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忍殺TRPG小説風リプレイ【プロト・シンセシス(その5)】


◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

それではやっていきたいと思います!

◆本編

「GRRRR……!GRRRRRR!」サワタリはパルスダガーを警戒するそぶりを見せつつ、なおもサルーテを執拗に攻め立てる!BLAM!BLAM!BLAMBLAMBLAMBLAM!サルーテはニューロンをフル稼働!論理トリガによる高速連続射撃を行い、弾幕の網を作り出してサワタリを迎え撃つ!

「サイGRRRRR!」サワタリは冷気の霧に溶け込んだと錯覚するほどの速度で弾幕を掻い潜る!数発ほど掠めた弾丸で血の筋を宙に残しながら、恐るべきベトコンサメニンジャは軍服重サイバネニンジャに組み付いた!サルーテは近接カラテでサワタリの横腹にテッコの拳を叩き込む!「GRRRR!」だがサワタリは意に介さず!逆にサルーテの少ない生身部分を的確に攻撃してくる!

「サルーテ=サンは装備から見ても分かる通り、全身を機械化した重サイバネ者。耐久力という点では生身の人間を遥かに上回っている」物陰で2人の戦いを観察していたアンモナイトが呟く。「されどあのサワタリという男のタフネスもかなりのもの。なんらかのバイオ手術を受けているか、あるいはソウル由来のジツか?はたしてどちらが先に倒れるのか……」

 BLAMBLAM!「GRRRR!」サルーテはサワタリの顔面のすぐ真横でLAN直結銃を発砲!銃声と発火炎をスタングレネード代わりにしてサワタリを怯ませる!「グワーッ!」更に銃撃の反動を利用した回し蹴り!暗黒武道ピストルカラテ!サワタリのこめかみに重い蹴りがクリーンヒットする!

「……GRRR!」しかしサワタリは倒れない!そればかりかサルーテの蹴り足を掴み、大口を開けて噛み付いた!「GRRRRR!」サワタリの口の端からオイルめいた黒い血が、骨と鉄の軋む音が溢れ出す!

「通常ならばここで勝負あり、といったところだ。ニンジャのイクサに置いて機動力を奪われることは即、死に直結する。……しかし見よ!まだ終わっておらぬ!」アンモナイトは白手袋をした手で拳を作り、サルーテの動きに注視した。まるでこの後に起こることを予期していたかのように!

◇5ターン目
サルーテ集中オートマチック・ピストルカラテ:
4d6>=4 = (4,6,1,3 :成功数:2)+4d6>=4 = (1,3,1,6 :成功数:1)
+4d6>=4 = (3,6,5,4 :成功数:3)+3d6>=4 = (1,6,2 :成功数:1)痛打×4!
サワタリ回避:
2d6>=5 = (2,4 :成功数:0)+2d6>=5 = (4,1 :成功数:0)
+1d6>=5 = (2 :成功数:0)+1d6>=5 = (5 :成功数:1)
サワタリ体力11

サワタリ集中バイオ近接武器→サルーテ:
5d6>=3 = (2,2,2,1,5 :成功数:1)+5d6>=3 = (3,1,4,3,6 :成功数:4)
サルーテ回避:
4d6>=5 = (3,2,2,2 :成功数:0)+3d6>=5 = (1,2,5 :成功数:1)
サルーテ体力5

サルーテ集中オートマチック・ピストルカラテ:
4d6>=4 = (3,5,5,5 :成功数:3)+4d6>=4 = (3,6,3,2 :成功数:1)
+4d6>=4 = (4,6,4,6 :成功数:4)+3d6>=4 = (2,3,6 :成功数:1)痛打×3!
サワタリ回避:
1d6>=5 = (2 :成功数:0)+2d6>=5 = (3,5 :成功数:1)
+1d6>=5 = (6 :成功数:1)+1d6>=5 = (3 :成功数:0)
サワタリ体力7

※アトモスフィアウルトラハードモード突入!

 BLAM!「グワーッ!?」サルーテは撃った!自分の脚に噛み付いていたサワタリの牙を!自分の脚ごと!「グワーッ!?」サワタリの牙が砕け散り、サルーテは倒れ込むようにして解放される!BLAMBLAM!サルーテはそのままブレイクダンスじみた動作から弾丸を放つ!

「グワーッ!?」サワタリは両足を撃ち抜かれて転倒!サルーテはワーム・ムーブメントと匍匐前進を織り交ぜた動きでサワタリのマウントポジションを取り、そのまま右の拳で顔面を殴りつける!「グワーッ!」続いて左の拳で顔面を殴りつける!「グワーッ!」右!左!「グワーッ!グワーッ!」右!左!右!左!「グワーッ!グワーッ!グワーッ!グワーッ!」

 ……やがて、サワタリの上げる叫び声が徐々に小さくなっていき、その四肢から力が抜けていく。「GRRR……ニモ……」だがまだサワタリには意識があった。サルーテは両手を組み、「グワーッ!」ハンマーめいてサワタリの顔面に振り下ろした。「グワーッ!グワーッ!」念のため更に2発振り下ろす。「ムン」サワタリは完全に沈黙した。

◇6ターン目
サルーテ集中オートマチック・ピストルカラテ:
4d6>=4 = (2,4,3,2 :成功数:1)+4d6>=4 = (5,3,6,1 :成功数:2)
+4d6>=4 = (5,4,3,6 :成功数:3)+3d6>=4 = (1,2,4 :成功数:1)痛打×2!
サワタリ回避:
1d6=6 = (6 :成功数:1)+2d6=6 = (2,3 :成功数:0)
+2d6=6 = (5,5 :成功数:0)+1d6=6 = (1 :成功数:0)
サワタリ体力2

サワタリ集中バイオ近接武器→サルーテ:
5d6>=3 = (1,5,5,5,5 :成功数:4)+5d6>=3 = (3,2,1,4,2 :成功数:2)
サルーテ回避:
4d6=6 = (6,4,4,5 :成功数:1)+3d6=6 = (3,5,2 :成功数:0)
サルーテ体力3

サルーテ集中オートマチック・ピストルカラテ:
4d6>=4 = (1,6,5,6 :成功数:3)+4d6>=4 = (4,3,1,4 :成功数:2)
+4d6>=4 = (6,5,3,3 :成功数:2)+3d6>=4 = (3,2,1 :成功数:0)痛打×2!
サワタリ回避・アドレナリンブースト:
2d6>=5 = (4,6 :成功数:1)+1d6>=5 = (5 :成功数:1)
+2d6>=5 = (2,3 :成功数:0)
サワタリ体力0!

戦闘終了

「終わったか。この戦い、相手を殺害することが出来ぬというハンデを背負っているサルーテ=サンの側が不利だと思ったが……やはりサワタリ=サンの攻撃方法が噛み付きに限定されていたことがサルーテ=サンの勝因か」アンモナイトが安堵の息を吐き、イクサを総括する。

 アンモナイトの言う通り、仮にサワタリが正気を──普段のサワタリの状態を正気と呼ぶのかは別問題として──保っていたならばこうはいかなかったであろう。豊富な武器とトラップの波状攻撃でサルーテたちは今以上に追い詰められていた筈だ。サメの牙は殺傷力こそ優れているが、逆に言うならばそれさえ無効化してしまえば対処は容易ということでもある。

「もういいか……?」物陰に隠れていたイセがおそるおそるといった様子で姿を見せた。彼女は気絶したトガリを侮蔑に満ちた目で見下ろし、次いで困惑の感情を乗せた瞳で気絶したハイドラとサワタリを見て、最後にどこか遠慮がちな風にサルーテを見て、言った。「それで結局、これからどうするんだ……?」

 イセとアンモナイトは固唾を呑んでサルーテの反応を待つ。2人の目的であるアンモナイト琥珀は依然としてサルーテが所持している。それはすなわち、この一言も言葉を発しないニンジャからアンモナイト琥珀を渡してらえるような言動を想像し、実行しなければならないということである。

 サルーテは直立不動のまま動かない。彼の表情は分厚いゴーグル、ヘルメット、メンポに覆われ窺い知ることは出来ない。イセとアンモナイトは横目で睨み合い、視線で火花を散らす。その様は西部劇で決闘を行うガンマンたちが相手の出方を伺いつつ、自分が銃を抜くタイミングを見計らっている光景にも見える。

「サルーテ=サン!私の助力によってハイドラ=サンの無力化に成功したということをどうか思い出してほしい!」先に銃を抜いたのはアンモナイトであった。出遅れたイセは何か言おうと口を開くが、アンモナイトはなおも捲し立てる。

「ハイドラ=サンの再生能力は私がいなければ封じることは出来なかった!この一事を以てしても私は十分すぎるほどの成果を上げたと言えるだろう!更に言うならば私はトガリ=サンの情報も事前に提供している!この時点で君たちは私に借りを2つも作っていることになる!」

 アンモナイトの言葉にサルーテは反応しない。アンモナイトはノレンを押すような虚脱感を覚えながらも言葉を続ける。「それもこれもすべては君の持っているアンモナイト琥珀を手に入れんがためだ!私は君たちが約束を守ることを信じ、全面的に協力してきた!どうか、道義に基づいた対応をお願いする!」

 アンモナイトは勢いよく頭を下げ、90度のオジギ姿勢を取ったまま動きを止める。アンモナイト型のフルヘルム・メンポの下で、アンモナイトは勝利を確信してほくそ笑んだ。一切の非の打ちどころの無い、完璧な理論武装だ。

 問題はサルーテが約束を反故にするような人間だった場合の事だが……感染者であるサワタリたちへの対応を見るに、その心配もあるまい。つまり、もう少しで垂涎のアンモナイト琥珀に手が届く。アンモナイトの心臓が7割の期待と3割の不安に高鳴った。サルーテの右手がゆっくり動き、懐のアンモナイト琥珀が取り出される。アンモナイトは頭を上げ、両手を伸ばそうとした。


「サワタリ=サンとハイドラ=サンを治療するためには……おそらくシャークパイアを利用する必要がある」イセの放った言葉に、サルーテとアンモナイトの時間が停止した。

「彼らを治療するための薬だが、おそらく現時点では存在しないだろう。少なくともトガリはウイルスに……サメに感染した状態を病気や異常ではなく、進化と考えていたようだからな。では、どうやってサワタリ=サンたちをサメウイルスから救うのか?」

「いくつか方法は考えられるが……感染源であるシャークパイア自体を回収し、そのDNAや血液成分を分析することが最短にして最善だ。では、誰がやる?」イセの発言ひとつひとつが、サルーテとアンモナイトのニューロンに少しずつ、少しずつ染み渡っていく。イセは一旦言葉を区切り、意を決したように言った。

「私がそれをやる。いや、この中ではそれが出来るのは私だけだ。私はその対価に、サヴァイヴァー・ドージョーからの解放とアンモナイト琥珀を要求する」イセは力強く宣言した。すべては甲殻類の勝利のために。彼女もまたアンモナイトやトガリに匹敵する執念を持っているのだ。

「欺瞞だ!それならむしろシャークパイアの製造者であるトガリの方が適任だろう!」アンモナイトがイセに食って掛かるが、イセは鼻で嗤って受け流す。「さっきの話を聞いていなかったか?トガリはサメに感染することを歓迎するような狂人だ。たとえ拷問されようとも治療法など教えまいし、作るまい。Q.E.D.だ」「ヌゥーッ!」

「だが、最終的に結論を出すのはお前だ……サルーテ=サン」イセの凝視とアンモナイトの縋るような視線がサルーテに集まる。「それで結局、これからどうするんだ?」イセは先程と同じ質問を繰り返した。サルーテはアンモナイト琥珀を右手に持った体勢のまま動かない。その表情は相変わらず窺い知れない。

 数十秒か、あるいは数分か。サルーテは長い長い時間をかけた後、電源を入れ直した機械のように動き始め、琥珀を懐へと仕舞い、またもや直立不動のまま動かなくなった。パチン!イクサの余波か、あるいは生きた人間はもういないと機械が判断したのか、天井に灯っていたLEDライトが光を落とし、辺りが冷たい闇と静寂に包まれた。

◆後書き

 ということで特に何も得られずミッション終了。しかもどうにかしてシャークパイアを回収しなければサワタリとハイドラがサメに感染したままという危機的状況になってしまいました。サメに感染ってなんだよ。はたしてこれからどうなるのでしょうか?現時点では何も分かりません。とにかく何とかどうにかしてほしいものです。

 それではここまで読んで下さってありがとうございました!