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忍殺TRPG小説風リプレイ【サヨナラ・アンダー・ザ・チェリーブロッサム(その1)】

◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 今回挑戦させていただいたのはラブサバイブさん作成のシナリオ【ハナミ妨害任務】です。詳細は下記の記事をご覧ください!

※なお、リプレイにあたりシナリオの描写を一部改変させていただいております。ご了承ください。

 挑戦者はこちら!

◆セカンドアタッカー:(種別:ニンジャ)  DKK:0    名声(ソウカイヤ):2
カラテ    4    体力  5
ニューロン  2    精神力 4
ワザマエ   5    脚力  3/N
ジツ     1    万札  4

攻撃/射撃/機先/電脳  4/7/2/2
回避/精密/側転/発動  5/7/7/3
即応/緊急       5/0

◆装備や特記事項
 所持品 :『オーガニック・スシ』
 スキル :『◉魅了』
      『◉交渉:誘惑』
 装備  :『家族の写真:【精神力】+1』
 サイバネ:『▶︎サイバネアイ』
 ジツ  :『謎めいたニンジャソウル』

 立ち位置や性格:『反抗心や嫌悪』

◆忍◆
ニンジャ名鑑#---
【セカンドアタッカー】
ソウカイヤに所属するニンジャ。ゼゲン・ジツの使い手。ヤクザ抗争に巻き込まれて家族を失いニンジャになった。ヤクザが大嫌いでいつかソウカイヤをヌケニンしようとしているが、ニンジャの力を振るうことに忌避感は無い。
◆殺◆

 さて、今回の任務ですが実はダイスを振っていて面白いことがあったのでそれをリプレイという形でお見せしたいと思います。

 それではやっていきたいと思います!

◆本編

『次のニュースドスエ。タマ・リバーで全長5メートルのラッコが発見されました。タマ・リバーでは先日、虹色のアザラシも目撃されており、近隣住民の間では――』「退屈ねえ……」何の予定も入っていない休日の昼下がり、ブラウン管のテレビを適当にザッピングしつつ、セカンドアタッカーは本日何度目かの欠伸をした。

「っていうか退屈とか言ってる場合じゃないのよね~……前のビズのお金もほとんど使っちゃったし」彼女はごろんと床の上に寝そべり、染みだらけの天井をぼうと眺めた。値段に相応しい住み心地のボロアパートだが、そろそろ食料も底を突きかけている。「どっかで新しい男でも捕まえてこようかしら」

 と、その時である。BEEP!BEEP!テーブルの上に置いてある携帯IRC端末が着信を知らせた。セカンドアタッカーは億劫そうに身体を起こし、寝ぼけまなこで通知画面を睨む。すると、みるみるうちに彼女の目が見開いていった。「ヤバッ」とにかく通知に出ようとして、慌てて端末を2度3度と落としてから通話ボタンをONにする。「ハイモシモシ!」

『遅ェぞコラ。いつまで待たせる気だ』わずかに怒りを滲ませるドスの効いた声が端末から放たれた。『上司の通知には10秒以内に出ろっつってんだろが。エエ?セカンドアタッカー=サンよ』「アッハイ、サッセン。ソニックブーム=サン」セカンドアタッカーは端末を持っていない左手でキツネ・サインを作りつつ、ぺこぺこと頭を下げた。

「……で、何の御用でしょう?」『テメエ俺様が退屈しのぎに電話するように思うか?仕事の話に決まってんだろうが』「デスネー……」セカンドアタッカーは眉間に皺を寄せ、舌を出した。『フン……いいかよく聞け。ついさっきラオモト=サンから命令が下った。手頃なニンジャを見繕って標的を始末しろってな。そして俺様が白羽の矢を立てたのがテメェってわけだ。ありがたく思うんだな?エエ?』

「エッ、それってつまり暗殺?ってコト?……ですか?」セカンドアタッカーの胸に不安がよぎる。彼女は己のカラテの弱さを知っているからだ。「ちょっとそういうのは私には不向きっていうか無理っていうか難しいっていうかもっと適任がいるでしょっていうか」『タコが。んなモンお前みたいなサンシタに期待すると思うか?アア?』「アッハイ、思いません」セカンドアタッカーは小指で耳をほじる。

『勘違いするな。標的っつってもメガコーポの社長だのニンジャだのじゃねえ』「じゃあ、なんです?」『それは……』ソニックブームが説明を続けようとした、その時。『次のニュースドスエ』テレビ画面の中のオイラン・アナウンサーが新たなニュースを読み上げる。

『ダイゴン・テンプルの立派なサクラの木が話題になっているドスエ。これは地元の名士であるドオヤマ=サンが寄贈したもので、氏は今日からちょうど1週間後、テンプルにて大規模な花見を予定しており……』『オウ、ちょうどいいじゃねえか』ソニックブームは電波の奥でニヤリと笑った。

「ちょうどいいって?」とセカンドアタッカー。『今回のターゲットはこのダイゴン・テンプルのサクラだ』「ハイィ?」訳の分からない任務内容に思わず空気の抜けたような声が出る。依然やったケモチャンの捕獲任務といい、自分は妙なミッションに縁があるのだろうか。

『問題はテンプルにサクラの木を寄贈したドオヤマの野郎だ。こいつは名士なんざ気取っちゃいるが、実際のところはヤクザ・クランのオヤブンでな。密輸で稼いだカネで名を売ろうって成金野郎だ』セカンドアタッカーはテレビに映るドオヤマの顔を見る。老いてはいるが精力的な顔をした良い男だ。それでカネモチとなればもう言うことはない。

『ドオヤマはソウカイヤの傘下に入ることを渋っていてな。身の程をわからせる必要がある。今すぐテンプルに向かい、サクラの木をムチャクチャにしてこい。ガソリンぶっかけて燃やすなり、枝を全部切り落とすなり、そのへんはテメェに任せる』「ハァ。もし失敗したら?」『……わざわざ言う必要があるか?』「アッハイ、ありません」

『んじゃ、行ってこい』ブツン。通話が一方的に切断される。セカンドアタッカーはもう一度べえと舌を出し、IRC端末を放り投げた。テレビのニュースもいつの間にか終了しており、人気オイラン俳優オハリ・スエヒロがMCを務める旅番組が始まっていた。

「アー、しょうがない。おカネ稼ぎにいきますか」セカンドアタッカーはテレビの電源を落とし、下着の上に装束を着てから軽く化粧した。そして彼女がいざ部屋を出ようとしたその時、出入り口の扉が開き、オチムシャ・ヘアーの屈強な男が姿を見せた。

「あ、オカエリナサイ。私もう出ていくから。今までアリガト」セカンドアタッカーは両目を妖しく光らせ、オチムシャ・ヘアーの肩をぽんと叩いた。男はあいまいな返事と共に彼女を見送る。

 ……それから数分後。「……ア?俺なにしてたんだっけ?」あいまいな状態から意識を取り戻したオチムシャは部屋に残るコスメの香りを不思議に思い、首を傾げる。「オイランでも呼んだっけ?」

「バリキの飲みすぎかな。全然思い出せねえ。まあいっか」セカンドアタッカーの使用するゼゲン・ジツの効果が消えたオチムシャは彼女をタダで部屋に住まわせていた記憶をきれいさっぱり失い、何事もなかったかのようにオハリ・スエヒロがMCを務める旅番組を視聴し始めた。

◆◆◆

◇テンプル入り口

 灰色の高層ビル、煌びやかなネオンの海、鉛色の空を泳ぐマグロ・ツェッペリンが地上へ落とす過剰広告音声……それらすべてから空間的、時間的に切り離されたかの如く厳かに佇むダイゴン・テンプル。セカンドアタッカーは任務でなければ一生縁の無かったであろうこの建物の正門前に立っていた。「キョートみたいなとこね。まあキョートなんて行ったことないけど」

「さぁて。サクラの木は何処かしら、っと」その時だ。「「スッゾオラーッ!!」」BLAM!BLAM!突然のヤクザスラング!そして銃声!「アバーッ!」そして男の断末魔の叫び!「…………あれ?私、ヤクザ事務所に来たんだったかしら?」セカンドアタッカーは一瞬現実逃避しそうになるも、気を取り直して門の向こう、声と音の発生源を見やる。

 どうやら正門内を警備していた2人連れのクローンヤクザ……クローンヤクザボンズがテンプルを狙ったであろうアンタイブッダ・ブラックメタリストをチャカ・ガンで射殺したようだだ。ブラックメタリストは恐ろしい大マサカリで武装していたが、所詮は素人。訓練されたクローンヤクザの戦闘力には及ばない。クローンヤクザボンズ達は死体をロータスの浮かぶ池の中に投げ捨てると警備に戻った。

「いや、オカシイでしょ。クローンヤクザにボンズやらせてどうすんのよ」セカンドアタッカーは正気を疑うような光景に頭を抱えたが、現状は何も変わらない。チャカで武装した屈強な男が2人で正門を守っているという事実だけが目の前にある。

「1人ならともかく2人はキツイわね」ここはステルスで潜入するべきであろうか。そう考えたセカンドアタッカーはテンプルを囲む塀の上にジャンプし、網膜にインプラントしたサイバネ機能を用い、正門以外から侵入可能なルートを確認する。しかし……

「ちょっと何よこれ。ヤクザ……ボンズがいなくっても訳の分かんないトラップが嫌っていうほどあるじゃないのよ」一般的なトリイに偽装したトリイギロチン、タケヤリの仕込まれた落とし穴、赤外線センサーとボウガンが備え付けられた電子石灯篭、怪電波を放つブッダデーモン像……暗黒メガコーポのオフィスもかくやという侵入者排除用トラップのオンパレード!

「ナンデただのテンプルにギロチンだのボウガンだのが必要なのよ。バカじゃないの?」ぶつぶつと文句を言いながらセカンドアタッカーは思案する。果たしてあのトラップ群をくぐりぬけて、中庭にあるというサクラの木の元へ無事にたどり着けるだろうか?

セカンドアタッカーはどうする?
1正面突破2ステルス: 1d2 = (1)

 結論は2秒で出た。無理だ。どう考えても不可能だ。「しゃあない。一人アンブッシュでやっちゃえばなんとかなるでしょ」セカンドアタッカーは手にしたフラップバッグの中からクナイ・ダートを取り出し、物陰に隠れてクローンヤクザボンズたちの背後へと回る。そして、「イヤーッ!」ヤクザボンズ1体の首筋目掛け投擲!

◇1ターン目
クナイ: 7d6>=4 = (5,3,5,5,5,5,4 :成功数:6)
回避:5d6>=4 = (1,4,1,6,1 :成功数:2)

◇2ターン目
クナイ:7d6>=4 = (2,3,6,2,5,4,3 :成功数:3)

【万札:2】GET

「グワーッ!?」狙いは僅かに逸れ、クナイがヤクザボンズの背中に突き刺さる!「アッコラー!?」「イヤーッ!」「グワーッ!」もう一人のヤクザボンズが反応する前に更にクナイ投擲!「イヤーッ!」「グワーッ!」投擲!「イヤーッ!」「グワーッ!」投擲!

 …………「フゥー……なんとかなったわね」セカンドアタッカーはクナイ・ダートを針山めいて生やしたヤクザボンズたちの死体に近づき、懐をあさる。数珠やチャカを売れば少しは金になるだろう。「ちょっと罰が当たりそうな気がするけど、ま、頑張った私へのご褒美ってことで」「「「ザッケンナコラー!」」」

「……ちょっとぉ。罰が当たるの早くないブッダァ?」セカンドアタッカーはうんざりした顔で参道の上を走り来る3体のクローンヤクザボンズを見やる。宝物殿の中に隠れていた警備が騒ぎを聞きつけ、駆けつけたようだ。

「ほんっとに!めんどくさいわね!ナンデ!テンプルに!ヤクザがいるのよ!」セカンドアタッカーは両手の指にありったけのクナイを挟み、両手をクロスさせる構えを取る!「イイヤアーッ!」そして溜めた力を解放させるように両手を開き、クナイ全弾射出!

「グワーッ!」先頭に立つヤクザボンズに大半のクナイが命中し絶命!「「スッゾコラー!」」BLAMBLAM!しかし残り2体のヤクザボンズは先頭の1人が盾となったことで無事!発砲!「イ、イヤーッ!」セカンドアタッカーはすんでのところで跳躍回避!咄嗟に近くにあった神木の枝を掴み、体操競技めいて枝上へ退避!

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「「グワーッ!」」高所の利を得たセカンドアタッカーは機銃掃射めいてクナイを乱射!ヤクザボンズたちは為す術もなくクナイが突き刺さり死亡!神聖なる参道は緑色の血に染まり穢されていく!ナムアミダブツ!

◇1ターン目
クナイ: 7d6>=4 = (4,4,4,6,4,4,3 :成功数:6)
回避: 5d6>=4 = (2,5,6,5,2 :成功数:3)

◇2ターン目
クナイ:7d6>=4 = (6,1,2,1,2,4,6 :成功数:3)
回避:5d6>=4 = (5,4,5,4,5 :成功数:5)

◇3ターン目
クナイ:7d6>=4 = (3,5,1,3,1,2,1 :成功数:1)

【万札:3】GET

「ハァー……ハァー……ど、どうよ。やってやったわ」セカンドアタッカーは枝から地面に飛び降り、素早くヤクザボンズたちの懐をあらためていく。警備のクローンを5人も始末した以上、テンプル側も侵入者の存在に感づいたことだろう。急いでサクラの木を探さねば。

「お願いだから監視カメラとかに映ってませんように……」セカンドアタッカーは先へ進もうとして、何かに気が付きその場で足を止める。彼女の視線の先にはいまどき珍しいオーガニック素材の賽銭箱。

 セカンドアタッカーは何を思ったか、クローンヤクザボンズから奪ったトークンを取り出し、軽く口づけする。そして、「イヤーッ!」タタミ10枚ほどの距離からトークンを賽銭箱へと投げ入れた。

「頼むわよ、ブッダ」聞き届けられたかもわからぬ祈りの言葉を呟き、彼女は走り出した。

サヨナラ・アンダー・ザ・チェリーブロッサム(その2)へ続く