハートはブレードブレイカーの言葉を遮り、バリキ味の飴やウメボシ味のガムを取り出した。準備が良い。

「チキンハート=サン、テメェ……ああ、もういい。バリキ・ドリンクよこせ」ブレードブレイカーは呆れたように言った。「……俺様はザゼンだ」ソニックブームも煙草をポケットに入れた。諦めたのだろう。

「ハイヨロコンデー」チキンハートは座席から立ち上がり、冷蔵庫から飲料の缶を取り出した。ソニックブームの分、ブレードブレイカーの分、自分の分、ヒナイの分。「ドーゾ、ドーゾ、はい、ヒナイ」チキンハートはそれぞれの相手に缶を配る。「コケッ!」ヒナイが返事をした。「「………」」

「それじゃ、オツカレサマデシタ」「コケ―ッ!」チキンハートとヒナイが同時に缶を開けた。プシュ。ヒナイは嘴で器用に開けた。賢いのだ。「「………」」しばらく黙っていたソニックブームとブレードブレイカーであったが、やがてどちらともなくタブに指をかけて缶を開けた。プシュ。



後書き

というわけで下記が余暇後のステータスです。

ニンジャ名:ブレードブレイカー
【性別】:男
【カラテ】:9         【体力】:12/12
【ニューロン】:6       【精神力】:6/6
【ワザマエ】:7        【脚力】:6
【ジツ】:3(近接武器)    【万札】:35
【DKK】:0          【名声】:12

【アイテム】:*ブラッドカタナ* 近接攻撃ダイス+1
      :オーガニックスシ:【体力】を3回復(使い捨て)

【サイバネ】:ヒキャク【脚力】+1、回避ダイス+1個

【装備品】:フルヘルムメンポ【体力】+1
     :*高級ヤクザスーツ 
      NPCに対する説得や脅迫時、1つの判定につき1回だけダイスを振り直せる。
      またこのシナリオの後に『カルマ・ロンダリング』を行う場合、1回だけダイスを振りなおせる。

【スキル】:『連続攻撃2』『連射2』『疾駆』
     ●滅多切り ●タツジン(イアイドー) ●頑強なる肉体

【備考】:
ソウカイヤのニンジャ。肩に担いだカタナを扱う。
彼がカタナを振るったものは何故か切断されず、打撃的衝撃によって破壊される。


ニンジャ名:ブラインド
【性別】:女
【カラテ】:4        【体力】:4/4        
【ニューロン】:9      【精神力】:10/10
【ワザマエ】:5       【脚力】:3
【ジツ】:0         【万札】:23
【DKK】:2         【名声】:8

【アイテム】:ウイルス入りフロッピー:
       使用するとそのハッキングの難易度がー1される。使用後ダイスを1個振り、
       出目が3以下だった場合、このアイテムは失われる。
      :オーガニックスシ:【体力】を3回復(使い捨て)
      :トロ粉末:【精神力】を2回復(使い捨て)
      :スゴイテック社製LAN直結攻撃用ケーブル:
       『特殊近接武器』、『ダメージ0』、『戦闘スタイル:直結攻撃』

【サイバネ】:▶▶生体LAN端子+【ニューロン】判定時にダイス+2個、ハッキング時にさらに+4個
       ▷無線LAN攻撃用ユニットLAN直結を行うことなく「生体LAN端子」持ちの敵に対し遠隔ハッキング攻撃を仕掛けられる。

【装備品】 :パーソナルメンポ:【精神力】+1
         :*キーボード・オブ・ザ・ゴールデン・エイジ*:ハンドヘルド型レリックキーボード。ハッキング絡みの判定時に、ダイスを全て振り直すことができる。
       1回の判定につき1回までしかこの振り直しは行えない。また、任意のダイスだけを振り直すこともできない。シナリオ中1回限りの使用。

【生い立ち】:『ピンハネ』

【スキル】:『時間差』『マルチターゲット』
      ◉『挑発』

【備考】:
ソウカイヤの末端女ニンジャ。怠惰で無計画。
アイマスクめいたメンポとジャージめいたニンジャ装束を纏う。


【ニンジャネーム】:チキンハート
【性別】:男       
【カラテ】:6         【体力】:7/7
【ニューロン】:5       【精神力】:6/6
【ワザマエ】:7        【脚力】:5
【ジツ】:3(ヘンゲヨーカイ) 【万札】:11
【DKK】:1           【名声】:8

【アイテム】:家族の写真
       オーガニックスシ:【体力】を3回復(使い捨て)
       トロ粉末:【精神力】を2回復(使い捨て)

【サイバネ】:クロームハート:【体力】+1、【精神力】+1

【装備品】:伝統的ニンジャ装束:回避ダイス+1個。

【生い立ち】:○実家のカネ

【スキル】:◉『トライアングル・リープキック』◉『常人の三倍の脚力』

【備考】:
下流カチグミ家庭の青年カナオリ・ショウジにニンジャソウルが憑依。
唯一の友にして家族、ヒナイの写真を常に懐に忍ばせている。

さて、成長の壁を破った彼らが今後どうなるのか。色々ソロシナリオもやってみたいと思います。


それではここまで読んでくださってありがとうございました!