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286冊目:親なるもの断崖/曽根富美子

こんばんは、Umenogummiです。



今日は哀しい運命を背負った少女たちの物語です。




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親なるもの断崖/曽根富美子



あらすじ



昭和初期、青森の貧しい農村から北海道・室蘭の遊郭へ売られてきた松恵(16歳)、松恵の妹・(11歳)、武子(13歳)、道子(11歳)は、女衒に案内され断崖絶壁の地球岬(ポロ(親である)・チケウ(断崖))を目にします。女衒から「死にたくなったらここに来い」と教えられ、4人は幕西遊郭の女郎屋「富士楼」へ向かいます。


すでに16歳となっていた松恵は、半玉(芸妓見習い)となるには歳をとりすぎており、生娘でありながら初日から客を取ることになります。客を取ったのち、失意のうちに松恵は首を吊ります。「何も死ぬことはなかった」という武子に、お梅は松恵は結婚するはずだったが父親が馬にはねられ動けなくなり、仕方なく売られたことを語り、「何があっても姉ちゃんを恨まない」と涙します。


梅は松恵の死後、女将に黙って勝手に客を取り、女将を激怒させます。しかし女郎・夕湖となった梅は、月のものもまだないのにすぐに売れっ子になります。

道子は器量が悪く、賢くもなかったため、女郎にも芸妓にもなれず、下働きとして富士楼で働きますが、次第に美しく女郎として売れていく梅に嫉妬していきます。


2年後、15歳となった武子は船乗りと地球岬で心中しようとしたところをとらえられます。血のにじむような努力をし、先輩芸妓にも負けない芸を持った武子を離したくない一心で女将は、このことを内密にし、武子のお披露目の準備を進めます。武子はさまざまな想いを抱えながら、京都の落ちぶれた公家という出自を持つ芸妓・九条として華々しくデビューします。


芸者置屋で武子と会ったお梅は、「お梅を妹のように思っている」という武子から大人になったお祝いに九条お披露目の時に来た高価な着物と、髪にさしていたかんざしを贈ります。
お梅は道子にその着物をあげようと思いますが、いざこざがあるうちに、道子は自ら望んで別の女郎屋へと移り、お梅の部屋から武子の着物を盗んでいきます。



感想


非常に重い話ですね…人ではなくまるで物のように扱われる女性たち。それでも強かに、生きていきます。


第一部ではお梅を中心としたどろどろとした遊郭の闇が描かれ、第二部ではお梅の娘・道生(みちお)が主人公に代わり、第二次世界大戦が描かれます。


面白い、というよりは怖いもの見たさ…という感じでしょうか…。けして感動話ではありません。激動の時代に生きた女たちの、悲しい叫びが聞こえるような、そんな物語です。




リンク


北海道繋がりで(内容は全然違いますが)







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