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奥田@有料版vol.351:払済に関する最終検証

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<2022/04/06配信>

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奥田雅也の
「無料メルマガでは書けない法人保険営業ネタ」
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奥田@有料版vol.351:払済に関する最終検証
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いつもお世話になります。
奥田です。

私が主宰しておりますオンラインサロンにて、
参加メンバーから非常に興味深いコメントを
頂きました。

〇ヒミツの保険営業コミュニティー

<コメント>
国税は9-3-7の2に定期保険と第三分野を追加したのか、奥田さんの感想を教えて下さい。

正直、このコメントを頂くまで、
考えたこともなかったのですが、
コメントを頂いてから、
いろいろと考えてみた
私なりの結論をまとめてみます。

まずは、基本の通達から確認をします。

法基通9-3-7の2(払済保険へ変更した場合)

<2019年改正前>
 法人が既に加入している生命保険を
いわゆる払済保険に変更した場合には、
原則として、その変更時における
解約返戻金相当額とその保険契約により
資産に計上している保険料の額(省略)との差額を、
その変更した日の属する事業年度の
益金の額又は損金の額に算入する。

ただし、既に加入している
生命保険の保険料の全額
(傷害特約等に係る保険料の額を除く。)が
役員又は使用人に対する給与となる場合は、
この限りでない。

(注)1. 養老保険、終身保険及び年金保険
(定期保険特約が付加されていないものに限る。)
から同種類の払済保険に変更した場合に、
本文の取扱いを適用せずに、
既往の資産計上額を保険事故の発生又は
解約失効等により契約が終了するまで
計上しているときは、これを認める。

※以下、省略

<2019年改正後>※【】部分が改正箇所
法人が既に加入している生命保険を
いわゆる払済保険に変更した場合には、
原則として、その変更時における
解約返戻金相当額とその保険契約により
資産に計上している保険料の額(省略)との差額を、
その変更した日の属する事業年度の
益金の額又は損金の額に算入する。

ただし、既に加入している
生命保険の保険料の全額
(【特約】に係る保険料の額を除く。)が
役員又は使用人に対する給与となる場合は、
この限りでない。

(注)1 養老保険、終身保険、【定期保険、第三分野保険】
及び年金保険(【特約】が付加されていないものに限る。)
から同種類の払済保険に変更した場合に、
本文の取扱いを適用せずに、
既往の資産計上額を保険事故の発生又は
解約失効等により契約が終了するまで
計上しているときは、これを認める。

※以下、省略

この通達は平成14年2月15日に発遣され、
平成14年1月1日以後の払済に
適用されることとなりました。

この通達が発遣された際に
付記されている解説を見ると、
国税庁の見解を垣間見ることが出来ます。

少し長いですが、
非常に興味深い文章ですので
お付き合いくださいm(__)m

〇国税庁HP

【解説】
(1) 保険契約においては、
既契約の途中で保険料が
支払えなくなったような場合に、
保険料の払込を中止し、
既払保険料に係る解約返戻金を利用して
契約の存続を図る方法がある。

これを一般に「払済保険」という。

従前、既契約の保険を
払済保険へ変更した場合、実務上、
何らの経理処理も行われていなかったが、
税務上も、通常その変更が払込期間の中途で
保険料の支払が困難になった場合に
行われるものであること、
新たな保険契約の締結ではなく
既契約の保険期間のまま
保険金額が減額されるにとどまること等の
事情を考慮して、これが容認されていた。

(2) ところが、最近、
契約当初から払済保険への変更を予定して、
これにより税負担の軽減を図る事例が見受けられる。

すなわち、現在、定期保険は、
一定の要件を満たす貯蓄性の高いものを除き、
支払保険料の全額について
期間の経過に応じて損金に
算入することが認められているが、
定期保険の保険料の中には
将来の保険事故に備える責任準備金の部分、
つまり実質的な前払部分が含まれており、
保険期間の中途に解約した場合は
その金額を基に解約返戻金が支払われることになる。

このため、例えば、
逓増定期保険特約付の終身保険を
加入するに当たって、
契約当初は終身保険部分は非常に低くし、
特約部分の保険料を多額にして
保険料の大部分を支払時に損金処理した上で、
その後解約返戻金相当額が
最高になる時点において、
既保険契約を払済保険に変更して、
変更後は解約返戻金相当額を原資とした
終身保険とすることにより、
結果的に既に損金処理された保険料の一部を
簿外資金として留保することが可能となるのである。

(3) 払済保険は、解約返戻金を利用して
契約の存続を図る方法である。
この場合、保険期間は元契約のままで、
そのときの解約返戻金を一時払保険料
(元契約が定期保険特約付終身保険の場合は終身保険)
に充当することになる。

したがって、払済保険の保険金は、
変更時の元契約の残存保険期間を保険期間とし、
変更時の被保険者の到達年齢を
加入年齢とする終身保険等の
一時払保険料に解約返戻金を振り替えて
計算した金額となる。

換言すれば、解約返戻金を一時払いして
新たに終身保険等に加入したとみることもできる。

これと類似する制度として、保険契約の転換制度がある。

保険契約の転換は、
既契約の養老保険や定期保険に係る
責任準備金や配当金等の合計額を
新たな養老保険や定期保険に係る
一時払保険料に充当する形で
契約を切り替えるものである。

払済保険との違いは、払済保険は既契約の
保険種類や保険期間は変更できないが、
転換の場合は保険の種類、保険期間などの
変更が可能であること、
払済み保険は元契約に復旧することができるが、
転換にはそのような措置はない点である。

しかし、いずれも既契約による
責任準備金又は解約返戻金を一時払保険料として
充当する点については一致しており、
その経済的な効果や払済保険の現状等を考慮すれば、
税務上双方について同様の処理を行うことが
相当であると考えられる。

(4) したがって、払済保険においても、
転換の処理(基通9-3-7)と同様に、
払済保険に変更した日を含む事業年度において、
過去に先行して損金算入した
支払保険料の前払部分の精算があったとみなして、
解約返戻金を収益計上する一方で、
その同額が保険料として
一時払いされたものとして処理することが相当である。
本通達の本文では、このことを明らかにしている。

ただし、例えば、役員又は部課長その他
特定の使用人のみを被保険者とし、
死亡保険金の受取人が
被保険者の遺族とされている場合には、
支払保険料の全額がその役員又は使用人に対する
給与とされることから、
払済保険への変更時に保険契約者において
洗替経理処理を行う必要はない。

(5) 現行の9-3-7の取扱いにおいては、
養老保険、終身保険及び年金保険から
同種類の保険に転換した場合にも、
洗替経理処理を行うこととしている。

しかし、払済保険は、保険期間が既契約と同じであり、
単に保険金額が変更されるだけであるため、
養老保険等の場合に積立保険料として
資産計上した金額は理論的には
変動することはないことから、
課税上の大きな問題は生じない。

このため、定期保険特約が
付加されているようなものは別として、
単体の養老保険、終身保険及び年金保険から
同種類の払済み保険に変更した場合には、
これらの保険に洗替経理処理を行わず、
そのまま保険事故の発生又は解約失効等により
契約が終了するまで資産計上を継続することとしても
差し支えないものと考えられる。

本通達の(注)1では、
このことを明らかにしている。(以下、省略)

 この国税庁見解のポイントをまとめてみます。

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