グランマズドリーム

 35年前、初めて海外に出てスッカラカンで帰国し、何も情報がないままダービーの馬券を買った。雑念がない時は神様が微笑んでくれるらしく、当座の生活費ができた。そのせいか印象が強く、特に、2着のグランパズドリームは素敵な名前だなぁと感心した記憶がある。馬主さんは牧場主でもあり、日本一馬を見る眼があると言われていたが、クラシックレースを勝てずに今年3月亡くなっている。2か月後、愛馬が初クラシックのオークス(女の子のダービー)を制覇した。

 有名なダービーよりオークスのほうが歴史は古い。イギリスで第1回があったのは1779年というから、今年は第243回になる。4日に催行され、なんと、日本生まれでディープインパクトの娘スノーフォールが史上最大差で優勝したそうだ。

 ディープインパクトは、身体が小っちゃくて顔も可愛くて牝馬みたいと言われていた。これはアイルランド生まれのお母さんに似たため。ちなみに兄貴はお父さんに似て、ワイルドなイケメンである。

 このお母さん、大人しそうに見えて走り出すとパワフル。妊娠した状態で外国遠征し、GⅠレースに勝った逸話を持っている。しかし、そんなお母さんでさえ、一生に一度のオークスは2着だった。

 息子は早世してしまったけれど、お母さんウィンドインハーヘアーは、まだ北海道で元気だと聞く。今ごろ牧場の方が、グランマズドリームを叶えた孫娘のニュースを伝えていることだろう。

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