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見えないところに流れているもの。

「気をつけて! はよう帰ってこんにゃあよ!」

張りのある声で強い口調の声が背中のほうから降りかかってくる。
もう。せっかくのおでかけなのに、早く帰れ早く帰れなんて、ほんっとうにうるさい。帰ってくるんじゃなかった。

実家に帰ってから、遠くへ出かけるときに、必ずと言っていいほど母からそう声をかけられてました。もう40手前の大人に、いったいいつまで指示してくるんだろう、とかなりうんざりしていました。

高校卒業と同時に実家を出て、それからほぼずっと一人暮らしをしてきていたので、親との生活のリズムも、暮らしの価値観もかなりずれてきていて、20年ぶりに一緒に暮らし始めたときはストレスでたまらなかったです。

だけど、すこしずつ、その強い口調の裏側には『心配』とか『愛』とかが隠れてるんだなぁ、ということがわかってきました。

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「一万円選書」で有名な「いわた書店」の岩田さんの選書によく選ばれている本のなかに、原田マハさんの「生きるぼくら」や「キネマの神様」「あなたは誰かの大切な人」などがあって、それでマハさんのファンになり、今回あたらしく読んだのが「旅屋おかえり」。

マハさんのどの本にも共通しているのが、根底に流れている『愛』。

表面上ではなかなかわからないけれど、その裏や見えないところにちゃんと「愛されていること」「誰かの想い」が流れているということ。それが描かれていていつもとても泣けるんです。

豪華じゃなくても、みんながうらやむ仕事じゃなくても、目の前のたったひとりが心震えるほどよろこんでくれる、そんなしごとがしたい、そんなふうにも思えた作品でした。

3月には読みたい本が2冊刊行されるし、気になる本も見つけたし、もう、おうち時間もまだまだ楽しめそうです。
あ、でもはやくやっぱりのびのびとでかけたいし、そろそろわたしも旅したい。
それまでは、読みたい作品に触れていようかなーと思ってます。

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