忍殺TRPG小説風リプレイ【オンリー・ライズ(その3)】
◆アイサツ
ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。
こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。
それではやっていきたいと思います!
◆本編
◇◇◇
「美しい啓示の塔」内部に警報音が鳴り響く。廊下の壁に掛けられた非常ボンボリの赤い光がザイバツニンジャたちの破壊と殺戮の痕跡を照らし出す。最上階に近付くにつれトラップと警備の数はより増加し、レツノスケたちを苦しめた。
いかなニンジャといえど一介の占い師がここまでの兵力を所有出来るものであろうか?レツノスケは胸中でサウザンドマイルに対する脅威度を上方修正する。塔の主が居ると思われる最上階まであと少しだ。「……ム?」だがその時、彼のニンジャ聴力は得体の知れない不吉な呻き声を感じ取った。
(アバー……)「今、何か聞こえたか」「レツノスケ=サンがそう仰るゆうことは、うちの聞き間違いやないようですな」レツノスケとヴァルナは顔を見合わせた後、廊下の先の暗がりの奥を見やる。
「アバー……」「アアー……」ナムサン、それはクローンヤクザでもなければモーターヤブのような戦闘機械でもない。光の無い虚ろな瞳、何かを求めるように伸ばされた両の腕、そして半開きの口から漏れる虚ろな声。まるでズンビーだ!信者たちのなれの果てであろうか!コワイ!
◇トヨスダンジョン:
1d36 = (10)
合計値:10
「アバー」
ズンビーめいた生物n体が襲ってくる!撃破せよ!
ズンビー6/1/1『連続攻撃2』【万札】D6
攻撃を1度でも受けると、部屋を脱出するまで手番ごとに追加で1ダメージを受ける
n=(現在の階数/5)(端数切り上げ)
「イヤーッ!」「アバーッ!」ネクロマが躊躇なく攻撃!彼にとってニンジャ以外は等しく屑!頭部を破壊されたズンビーは緑色の血を撒き散らして動きを止める!おそらく死!「アバー……」「アアアー……」だが続々と現れる新手のズンビー!いったいどこに隠れていたのか、廊下を埋め尽くすほどの物量で迫り来る!
「ヤヤッ!?僕のジツで魂が奪えません!こいつらはただの死体人形のようです!」「流石死体のことには詳しいですなネクロマ=サン」ネクロマが忠告しながら青白い腕で新手ズンビーを叩き潰す!だが彼の言葉通り、死骸からネクロの力を奪えない!死体を何らかの術で強引に動かしているのだ!
「占いとは呪いの類だったか?悍ましい!イヤーッ!」「アバーッ!」エンハンスされたカタナでズンビーを3体同時に腰から両断!存外脆い!「アバー……アアアー……」だが下半身を失ったズンビーたちは両手で床を掻きながらなおもレツノスケたちに向かってくる!その腐りかけた手に触れれば何らかの悪影響があることは確実!
「イヤーッ!」「「「アバーッ!」」」ヴァルナが床に触れてカトン・ジツを発動!炎の壁を形成してズンビー集団を近付けさせない!「イヤーッ!」レツノスケは燃え上がる炎にキネシスを行使し、火の矢を放つ!「「「アバーッ!」」」モスキート・ダイビング・トゥ・ベイルファイアめいて大量死!
「アバー……」「アアー……」「まだまだ後ろからも来てます!」「先に進むぞ!」レツノスケたちは襲い掛かってくるズンビーの群れをかき分けながら上階へと突き進む!
「アアー……」「イヤーッ!」「アバーッ!」立ちはだかるズンビーの首を切断!「イヤーッ!」「「「アババーッ!」」」その生首をネクロマがドッジボールめいてズンビーの集団に投擲!ストライク!「道が開きましたな」「行くぞ!」3人は色付きの風となって死者の軍団をすり抜ける!
「レツノスケ=サン!前!前!」ネクロマが指差す先、彼らが目指す階段への道が今まさに金属製のフスマシャッターで閉じようとしている!「走れーッ!」「「イヤーッ!」」………………
◇1ターン目
レツノスケ強化精密攻撃:
5d6>=4 = (5,3,4,5,2 :成功数:3)+5d6>=4 = (1,4,2,2,3 :成功数:1)
ズンビー体力4
ヴァルナスリケン:
4d6>=4 = (4,3,4,2 :成功数:2)+4d6>=4 = (1,2,6,4 :成功数:2)
ズンビー体力2!
ネクロマカラテ:
5d6>=4 = (6,1,1,5,6 :成功数:3)+4d6>=4 = (4,4,6,3 :成功数:3)
ズンビーA死亡!
ズンビー攻撃→ヴァルナ:
3d6>=4 = (5,1,4 :成功数:2)+3d6>=4 = (4,1,6 :成功数:2)
ヴァルナ回避:
4d6>=4 = (5,1,3,6 :成功数:2)+4d6>=4 = (6,1,4,4 :成功数:3)カウンター!
ズンビーB体力5
◇2ターン目
レツノスケ強化精密攻撃:
5d6>=4 = (1,6,4,1,2 :成功数:2)+5d6>=4 = (5,1,6,5,3 :成功数:3)痛打×2!
ズンビーB体力1
ヴァルナスリケン:
4d6>=4 = (5,3,4,6 :成功数:3)+4d6>=4 = (3,4,4,3 :成功数:2)
ズンビーB死亡!
戦闘終了
2d6 = (5+2)合計値:7
【万札:7】GET
◇トヨスダンジョン:
1d36 = (26)
合計値:26
「アバー」
ズンビーめいた生物n体が襲ってくる!撃破せよ!
ズンビー6/1/1『連続攻撃2』【万札】D6
攻撃を1度でも受けると、部屋を脱出するまで手番ごとに追加で1ダメージを受ける
n=(現在の階数/5)(端数切り上げ)
◇1ターン目
レツノスケ強化精密攻撃:
5d6>=4 = (3,1,4,4,3 :成功数:2)+5d6>=4 = (3,2,1,5,2 :成功数:1)
ズンビーA体力4
ヴァルナスリケン:
4d6>=4 = (3,2,5,3 :成功数:1)+4d6>=4 = (2,3,2,6 :成功数:1)
ズンビーA体力2
ネクロマカラテ:
5d6>=4 = (2,4,1,5,1 :成功数:2)+4d6>=4 = (5,2,3,3 :成功数:1)
ズンビーA死亡!
ズンビー攻撃→ヴァルナ:
3d6>=4 = (2,2,3 :成功数:0)+3d6>=4 = (1,4,6 :成功数:2)
ヴァルナ回避:
8d6>=4 = (6,1,3,3,4,1,3,1 :成功数:2)
◇2ターン目
レツノスケ強化精密攻撃:
5d6>=4 = (2,6,2,6,2 :成功数:2)+5d6>=4 = (2,1,1,3,4 :成功数:1)サツバツ!
サツバツ:1d6 = (2)「観念してハイクを詠め!」頭部への痛烈なカラテが命中!
ズンビーB体力3
ヴァルナスリケン:
4d6>=4 = (4,5,6,3 :成功数:3)+4d6>=4 = (2,4,5,3 :成功数:2)
ズンビーB体力1
ネクロマカラテ:
5d6>=4 = (6,4,1,4,6 :成功数:4)+4d6>=4 = (5,6,3,5 :成功数:3)
ズンビーB死亡!
戦闘終了
2d6 = (6+4)合計値:10
【万札:10】GET
◇◇◇
「……なんとか間に合ったか」「レツノスケ=サン?うっかり死体がまぎこれ込んでもうたみたいやけど?」「いえ大丈夫です!全員撒いたようです!」「あれま。ズンビーが一匹付いてきた思うたら、うちの勘違いやった。失敬失敬」「いえいえ!勘違いは誰にでもありますよ!」「黙れお前ら」
3人が上階に出ると、そこは1つのフロアを丸々利用した大きなホールめいた空間だった。円形の部屋の壁には『千里を見通す』『信じればカチグミ』『不如意』などの不可思議な文言のショドーが掲げられている。「ええご趣味ですなあ」「すでに最上階にだいぶ近い。用心しろ」
そうレツノスケが言った瞬間であった。レツノスケたちが入ってきた扉の反対方向、ホールの奥にあるフスマドアが開き、一人の男が姿を現した。行衣めいたニンジャ装束を身に纏ったその男は、しかし下階層に居たズンビーたちめいて一切の生気を纏っていない!ズンビーニンジャは緩慢な動作で手を合わせ、アイサツした!
「ドォォオモ……アドヒアレント、デス……アバァァァ」
◇トヨスダンジョン:
1d36 = (33)
合計値:33
「AGHHH!!」
謎めいた発狂ニンジャだ!
発狂ニンジャのステータスは(現在の階数)面ダイスを3つ振って決定する。
更に万札も(現在の階数)面ダイスを振って決定する。
敵ニンジャステータス、万札: 4d11 = (9+2+11+1)
万札しょぼい……
◆アドヒアレント(種別:ニンジャ)
カラテ 9 体力 9
ニューロン 2 精神力 2
ワザマエ 11 脚力 6/N
ジツ 0 万札 1
攻撃/射撃/機先/電脳 9/11/2/2
回避/精密/側転/発動 11/11/11/-
◇装備や特記事項
『●連続攻撃2』『●連射2』
「ドーモ、アドヒアレント=サン。ロンダイジ・レツノスケです」「ヴァルナです」「ネクロマです!サウザンドマイル=サンではないようですね!貴方は彼の部下ですか?」「アバー……アァアァァァァ……」ネクロマの問いかけにアドヒアレントは答えない。否、答えられるだけの知能が存在しないのだ。
元はサウザンドマイルの信者か部下であったのだろう。だが、何らかの呪わしき力によって生命を捻じ曲げられ、知性と反抗心を奪われた今のアドヒアレントに出来るのは与えられた役割を機械的にこなすことのみ。すなわち、侵入者の排除である!「アアァァァ!」アドヒアレントは両腕を振り回し、レツノスケたちに突撃してくる!
「イヤーッ!」ヴァルナがスリケン投擲!「アバーッ!」アドヒアレントは回避せず!脳天命中!「アアアアア!」だがまるで怯むことすらなく、なおも突進してくる!「……少し骨が折れそうだな」レツノスケはイアイを構え、アドヒアレントを迎え撃つ!
「イヤーッ!」レツノスケはアドヒアレントの足を狙ってイアイを繰り出す!赤色の軌跡が弧を描き、アドヒアレントに襲い掛かる!「アバー!」アドヒアレントは関節を無視した奇怪な動きで回避!以外に俊敏!「アバーッ!」腐敗した手を伸ばす!
だが!「おイタはあきまへん」KABOOOOM!「アバーッ!?」ヴァルナが手を軽く叩くとアドヒアレントの額に突き刺さったスリケンから業火が溢れ出し、アドヒアレントの全身を包み込んだ!「アバーッ!アバーッ!アアアーッ!」だがアドヒアレントはそれでもなおヴァルナへと飛び掛かる!
「ヤンナルネ……イヤーッ!」「エッ」ヴァルナは隣にいたネクロマを引き寄せ、その背中に隠れた。最初からそうするつもりであったかのような迷いのない動きだった。「アバーッ!」「グワーッ!?」燃え盛るアドヒアレントがネクロマに覆い被さる!「あらまあ、こら一大事」
「アバーッ……アバーッ!?」「オロローン……」だが、苦悶の声を上げたのはアドヒアレントの方であった!ネクロヘンゲによってモータルの魂で形成された外殻に身を包んだネクロマは、アドヒアレントをベアハッグで鯖折りにする!「アバーッ!アアアーーーッ!」「オロローン……」アドヒアレントは拘束から逃れようと釣り上げられたマグロめいて必死にもがく!
「イアイ!」「アバーッ!」だがアドヒアレントが拘束から逃れる直前、レツノスケの研ぎ澄まされたイアイが足搔くズンビーニンジャの首を斬り落とした!「イヤーッ!」「アバーッ!」レツノスケはその頭部を十字に斬ってカイシャク!「サヨナラ!」爆発四散した!
◇1ターン目
レツノスケ強化精密攻撃:
5d6>=4 = (3,6,5,4,1 :成功数:3)+5d6>=4 = (1,6,6,4,2 :成功数:3)痛打&サツバツ!
アドヒアレント回避:
2d6>=4 = (6,5 :成功数:2)+2d6>=4 = (4,6 :成功数:2)
ヴァルナエテルの引き寄せグレーター・カトン:
13d6>=5 = (3,4,6,6,3,5,6,4,4,1,2,5,3 :成功数:5)成功!
ヴァルナ精神力14
カトンダメージ:2d3 = (3+3)+2d3 = (3+1)
アドヒアレント回避:
2d6>=5 = (4,2 :成功数:0)+2d6>=5 = (6,2 :成功数:1)
アドヒアレント体力3
ネクロマネクロヘンゲ:
12d6>=5 = (6,5,3,5,5,2,1,4,5,3,2,6 :成功数:6)
ネクロマ精神力13
ネクロマカラテ:
6d6>=4=(1,4,6,2,6,5 :成功数:4)+6d6>=4 = (2,5,5,5,1,6 :成功数:4)サツバツ&剛力!
アドヒアレント回避:
2d6>=4 = (3,4 :成功数:1)+1d6>=4 = (3 :成功数:0)
アドヒアレント体力1
アドヒアレントカラテ→ヴァルナ:
5d6>=4 = (3,6,6,5,6 :成功数:4)+4d6>=4 = (1,3,4,2 :成功数:1)ナムアミダブツ!
ヴァルナ回避:
5d6>=5 = (5,4,6,3,4 :成功数:2)+3d6>=5 = (1,2,5 :成功数:1)
◇2ターン目
レツノスケ強化精密攻撃:
5d6>=4 = (1,5,3,6,2 :成功数:2)+5d6>=4 = (2,6,6,1,1 :成功数:2)痛打&サツバツ!
アドヒアレント回避:
2d6>=4 = (3,5 :成功数:1)+2d6>=4 = (3,3 :成功数:0)
アドヒアレント体力‐3!爆発四散!
戦闘終了
2d6 = (6+4)合計値:10
【万札:1】GET
「オロローン……グワーッ!?」ネクロヘンゲを解除したネクロマは身体に付いた炎を転がって消した。「ああ、ネクロマ=サン。うちを庇ったばっかりに」「グワーッ……フー、いえいえ!問題ありませんよ!」消火を終えたネクロマは身を起こし、笑顔でサムズアップ。ヴァルナは口元に袖を当てて上品に微笑み返した。
「お前たち気を抜くなよ。流石にニンジャの護衛を倒した以上、敵の戦力もそう残ってはいない筈だ。油断せずこのまま一気に……」『ハッハハハハハ!それはどうかな!?』その時、どこからともなく響く声!スピーカーが設置されているのではない、脳内に直接聞こえてきているのだ!
『無謀と勇気を履き違えた愚かな無知者たちよ!上がってくるがいい。この私に謁見する権利を与えてやろう!』言葉が終わると同時、アドヒアレントが出てきた上階へと繋がるフスマドアが独りでに開いた。
「……とかなんとか言うてはりますけど、どないするんです?レツノスケ=サン」ヴァルナが小首を傾げ、どこか楽しそうに尋ねる。「罠の可能性は十分にある。だが、ここまで来ておめおめと引き下がれまい」レツノスケはパーカーを目深に被り直し、扉を睨んだ。
「なあに、ザイバツの名前を出せばきっと喜んで仲間になってくれますよ!偉大なるロード・オブ・ザイバツの御名前は世界を遍く照らす光ですからね!」ネクロマが気楽に言った。既に彼は任務が達成したつもりでいるようだ。
「……光を嫌う生き物も世の中にはいるものだ。とくに日の当たらぬ暗がりにはな」「実感が籠ってますなあ。経験則ですかな」「……」レツノスケは取り合わず、階段へ向けて歩き出した。その後ろにくすくすと笑うヴァルナが続き、空気の変化に気付かないネクロマが最後に部屋を後にした。
◇◇◇
◇トヨスダンジョン:
1d36 = (29)
合計値:29
オンセンだ!
ここで体を休めていこう。
体力と精神力がそれぞれ5回復。
既に最大値であった場合のみ、最大値を突破して1追加バフ。
◇◇◇
◇トヨスダンジョン:
1d36 = (36)
合計値:36
最上階は先程の階層よりもやや小ぶりな、しかし豪奢な内装のホールであった。円形上のホールは壁の半分が巨大な一枚のガラス窓になっており、ガイオンの美しい夜景を見下ろすことが出来る。
オーガニックの生け花、考えるニンジャ像、パルテノン神殿風の調度柱、エジプト彫刻のスフィンクスなど、世界中の美術品や芸術作品を雑多に詰め込んだと思われるこのホールは、生粋のキョート貴族であるヴァルナからしてみれば思わず眉を顰めるような悪趣味なものであった。
それと同時に、ヴァルナはこの部屋の主の嗜好を感じ取った。この芸術品の無意味な羅列はただの成金趣味ではない。むしろ、歴史的に価値があるとされているものを冒涜し、貶めることに快楽を見出す愉快犯の仕業だ。ヤンナルネ。ヴァルナは口の中で小さく独り言つ。
「ハハハハハハ!ハッハハハハハ!」哄笑がフロアを満たした。いつの間にそこに現れたのか、超自然の風に揺らめくニンジャ法衣を着たニンジャがホールの中央でレツノスケたちを見下ろしていた。然り、そのニンジャは如何なる絡繰りによるものか、宙に浮かんでいるのだ。
「ドーモ、ザイバツのニンジャたちよ!我が名はサウザンドマイルです!」
◆サウザンドマイル(種別:ニンジャ?)
カラテ 4 体力 32
ニューロン 14 精神力 22
ワザマエ 3 脚力 2/N
ジツ 8 万札 ‐
攻撃/射撃/機先/電脳 4/3/14/14
回避/精密/側転/発動 7/3/3/22
◇装備や特記事項
『●マルチターゲット』、『●時間差』、
『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉◉アーチ級ソウルの力』
『???』、『★★★◉半神的存在』
『☆カナシバリ・ジツLv1-3』、『★マインドブラスト・ジツ』、『★コブラ・ゲン・ジツ』、
『★★グレーター・マインドブラスト・ジツ』、
『★★★デッドリー・ノロイ・ジツ』、『★★★グレーター・ブンシン・ジツ』
『基本回避難易度:HARD』
???:
???
「ドーモ、サウザンドマイル=サン。ザイバツ・アデプト、ロンダイジ・レツノスケです」「ヴァルナです」「ネクロマです」3人はアイサツを返し、それぞれサウザンドマイルの正面と左右に陣取った。
「招かれざる客人たちよ!よくぞ我が兵隊と数々のトラップを乗り越えここまで辿り着いた!まずは褒めてやろう!……して、如何なる用件で我が城へ忍び込んだのか。理由を聞こう」「それはこのビルの取り壊しをお願いしたいがためです!」ネクロマが威勢よく挙手し、説明を始めようとした。
「よろしいですか?この共和国にはキョート景観法というものがありまして……」「ハッハハハ!不法侵入者が言うに事を欠いて法律の講義とは!」だが、サウザンドマイルは当然聞く耳を持たない。「まるで話にならん。帰って上司に伝えたまえ。こんなサンシタを寄こすなとな」
「サンシタとはシツレイな!僕たちは誇り高きザイバツのアデプト位階……」「知っておる。その上で言っておるのだよネクロマ君。人に頼みごとをするならば、それ相応の礼儀を尽くすべきだとな」「よう分かってますなサウザンドマイル=サン。後はそれを実行できれば花丸なんですけど」「ふん。口ばかり達者な小娘め」
ネクロマの怒気にも、ヴァルナの嫌味にもサウザンドマイルは余裕の態度を崩さない。「ならば裏社会の住人として話をしよう」レツノスケが一歩前に出て、サウザンドマイルにカタナの切っ先を突きつけた。
「さきほどザイバツの名前を言ったな。ならば知っているだろう。我々ギルドはキョートの影の支配者だ。ただちに立ち退き、ビルを解体してもらう。これは頼みではない。命令だ」「……」「その上でロードに対して忠誠を誓うというのであれば……組織にそれ相応の待遇で迎え入れることもやぶさかではない。いかがかな」
「……嫌だと言ったら?」サウザンドマイルは我が意を得たとばかりに口角の端を吊り上げニヤリと笑った。「それはつまり、ギルドに逆らうつもりということか?」「ザイバツ何するものぞ!我が目は千里を見通す。この私が神の代弁者として、ザイバツに代わりこの共和国の頂点に君臨して差し上げようと言うのだ!この『美しい啓示の塔』はその足掛かりだよ!」
「バカな!神とはすなわち、ロード・オブ・ザイバツのことだ!」ネクロマはいよいよ憤慨し、四肢にネクロの力を滾らせた。ヴァルナも口元を着物の袖で隠してはいるが、その冷たい瞳が彼女の内心を何より雄弁に物語る。「ハッハハハ!蒙昧なり!我が力を知らぬが故に斯様な大言が吐ける!」それらすべてを、サウザンドマイルは取るに足らぬと切り捨てた。
「交渉決裂か。まあ予想できたことだが」レツノスケはカタナを一度鞘に戻し、再度勢いよく抜刀した。ジツの力が注ぎ直された刀身は赤色の光を宿し、澄んだ音を鳴らして空気を裂いた。パーカーに隠された両の目がカタナと同じ色の輝きを放ち、宙に尾を引く。「ならば、神とやらの力を見せてもらおうか」