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忍殺TRPG小説風リプレイ【アズ・ザ・クロウ・アンド・ドラゴン・フライズ(その4)】


◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPG公式サンプルシナリオのマップを利用した小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

それではやっていきたいと思います!

◆本編

「カチカチカチ……」2人の異形ニンジャのうち、ひとりは肘と膝の先が四角錐状の刃物に置換され、蜘蛛じみて音もなく歩くニンジャ。もうひとりは大柄な体躯をオーバーオール型ニンジャ装束で包み、血錆の付着した大鉈を構えた巨漢ニンジャ。「カチカチカチカチ……ドーモ、ワッチドッグです」「レッドクリーヴァーです」無表情にアイサツを行う2人に共通する点として、彼らには人間性を廃した不気味なフルフェイスメンポが備わっていた。

 偶然ここに訪れただけの見張りたちか。あるいは自分の存在に気が付いたザイバツが差し向けた刺客か。いずれにせよ……「ドーモ……ドラゴンチックです!」ただカラテあるのみ!ドラゴンチックは燃えるようなアイサツを返し、ワッチドッグへ飛び掛かった!

◆戦闘開始

イニシアチブ
ドラゴンチック→ワッチドッグ→レッドクリーヴァー

「イイィヤアァーッ!」ドラゴンチックは床を蹴り、壁を蹴り、天井を蹴り、通路一杯に広がる灼熱の螺旋を宙に描く!そして勢いをつけたトビゲリをワッチドッグの頭部に叩き込んだ!「アバーッ!?」燃える鉄槌で殴られたような衝撃でワッチドッグの首が110度回転!

「カチカチカチ……イヤーッ!」しかしワッチドッグは痛みを感じていないのか、首がほとんど真後ろを向いた状態のまま鋭い四角錐の金属製前脚でドラゴンチックに襲い掛かる!「イヤーッ!」「グワーッ!」ドラゴンチックはあえて懐へ飛びこむことで攻撃を回避!それと同時に反撃の膝蹴りをワッチドッグの後頭部へ喰らわせる!

「バアーッ!」そこへレッドクリーヴァーが大鉈を振り下ろす!ワッチドッグごと両断しようというのか!?否!この斬撃軌道はワッチドッグを傷つけることなくドラゴンチックの身体のみを切断することが出来るギリギリの軌道だ!

 熟練のイタマエはマグロを刃物で解体する際に骨や内臓を避けて生きたまま切断することが出来るというが、レッドクリーヴァーもそのような技術を持っていることは間違いない!つまりフレンドリファイアは期待できぬ!「イヤーッ!」「グワーッ!」ドラゴンチックはワッチドッグへのカイシャクを諦め、ワッチドッグを蹴り飛ばした勢いで大鉈の斬撃を回避!

◇1ターン目
ドラゴンチックカトン・ドレスアップ:
12d6>=4 = (6,4,4,4,2,2,2,6,2,6,5,3 :成功数:7)
ドラゴンチック精神力9
ドラゴンチック連続側転:
9d6>=4 = (4,5,4,6,1,5,2,1,2 :成功数:5)
ドラゴンチックトライアングルリープ→ワッチドッグ:
5d6>=4 = (6,6,6,1,2 :成功数:3)+5d6>=4 = (6,6,5,3,1 :成功数:3)
+5d6>=4 = (2,6,1,6,6 :成功数:3)ナムアミダブツ×2!&サツバツ!
ワッチドッグ回避:
3d6>=5 = (6,2,2 :成功数:1)+3d6>=5 = (4,3,2 :成功数:0)
+1d6>=4 = (5 :成功数:1)
サツバツ:1d6 = (2)「観念してハイクを詠め!」頭部への痛烈なカラテが命中! 
ワッチドッグ体力9 ニューロン2 ワザマエ6

ワッチドッグ集中内蔵型ブレード:
4d6>=4 = (6,3,5,3 :成功数:2)+4d6>=4 = (5,1,4,2 :成功数:2)
+3d6>=4 = (2,1,6 :成功数:1)
ドラゴンチック回避:
3d6>=3 = (1,4,3 :成功数:2)+2d6>=3 = (4,2 :成功数:1)
+2d6>=3 = (5,6 :成功数:2)カウンター!
ワッチドッグ体力8

レッドクリーヴァー集中切断攻撃:
6d6>=4 = (1,6,4,4,5,1 :成功数:4)+6d6>=4 = (2,1,3,4,2,5 :成功数:2)
ドラゴンチック回避:
4d6>=3 = (3,1,6,3 :成功数:3)+4d6>=3 = (5,5,5,4 :成功数:4)

◇2ターン目
ドラゴンチック連続側転:
9d6>=4 = (1,1,2,2,2,4,4,1,5 :成功数:3)
ドラゴンチックトライアングルリープ→ワッチドッグ:
5d6>=4 = (1,4,5,6,6 :成功数:4)+5d6>=4 = (3,2,4,6,1 :成功数:2)
+5d6>=4 = (4,3,5,6,5 :成功数:4)マウントタックル!
ワッチドッグ回避:
3d6>=5 = (6,1,1 :成功数:1)+2d6>=4 = (6,5 :成功数:2)
+2d6>=4 = (2,4 :成功数:1)
ワッチドッグ集中内蔵型ブレード:
4d6>=4 = (1,3,6,1 :成功数:1)+4d6>=4 = (4,6,3,6 :成功数:3)
+3d6>=4 = (1,5,3 :成功数:1)サツバツ
ドラゴンチック回避:
3d6>=3 = (2,3,1 :成功数:1)+3d6>=3 = (3,2,5 :成功数:2)
+2d6>=3 = (5,5 :成功数:2)カウンター!
ワッチドッグ体力7

レッドクリーヴァー集中切断攻撃:
6d6>=4 = (3,3,2,6,3,1 :成功数:1)+6d6>=4 = (4,2,5,3,6,6 :成功数:4)サツバツ!
ドラゴンチック回避:
3d6>=3 = (4,1,5 :成功数:2)+4d6>=3 = (2,5,2,6 :成功数:2)

「カチカチカチ!」「バアーッ!」ワッチドッグはレッドクリーヴァーの胴体部分に蜘蛛めいて張り付く!そしてレッドクリーヴァーはそのまま大鉈を上段に構え、ドラゴンチックへと突撃する!なんたる自我をケジメされているとは思えぬニンジャ器用さとニンジャバランス感覚そして巧みな連携戦術か!

「カチカチカチ!」足側の金属製四角錐でレッドクリーヴァーにしがみついたワッチドッグが腕側の四角錐でドラゴンチックを捕らえにかかる!「バアーッ!」更にレッドクリーヴァーの大鉈がドラゴンチックの脳天へ振り下ろされる!先ほどのように前に踏み込めばレッドクリーヴァーの質量に押し負け、後ろに下がっても突撃の勢いで撥ね飛ばされるだけだ!どうするドラゴンチック!?

「……イヤーッ!」ドラゴンチックの選択は……ワッチドッグの攻撃を防御!「カチカチカチ!」ワッチドッグは嘲笑う様に歯を鳴らす!彼は1秒後には大鉈によって左右真っ二つになったドラゴンチックの返り血を浴びているであろうと予想した!

「イヤーッ!」「バアーッ!?」「グワーッ!?」だが、その予想はドラゴンチックのカラテの前に覆された!ドラゴンチックは燃えるロンググローブでワッチドッグの四角錐金属を瞬時に融解させ、液状となった金属をレッドクリーヴァーとワッチドッグに浴びせかける!レッドクリーヴァーは咄嗟に大鉈で防御するがワッチドッグはこれをもろに浴びる!

◇3ターン目
ドラゴンチック連続側転:
9d6>=4 = (6,4,1,6,5,6,4,5,4 :成功数:8)
ドラゴンチックトライアングルリープ→ワッチドッグ:
5d6>=4 = (2,2,2,1,5 :成功数:1)+5d6>=4 = (3,5,6,3,1 :成功数:2)
+5d6>=4 = (5,6,6,2,1 :成功数:3)サツバツ!
ワッチドッグ回避:
3d6>=4 = (4,5,3 :成功数:2)+1d6>=4 = (3 :成功数:0)
+3d6>=4 = (1,1,5 :成功数:1)
ワッチドッグ体力5

ワッチドッグ集中内蔵型ブレード:
4d6>=4 = (5,6,5,4 :成功数:4)+4d6>=4 = (5,3,2,1 :成功数:1)
+3d6>=4 = (5,4,1 :成功数:2)
ドラゴンチック回避:
3d6>=3 = (5,2,6 :成功数:2)+3d6>=3 = (3,6,2 :成功数:2)
+2d6>=3 = (4,4 :成功数:2)カウンター!
ワッチドッグ体力4

レッドクリーヴァー集中切断攻撃:
6d6>=4 = (4,6,2,2,2,4 :成功数:3)+6d6>=4 = (2,5,4,4,5,4 :成功数:5)
ドラゴンチック回避:
3d6>=3 = (1,4,3 :成功数:2)+4d6>=3 = (4,3,4,1 :成功数:3)

※アトモスフィアハードモード突入

「イヤーッ!」「グワーッ!」レッドクリーヴァーが怯んだ隙にドラゴンチックはワッチドッグを引きずり下ろす!「イヤーッ!」「グワーッ!」そして顔面に超高温のストンピングが突き刺さる!「イイィ……」ドラゴンチックは足に全体重とカラテを乗せ……「ヤァーッ!」「アバーッ!?サヨナラ!」そのままワッチドッグの頭蓋を踏み砕き、爆発四散させた!

◇4ターン目
ドラゴンチック連続側転:
9d6>=4 = (4,4,1,3,6,5,4,5,2 :成功数:6)
ドラゴンチックトライアングルリープ→ワッチドッグ:
5d6>=4 = (6,4,3,3,6 :成功数:3)+5d6>=4 = (2,1,4,5,6 :成功数:3)
+5d6>=4 = (1,1,3,1,4 :成功数:1)マウントタックル!
ワッチドッグ回避:
4d6=6 = (6,5,6,1 :成功数:2)+3d6>=5 = (1,4,2 :成功数:0)
ワッチドッグ体力0!爆発四散!

「バアーッ!」体勢復帰したレッドクリーヴァーは大鉈を振り払う!「イヤーッ!」ドラゴンチックはブリッジ回避!「イヤーッ!」ドラゴンチックは地面についた手を基点に、身体をコンパスめいて回しての下段蹴りを繰り出す!高熱と衝撃がレッドクリーヴァーの脹脛を鋭く打つ!

「バアーッ!」だがレッドクリーヴァーのニンジャ耐久力はこれに耐える!お返しとばかりに重い回し蹴り!「イヤーッ!」ドラゴンチックはブレイクダンスじみた動きで素早く起き上がりこれを回避!

「イヤーッ!」「バアーッ!?」ドラゴンチックはそのまま追撃の下段蹴り!キックを繰り出して片足を上げた状態のレッドクリーヴァーはたまらず転倒する!「イヤーッ!」ドラゴンチックはレッドクリーヴァーにまたがり、マウントポジションを取る!「イヤーッ!」「バアーッ!」右パウンド!「イヤーッ!」「バアーッ!」左パウンド!

「イヤーッ!」「バアーッ!」「イヤーッ!」「バアーッ!」「イヤーッ!」「バアーッ!」右パウンド!左パウンド!右パウンド!左パウンド!溶鉄めいて赤熱する拳がレッドクリーヴァーのメンポと顔面を変形させ、焼き焦がし、溶かし歪めていく!

レッドクリーヴァー集中切断攻撃:
6d6>=4 = (3,3,2,4,1,6 :成功数:2)+6d6>=4 = (2,1,6,2,3,4 :成功数:2)
ドラゴンチック回避:
8d6>=4 = (4,4,2,4,6,2,5,2 :成功数:5)
+7d6>=4 = (6,6,4,5,6,4,5 :成功数:7)カウンター×2!
レッドクリーヴァー回避:
4d6>=5 = (5,4,2,1 :成功数:1)+3d6>=5 = (6,2,1 :成功数:1)

◇5ターン目
ドラゴンチック連続側転:
9d6>=4 = (1,2,4,6,2,6,5,4,3 :成功数:5)
ドラゴンチックトライアングルリープ:
5d6>=4 = (3,5,1,4,6 :成功数:3)+5d6>=4 = (3,3,3,1,5 :成功数:1)
+5d6>=4 = (3,1,5,2,4 :成功数:2)
レッドクリーヴァー回避:
3d6>=5 = (6,5,6 :成功数:3)+2d6>=5 = (6,3 :成功数:1)
+2d6>=5 = (5,3 :成功数:1)

レッドクリーヴァー集中切断攻撃:
6d6>=4 = (5,5,5,1,3,1 :成功数:3)+6d6>=4 = (3,5,4,4,5,5 :成功数:5)
ドラゴンチック回避:
8d6>=4 = (4,2,2,3,1,3,5,1 :成功数:2)+7d6>=4 = (6,3,5,4,3,3,5 :成功数:4)

◇6ターン目
ドラゴンチック連続側転:
9d6>=4 = (1,6,6,3,1,6,2,3,5 :成功数:4)
ドラゴンチックトライアングルリープ:
5d6>=4 = (6,6,3,2,5 :成功数:3)+5d6>=4 = (6,3,5,3,2 :成功数:2)
+5d6>=4 = (5,5,5,6,6 :成功数:5)サツバツ×2!
レッドクリーヴァー回避:
4d6>=5 = (4,2,1,6 :成功数:1)+3d6>=5 = (4,2,6 :成功数:1)
レッドクリーヴァー体力17

レッドクリーヴァー集中切断攻撃:
6d6>=4 = (2,1,2,2,3,2 :成功数:0)+6d6>=4 = (4,1,4,3,1,2 :成功数:2)
ドラゴンチック回避:
15d6>=4 = (4,1,2,1,4,6,4,2,5,2,5,6,5,5,6 :成功数:10)受け流し!
レッドクリーヴァー回避ダイスダメージ2

※アトモスフィアウルトラハードモード突入!

「バアアーーーッ!」レッドクリーヴァーは手足をばたつかせて暴れ回り、強引にマウントを解除!「バアーッ!バアアーーッ!」溶け落ちた顔面の肉によって視界の利かなくなったレッドクリーヴァーは闇雲に手足を振り回し、壁や床を破壊する!

「スゥーッ……ハァーッ……」バックステップで素早く距離を取ったドラゴンチックは左足を前に、右足を後ろに下げ、腰だめにチョップを構える。「スゥーッ……ハァーッ……」彼女がチャドーの呼吸を重ねるたび、それに呼応するように右腕のロンググローブが内なる熱とカラテを高めていく。

「スゥーッ……!ハァーッ……!」ドラゴンチックの装束が、髪の毛が、瞳が熱によって白く染まっていき、構えたチョップの先が銃口めいてレッドクリーヴァーの心臓へ狙いを定める!「スゥーッ!ハァーッ!」「バアアーッ!」空気の焼け焦げる音を聞いたレッドクリーヴァーがドラゴンチックに向けて突撃する!まるで篝火に自ら飛び込む蛾のように!そして次の瞬間!

「……イイイヤアアアアーーーーッ!」「オゴアババババーーーッ!?」解き放たれた超高速・超高温のチョップがレッドクリーヴァーの分厚い胸板を貫通し、灼熱に燃える爪が心臓に突き立てられた!「イイィ……ヤアァーッ!」「アババーーッ!」ドラゴンチックはそのままレッドクリーヴァーの内臓を攪拌し、引きずり抜いた!モエル・ドラゴンクロウ・ツメ!「サヨナラ!」レッドクリーヴァーは噴水めいた血を撒き散らし、壮絶な爆発四散を遂げた!

◇7ターン目
ドラゴンチック連続側転:
9d6>=4 = (4,3,1,3,6,5,1,1,6 :成功数:4)
ドラゴンチックトライアングルリープ:
5d6>=4 = (4,6,4,3,6 :成功数:4)+5d6>=4 = (4,3,4,1,2 :成功数:2)
+5d6>=4 = (5,4,5,2,5 :成功数4)サツバツ!
レッドクリーヴァー回避:
3d6=6 = (2,1,2 :成功数:0)+1d6=6 = (5 :成功数:0)
+1d6=6 = (2 :成功数:0)
サツバツ:1d6 = (6)「さらばだ! イイイヤアアアアーーーーッ!」
痛打:2d6 = (5+4)合計値:9
レッドクリーヴァー体力3

レッドクリーヴァー集中切断攻撃:
6d6>=4 = (4,2,3,3,5,2 :成功数:2)+6d6>=4 = (3,6,3,6,4,4 :成功数:4)サツバツ!
ドラゴンチック回避:
6d6>=5 = (4,1,1,2,6,2 :成功数:1)
+9d6>=5 = (2,1,5,5,3,5,6,6,1 :成功数:5)受け流し!

◇8ターン目
ドラゴンチック連続側転:
9d6>=4 = (6,4,2,1,6,3,2,2,2 :成功数:3)
ドラゴンチックトライアングルリープ:
5d6>=4 = (1,3,3,3,4 :成功数:1)+5d6>=4 = (6,3,6,2,6 :成功数:3)
+5d6>=4 = (6,5,2,5,1 :成功数:3)ナムアミダブツ!
レッドクリーヴァー回避:
1d6=6 = (2 :成功数:0)+3d6=6 = (4,3,6 :成功数:1)+1d6=6 = (1 :成功数:0)
レッドクリーヴァー体力‐5!爆発四散!

戦闘終了
【万札:20】GET

 ドラゴンチックは装束を濡らす異形ニンジャたちの返り血をジツの力で蒸発させ、ザンシンした。彼女はそれ以上その場に留まることなく、安全な場所に寝かせていたブレイズの身体を抱え上げ、次の追手が来るより早くその場を離れた。

脚力判定 ブレイズを抱えたまま: 7d6>=5 = (6,3,6,5,5,6,2 :成功数:5)
逃走成功

◇◇◇

 ……その3分後!

「これは一体どういうことだ!」キョート城の地下牢に怒りに満ちた声が響き渡る。その声の主、ザイバツ副官であるパラゴンは右手に握りしめた鈍く輝く六文銭アミュレットに向けて怒鳴りたてた。「ネクサス=サン!ここで何が起きたというのか!エーリアス=サンは何処に逃げた!」

『分からない。だが、何者かの手引きで脱出したことは間違いない。奴は自力で逃げ出せる状態ではなかった』アミュレットは超自然の声を返した。これはザイバツ・グランドマスターのネクサスが力を籠めた特殊な呪具であり、IRC通信機めいた遠隔通話やエテルの力を高める効果を持っている。

「その何者か、の正体を聞いているのだ!」パラゴンの手の中でアミュレットがみしみしと悲鳴を上げる。パラゴンは血走った眼で牢屋の床にあるワッチドッグとレッドクリーヴァーの爆発四散痕を睨み付けた。「ニンジャ2人を同時に殺せるほどの相手が侵入して、ヴィジランス=サンもケイビイン=サンも気付けず、まんまと取り逃がしたと!?」

『そこが不可解なところだ。まず、単独の犯行ではあるまい。内部の人間に手引きを受けなければ』「……裏切者がまだいると?」パラゴンの声は低く、そして重い。『その可能性は高い。それにしても、どうやって物理と論理で護られたこのキョート城へ……』ネクサスは唸るような声で考え込んだ。

「……原因の追究は後回しだ。今は逃亡者を捕まえることが先決」『了解した。ただちに追手を手配させよう』2人が会話を終えると同時、アミュレットはその輝きを失った。静寂が流れる地下牢の中、パラゴンは大きく息を吸い、「……ザッケンナゴラー!」牢屋の檻が揺れるほどの声量で、上級ヤクザスラングを叫んだ。

◆◆◆

「ハァ、ハァ、ハァ……」アッパーガイオン、サミダレ・ストリート。追手が来ていないことを確認したドラゴンチックは立ち並ぶ大トリイのひとつに背を預け、乱れた息を整えた。道案内をしてくれたネクサス曰く、この地区はガイオン・シティの中でも目立たない死角のような地区であるらしい。しばらくはこの場所で休むことが出来るだろう。

 とはいえ、いつまでもここにいるわけにはいかない。例えどこに隠れようと、キョートはザイバツの支配下にあるのだから。それにキョジツテンカンホーのこともある。あまりこの地に長居すれば、ドラゴンチックがロードのジツに囚われないとも限らない。それに、石のように冷たいブレイズの身体も気がかりだ。精神……ソウルを失った肉体は外傷が無くとも生きていると言えるのだろうか?

(ドラゴンチック=サン、聞こえるだろうか?)(どうやら無事に追手は撒いたようだな)(アラクニッド=サン、ネクサス=サン、聞こえてるよ)ドラゴンチックはアミュレット・オブ・クレオパトラを手に持ち、キョート城に居るアラクニッドたちとニューロンによる通話を行う。

(ディプロマット=サンたちが開いたポータルについては私の方で隠蔽をしておいた。出来れば彼らと協力体制を敷ければそれが最善であったが……)(それは、ブレイズ=サンを無事に助けてからにしよう。約束を守らないと)(それはそうかもしれんが……)

(そのためにも、これからどうしよう?とにかくキョートを出ないと)共和国からネオサイタマへ行くなら、飛行機か新幹線を利用することになる。だが、そのどちらにも既にギルドの手が回っている可能性が高い。土地勘のないドラゴンチックでは、すぐに見つかってしまうだろう。

(……ならば、今一度アラクニッドがお前のすべきことを占おう)アラクニッドが恐怖の滲む声でそう言った。(本当はアラクニッドはそれをしたくない。超自然の網が……無数の眼がアラクニッドを今も見ている。コワイ。だが、そうしなければお前はシルバーキー=サンを救えない)アラクニッドの言葉は自分に言い聞かせているかのようだった。

(……お願い、頑張って)ドラゴンチックはアラクニッドを励ました。自分の無力さを悔いながら。(私も援護する、アラクニッド=サン)(……アラクニッドは頑張る)2人の言葉を受け、アラクニッドは覚悟を決めた。そして。


(……………………見えた!)長い沈黙の後、アラクニッドは占いの結果を叫ぶ!(カラスだ!三本足のカラスを探せ!)(カラス?それって……)(ドラゴンチック=サン!悩んでいる暇は無い!追手が来ている!)ネクサスが焦って指摘!会話に集中し過ぎたか!(!イヤーッ!)ドラゴンチックは慌ててブレイズを背負い、地面を蹴って駆けだした!

アズ・ザ・クロウ・アンド・ドラゴン・フライズ(その5)へ続く