【本記事は無料で読めます】奥田@有料版vol.420:BM社問題が保険業界に与える影響と今後の予想
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<2023/08/02配信>
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奥田雅也の
「無料メルマガでは書けない法人保険営業ネタ」
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奥田@有料版vol.420:BM社問題が保険業界に与える影響と今後の予想
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いつもお世話になります。
奥田です。
現在、何かとにぎわっています
ビッグモーター社(以下BM社)の問題ですが、
自動車保険関連の問題も出ており、
保険業界にいる我々にとっても
影響が波及してきそうな状況です・・・
まずいろいろな報道から
事実関係を時系列で確認します。
2021年11月
BM社の社員が保険金の過剰請求をしていると
損保協会へ通報。
2022年2月~3月
損保3社がサンプル調査をしたところ
保険金不正請求が疑われる事案を
複数発見。
2022年6月上旬
損保3社が合同でBM社に対して自主調査を依頼。
同時に3社がBM社への事故車の入庫誘導を停止。
2022年6月下旬
BM社から損保社に対して不適切な保険金請求が
あったことを報告。BM社は現場のミスが原因であると
報告。
2022年7月
BM社への事故車誘導を止めていた損保ジャパンが
「組織的関与はなかった。再発防止策を徹底させる」
とのリリースを出して事故車誘導を
他2社に先がけて再開。
2022年8月
週刊誌が一連の騒動を報道
2022年9月
報道を受けて損保ジャパンは再度、
事故車の入庫誘導を停止
2023年2月・3月
不正改造や車検の不正が発覚し、
一部店舗で業務停止処分や
民間車検場の指定取り消し処分を受ける
2023年4月
タイヤに穴をあける不正整備を
指導した動画が流出
2023年7月
不正請求に関する報道が出た後に
公式HPにて
「当社板金部門における不適切な
請求問題に関するお詫びとご報告」
というリリースと社内の処分を公表。
その後25日に代表取締役の交代、
28日には国土交通省が立入検査を実施
という流れです。
<参照>
※ダイヤモンドオンライン
Friday DIGITAL
ビッグモーター公式HP
その後、街路樹問題や架空契約などは
報道の通りです。
最新の情報は日経新聞に特設サイトが
ありますので、こちらをご確認下さい。
※日本経済新聞社 特設サイト
本メルマガはあくまでも法人保険営業が
メインテーマですが、今回は損保会社を
巻き込んだ騒動になっており、
保険業界人としては看過できないと思い、
取り上げました。
本件が今後、保険業界に
どのような影響を与えるのか?に
私は興味があります。
※なお本稿はあくまでも
奥田個人の意見・見解であり、
所属団体や所属会社の意見ではないことを
十分に踏まえた上でお読みください。
今回、一番の問題点はBM社の業績至上主義や
無秩序なコンプライアンス・ガバナンス体制であり、
どちらかと言えば「個社の問題」であると言えます。
ただこの「個社の問題」を生み出した背景には、
自動車業界と損害保険業界が抱える
構造的な矛盾が原因であると言えます。
自動車販売業者が、自賠責保険を取扱い、
顧客の要望によっては自動車保険の任意保険の
取扱いも行います。
自賠責保険はご存じの通り強制保険ですから、
加入していなければナンバープレートが
交付されませんし、車検も通りません。
そして自賠責保険は国の制度ですから、
保険会社によって違いがないので、
どの保険会社で自賠責保険に加入するか?は
自動車業者に任されています。
自賠責保険は
「ノーロス・ノープロフィットの原則」に基づき、
損失も利益も出さないよう収支を調整するために、
保険料は毎年検証が行われ、
必要に応じて保険料は改正されます。
一部報道では、自賠責保険料に含まれる
付加保険料部分に保険会社のメリットが
生じるとされていますが、
私にはこの真偽のほどは分かりません
ただ保険会社として、自賠責保険は
収入保険料として売上計上が出来るために
多くのシェアが欲しいのは事実です。
そこで契約者の意向が全く関係のない
自賠責保険をどこの保険会社へ出すかは
自動車業者の裁量に任されているので、
どうせ出すなら自社にメリットを提供してくれる
保険会社へ自賠責保険を出すというのは
自然な流れになります。
そのために保険会社が、
自動車事故発生時に入庫誘導したりして
自動車業者へメリットを享受することも
容易に想像できます。
この力関係の中でBM社は
保険金の不正請求にまで手を染めてしまい、
持ちつ持たれつの関係にある
損害保険会社各社も発覚するまでは
強い指導が出来なかったのでは?と
想像します。
こう考えると、今回のBM社問題は
個社の問題ではありますが、
自動車業界と損保業界の関係が
そもそも不正を生みやすい温床に
なっていたのも事実だと思います。
自賠責保険と任意保険を自動車業者が
取扱いを行い、損保会社が保険契約を引き受け、
事故があった場合には自動車業者が修理をして
その代金を保険会社へ請求するという
マッチポンプ状態は不正の温床と言えるのでは
ないでしょうか?
実際にここまで大規模な不正は珍しいですが、
軽微なものであれば多くの修理工場や
ディーラーでも多数発生しているのでは?と
推察してしまいますよね・・・・
この様に考えますと、今回の一件で
BM社の代理店委託契約を解除しただけでは、
第二・第三の不正を防ぐことは出来ませんので、
抜本的な改正が必要だと考えます。
個人的には自賠責保険の現行制度を改め、
自動車税に付加する形で国や地方自治体が
強制的に集金し、自動車業者や保険会社を
介在させない仕組みが良いのでは?と思います。
なお車検制度自体も見直せば良いのでは?
と思いますが、自賠責保険の制度変更自体が
相当な難問なので、車検制度変更よりも
自賠責保険の制度改定は急務だと思います。
さらに踏み込むのであれば、
自動車関連業者から自賠責保険だけでなく
任意保険の取扱いについても止めさせるのが
業界健全化には必要だと思います。
どうしても事故車や故障車を修理して
保険会社から保険金を受取る業者と
保険契約を媒介する業者が同じだと
不正の温床を完全に解消することは困難です。
そのために自動車関連業者ならびに
関係法人での保険代理店業の登録を
停止させて初めてBM社問題の根本解決と
言えるのではないでしょうか?
この改定が実施されれば、街の損保代理店は
自動車保険が自社に流れ込んでくるので
喜ばしいことの様に思えるかも知れませんが、
私は逆に自動車保険が損保代理店の経営を
逼迫する事態に繋がると思うので、
自動車保険専門の保険代理店が台頭するのでは?
と考えています。
とは言うものの、自賠責保険の制度改定は
正直いって無理だと思いますので、
今回のBM社騒動の顛末は、
一部保険会社に金融庁が業務改善命令または
業務停止命令を出して終わるだけだと思いますw
そして損保各社がこの問題で揺れている間に、
とばっりちを受けるのは
損保系生保各社でしょうねw
損保社と損保代理店は忙しくなって
生保をやっている余裕が無くなるでしょうから・・・
いずれにせよBM社問題が
保険会社に波及する影響と
今後の動向は注目して見守りたいと思います。
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編┃集┃後┃記┃
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今回のBM社騒動だけでなく、
損保業界は手数料ポイント問題や
カルテル問題などで騒然としていますね・・・
損保の取扱いを停止した私にとっては
完全に対岸の火事ではありますが、
長年いた業界だけに、
今の状況がどう収束するのか?は
非常に興味があります。
BM社問題は個人的に、
BM社は他社に売却され
店舗は看板が変わって営業継続し、
損保業界は金融庁から
お叱りを受けただけで保険業界は
結局何も変わらないというのが
オチだと思ってますw
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