マガジンのカバー画像

短いおはなし

26
短めのお話をまとめる予定です
運営しているクリエイター

#生まれ変わるなら

僕と父は生まれ変りについて相談する

雨の日の夜、僕が部屋で読書をしていると、ドアをノックする音がした。開いています、と答えると父が入ってきた。父はにこやかに僕の本棚を指さすと、歩み寄って覗き込んだ。 僕と父は当然親子であるが、同時に読書友達でもある。我が家には「父は僕の本を勝手に読んで良いし、僕も父の本を勝手に読んで良い」というルールがある。時には、友達と言うよりはライバルのように読書談義に花を咲かせる事さえある。そう言ったわけで、父の帰宅が早い夜には、今夜のように僕の買った本を読みに来る事が少なくなかった。