里中と猿学者

あの馬超と戦ったのでござるか?
左様じゃ
あいつとは咳を掛け合えるくらいの仲のよさじゃ故に戦ったのも本当でござる
些か胡散草い物云いをする2匹の猿を里中は冷ややかな目で眺めながら1人酒を煽っていた。
そこへ あら、里中さんじゃないの。
と 年増のベちょっといやらしい女の声が聞こえてチラリと目をやるとそこには菊子がいた。菊子は昔からの草れ縁でなんとも醜女がちの女ゆえ里中は女としては見ていなかった。しかし、菊子はなかなかどうして容姿は立てば芍薬座れば牡丹歩く姿はと言われてもおかしくないバックシャンでいて癖のある明るい性格も災いしてか悪い男どもに人気があった。

里中さん。ここ空いてる❓
えっ。顔色が変わる里中
だから、ここ座ってもいい❓
菊子がすわろうとする
里中は見栄っ張りだから菊子が周りから自分の連れ合いだと思われたくなかったので、いや〜後から1人くるんだ。
とウソをついた菊子はふーんと拗ねたような素振りをしたが隣の席の猿どもはもう菊子に首ったけでスキあらば自分の席に座らせようかと企んでいるのが鼻息から察しられた。菊子もそんな事はお見通しでいるのかわざと飲み屋の大将とひと恋でもあったかのように 馴れ馴れしくはなしはじめ時折またぐらを捻っては猿どもの気をひいていた。
里中はそんな菊子の仕草から自分が昔飼っていた七面鳥を思い出していた。
あいつ そういえば なかなかどうして絶品だったなぁ。。
里中はあの頃の七面鳥の味が忘れられない

ぴっとんしゃ〜ん


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