マイルCS


SS ソウルラッシュ

威風堂々、神々しい立ち姿。
セリフォスに傾きかけていた気持ちを押し退けて、一気に軸候補へ躍り出る。
力みを感じさせない光輝く毛艶。
銭形が浮いて、飼料配合と状態がマッチした印象を受ける。
帯道に程よい凹みがあり、脊柱起立筋が主張し過ぎず腰筋で膨隆を感じる背中、力みを感じさせない中臀筋部に尻にかけての凹凸、メリハリついた大腿四頭筋とハムストリングスのシルエット、ストンと視線を落とさせる直飛。
前駆に目を向けても、キ甲付近には薄い脂肪、その下にいかつい広背筋が身を潜め、収縮した三角筋からは前肢への荷重感の良さを、爪もエクイロックスはなく、蹄機作用も働いた印象で地面への接地性の良さを感じる。
そして後肢はこの馬特有の開いた様な肢勢で、これがまた威風堂々にも感じられる。
この立ち姿に似合う結果を残して欲しい物だ👑

S+ナミュール

こう言う質感が出た牝馬は強い。
いわゆる、完熟と言う様な言葉が当てはまるかも知れない。
この馬見た時、パッとセンテリュオを思い出したが、あの馬も強くなった頃こんな感じの質感を出していたし、何しろ同じ高野厩舎でバンテージも同じデザインなので記憶が蘇ったのだろう。
とは言え、この馬の骨格はとにかく独特で、フォトパドックに登場する馬達では他にこう言う馬体はいないのではないだろうか?
特筆すべきは、脊柱の傾斜・斜尻・直飛。この3つが組み合わさる事でスピード乗りが良かったり、後肢の蹴り返しが早いと言う様なメリットがある。
また走法的に上腕骨の位置関係なども意識した方が良いだろう。
そして、トドメはこのトモ。
中臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングスの膨隆が凄く、半腱半膜様筋のスジもビッシリ入っており、これを見ると当日の回転力は凄まじく33秒前半の上がりを叩き出すのでは?とも思ったりする。
骨格、筋肉、質感の三拍子整い、機は熟した。狙える器。

S   セリフォス

僧帽筋前後や脇腹の凹み感、左後肢は流れてヒバラのヒダに伸長あるが腹のラインにもムダはなく、昨年制覇時と遜色ない仕上げに感じる。
父ダイワメジャーより一回り肉付きが良く、中内田厩舎特有の育成方法や母系の力強さが付与された印象も感じる。
↓ダイワメジャーのフォトパドック
old.keibado.ne.jp/keibabook/0610…
この馬で特筆すべきは脊柱起立筋の発達。
僧帽筋後方に凹みがあり項靭帯が浮き加減なのに、それを打ち消すかの様な筋肉の発達。この筋肉が発達する事は何を意味するかと言うと、首と後肢の連動性が高まり、後肢が着地した際の衝撃緩和に優れたり、体全体でバネの様な推進力を作り出す事に優れる可能性が高まります。
現にこの馬の末脚が炸裂した時は凄まじいものがありますし、そして脂肪の管理も上手な印象がある厩舎で、エネルギー効率的にも優れている事が予測出来、安田記念の様に先行しても粘り込めると言うイメージがあります。
実績・馬体共に文句の付けようが無く、まずはこの馬を基準に序列を付ける事を考えたいと思います。

S− シュネルマイスター

どんな見栄えでも一定の結果を残す辺りは、やはり一流と認めざるを得ない。
特に前走毎日王冠でのあの常識ハズレの末脚には驚かされた。その末脚も位置取りの関係もあるだろうが、この血統らしいと言えばこの血統らしい様な気もする。
この馬体を見て、私なりにキーワードは腹袋・脂肪・曲飛の3つが浮かんで来る。
やはりこの血統もあって、馬の感じは他の馬と一線を画し、この馬体を理解するためには脂肪の理解が大事だと思う。特に筋間脂肪と言う物の重要性。(※脂肪についてはnoteにまとめてますのでまだ読まれていない方は是非。無料です)
note.com/umabody/n/nb19…
タフで後肢の回転が良く、伸長性高い走法で差し脚が決まる。走り方は手首が胸の高さまで持ち上がり、高い位置で指先までピンッと伸びており、猫科の動物のそれを彷彿とさせる。
肩の傾斜は53°で、一般的には可動性がある肩に分類されるが、この馬は更にそこからプラスαで伸縮性を持っていると言うイメージで、それを優れた筋間脂肪がになっていると考察している。
今回も直線の長いコース設定で、エンジンもちゃんと掛かりそう。前回のヒヤヒヤ体験を糧に鞍上と呼吸のあった末脚を披露して欲しい物だ。
展開とGOサインの判断1つ。

A+レッドモンレーヴ

安田記念時より良化感じる馬体。
首は艶めいており、僧帽筋の前後はメリハリが付いている。また肩の筋肉に力み感はなく、安田記念時と比較しても体幹懸垂機能が良く映り、ドッシリ構えて精神的な落ち着きを感じる馬体。
爪も安田記念時とは少し仕様変更された様な印象で、蹄踵に厚みを持たせ、そしてピカピカに手入れしてあり、馬場への適性を色々検討されたものと想像している。
その他、胴やトモを見ても、やはり絶妙な緊張感でナチュラルな筋肉の膨隆感や量を感じる。トモ形状さることながら、全体的な骨格は母系から来ている印象があり、母父ディープインパクトのそれを彷彿とし、そこに父やボトムラインからの筋肉量を付与された馬体の印象。
よって骨格のバランスの良さと筋肉量がマッチし、また精神的な安定も見られる今回の馬体は、見栄え以上に走る事も想定しておきたい。

A   ダノンザキッド

昨年と遜色ない仕上げ、ただ…。
馬体は凄く良い感じに思えます。
凹凸感もシッカリあって、腹袋がシッカリ張った古馬らしい完成した馬体を感じさせる物があります。
ただ、私なりに1つ思う事があるので、それを以下に述べます。
昨年は関屋記念→毎日王冠→マイルCSとフォトパドック登場毎に馬体が変わり、馬体の完成に一歩ずつ前進している様子が伺える馬体で、本番のマイルCSでも2着と好走しました。
しかし、そこから馬体の成長と言う観点で見ると、いわゆる「高止まり」と言う感じを受け、グングン伸びて行く時期を過ぎ、ベテランの様にコンディション調整の段階に来ている様に感じています。
ここに馬具調整やもうひと工夫の情報が乗っかってくれば、一気に買いたい気持ちが増しますが、ある程度人気する様なら思い切って切る事も一考するかと考えたりしています。人気ないなら買いたいです。
現状、評価はA−〜Bの辺りで考えたいと思っています。

A− エルトンバローズ

天皇賞秋のガイアフォースの馬体で述べていた様に、杉山厩舎は不思議とゴリゴリ馬体の次はシットリした風合いを見せる事が多い。
今回のエルトンバローズも毎日王冠時のゴリゴリ系からシットリ系に変化している。
そして、この変化は全くマイナスとはならない事がガイアフォースとジャスティンパレスの変化で検証済み。
まずそう言う視点を持って、変化を色眼鏡で捉える事なく詳細を分析して行きたいと思います。
まず第一に、キ甲後部の凹みに目が向く。
項靭帯が浮き、広背筋や腰部の筋肉が膨隆している。そして、胴を見ても肋骨が浮いた風合いを出しており、脇の辺りも締まって、前走時より一皮薄くなった様な雰囲気がある。
更に腹袋の存在感も増しブライアンズタイム感が表面に出ており、かつ肋骨後部まで肋骨の浮き具合が確認出来る。ヒバラは引き締まり、しなやかな風合いのトモ、膝蓋骨は出っ張ってトモの幅が広く映る。そしてストンと視線が落ちるかの様に感じさせる直飛。可動域が広く、推進エネルギーを効率良く得られる後肢のイメージ。後肢のこの感じ…、直飛と言えばディープインパクトだが、ディープブリランテにそれは遺伝しておらず、母系に求めた方が良さそうだ。そこでシアトルスルーを見てみると、この馬も直飛の持ち主であり、ここから遺伝している可能性を考察したい。(シアトルスルーの画像があるページ→ja.m.wikipedia.org/wiki/)
そして、この馬も504kgと馬格があり、シアトルスルーとまでは行かないが安定的な先行力としぶとさを持ち合わせており、母系の血脈が脈々と受け継がれている可能性を示唆したい。
肩の筋肉にもボリュームがありスタミナとパワーを感じ、またラジオNIKKEI賞の頃と比べると、ひと夏を越して随分と成長を感じられ、信頼に値する馬体を持ち合わせている。
京都開催も後半に差し掛かる頃で、馬場状態を見極めながらコース形態も含めて、この馬の先行力が生きるかどうか見極めて行きたい所。

B+ジャスティンカフェ

貫禄のある馬体。
安田翔厩舎は結構こんな感じの貫禄ある馬体を造るイメージがある。
厩舎特有の飼料配合や調教の負荷量があるのだろうが、その他にも調教師が過去にアイルランドでの研修をした事や、助手時代に調教師にロードカナロアやカレンチャンと巡り合い、調教師のキッカケはロードカナロアの香港遠征だったと言うエピソードもある様に、この厩舎の馬体に現れる雰囲気に様々な思いを感じる。
ジャスティンカフェの馬体に戻るが、パッと見でトモの幅が凄い。形は父エピファネイアを彷彿とし、ロベルト系の筋肉量を感じると共に、上腕頭筋に目を移してもピッシリと線が入っている様にパワーを感じる。また実績で上がり3Fの数字が示す様に末脚の爆発力も相当なものだ。
この様に筋肉の発達が凄い馬だが、父や母父の実績または母系を遡って行っても、恐らくCT型の馬である可能性が高く、胴も一定の長さがあり、腹袋の立派で脂肪乗りも良かったりと、色々見て行くと調教方法によっては距離が伸びてもこなせる馬なのかも知れないと思わせる様な馬体。非根幹距離の有馬記念で最後の脚だけに賭けて挑戦する様な世界線を見てみたい気もする…。
G1のタフな展開に追走するスタミナを備え、末脚は確実。
京都開催、第3回6日に当たる今回はCコースへ変わるのだろうか?(←間違ってたら教えて下さい🙇‍♂️)
もしそうだとしたら脚質的に少し厳しさが出て来るかも知れないが、土曜日や平場のレースぶりからコーナーを周る時の広がり方や内が混み合うか?外の馬が伸びるか?など、この馬の脚質に重ね合わせながら観察すると良さそうだ。

B   ダノンスコーピオン

この馬の安田記念の馬体を見た時、22年関屋記念で3着したダノンザキッドの馬体が思い出されて、これはひと夏越えればギッドの様に本格化するのでは?と感じていました。
安田隆厩舎の育成プログラムもあるでしょうから、ダノンザキッドが歩んだ成長過程に似た道を通る事も念頭におきながら、秋の馬体を想像していましたが、今回の馬体を見た所、私が想像していたイメージとは少し違う…。
私は、中京記念の馬体からもう少しメリハリを感じられる様な馬体で登場すると予想していたのですが、むしろ筋骨隆々と言う感じの馬体となって登場に、どこか意表を突かれた感覚さえ覚えています。
この想像がズレた要因として、血統が挙げられるのではないか?と読んでいます。ダノンザキッドは父ジャスタウェイに対して、ダノンスコーピオンは父ロードカナロアであり、それぞれの特徴が古馬になって出て来ている様な気もします。
特にダノンスコーピオンは元々持っている筋肉の質を伸ばしている様にも感じられる程、皮を剥げは凄まじい筋肉チョッキに包まれている物と想像します。
特にトモの硬質感ある筋肉からは相当なダッシュ力が産まれるものかと想像しています。また背筋や肩の膨隆も見られ、キ甲周りにも厚みが出て来ています。
馬体的にはこれでもか!と言わんばかりの意気込みを感じますが、NHKマイルを制してからと言うもの…どうも噛み合ってない様な気もします。
もし、この筋肉を身に付けて尚結果が出ない様であれば、思い切ってスプリントに挑戦してみるのも面白いかと思いますし、スワンSを回避しているように、もう一度そう言う所に照準を定めるのも良いかも。
短距離王国と言う異名を持つ程の安田隆行調教師ですから、そちらで開花する可能性も視野に入れつつ、今回のこの馬のパフォーマンスを見てみたいと思います。

B− イルーシヴパンサー

極初見のインスピレーションを「柔」と表現した様に、独特の風合いを醸し出す馬体。
次に目に入って来たのが、繋ぎの短さ。
父・母父を見ても納得出来ない形状。母系を遡る事で、このパーツを遺伝子させた馬が見つかるかも知れない。
…三代前の母がSharpen Upを通じてNative Dancerの血を継承しているかも?Native Dancerと言えば、短距離が得意で繋が太く短いといった特徴を持っていたと言われている。
マイル適性や素晴らしい末脚はこの辺りから来ている事も想像してみたい。
ただし、繋ぎは短いが立った感じでは無い。肩の角度を測定すると53°と傾斜が強め、また爪も薄め。そして、胴〜トモにかけては父ハーツクライの形状や風合いを感じる一方、肩は母父キングカメハメハまたは母系を思わせる筋肉量。
そして最後に、全体のバランスとして脚が短いと言うかコンパクトに映る。
溜めてからの加速力は米国由来の物を感じ、上手くエンジンが掛かれば獲物を捉えに行くかの様な加速が期待出来るイメージが連想出来る馬体。そしてそこにハーツクライらしい伸びやかなパーツが加わる事で、末脚の持続性の様な物を付加されたと推測してみたい。
そして、ここで直近のハーツクライ産駒の馬体を振り返ってみると、ダノンベルーガ、ハーツイストワール、ハーツコンチェルトなどもこのイルージヴパンサーの胴の様な風合いをしている時があり「柔」を感じさせられる事が、上記馬に限らずハーツクライ産駒には多々散見される。こう言う特徴がハーツクライらしく、また活躍馬を輩出する要因の一つでもあるのだろうなぁ…と改めて思うに至る。

C+ソーヴァリアント

パッと見、重厚感を感じる馬体で、私の中ではサリオスが脳裏をよぎった。
重厚感×マイルと言う観点で、過去の記憶が蘇ったのかも知れない。
まず確認の為、それぞれのスクショを交互に見比べてみる。
(私が参照した画像、22年安田記念3着時のサリオス→keiba.sponichi.co.jp/news/20220530s…)
大枠、雰囲気的に似てなくもないが、決定的な違いが随所にある。
ソーヴァリアントのマイル適性に疑問が払拭出来ない部分もあると思うので、マイルで好走していた雰囲気が似ている馬を物差しにして、この馬の構造を紐解いて行こうと思う。
※以下ソーヴァリアントを(ソ)、サリオスを(サ)と表記する。
まずは脊柱の角度と後肢の長さ、(ソ)の方が前傾して後肢が長い。また(サ)は平尻感のあるトモだが、(ソ)は仙結節の伸びが良く、やや腰仙関節の角度がついた様にも映る。そして飛節は(サ)の方が角度がある。
今度は肩に目を映して、(ソ)の肩の傾斜角度は53°、(サ)は52°、パッと見では(サ)の肩が立っているかの様に映るが、骨格は正直だ。(両者ともに正立位のため、この角度の信憑性は高いと思われる。)その錯覚を起こす原因は肩前方のボリュームと脊柱の傾斜度の違いだろう。特に(サ)は棘下筋や僧帽筋と浅胸筋のボリュームが多いのに対して、(ソ)はその点がスッキリしており胸の横経より縦経を意識する映りでもある。
走り方を比較しても(サ)はトモから生み出される爆発的なスピードと曲がった飛節で回転を稼ぎ、首の動きも小さく重心を低く保ち、地面と並行な弾道で走る様なイメージ(蒸気機関車の様な…?)に対して、(ソ)は後肢や首のリーチを利用して(サ)より頭の位置は高くストライド走法で駆け抜けるイメージ。
この様に雰囲気は似ていても、各パーツの僅かな差により、走法も変われば適性も変わってくる。
ソーヴァリアントはやはり持続力に長けるタイプで、スタミナやパワーを兼ね備えた馬と言うべきだと思うし、サリオスの様な爆発的な末脚発揮は難しい様に思える。
そしえ、今回のメンバー構成にコース形態を考えると、タフな展開や他馬のキレ味が鈍感する馬場条件などが満たされた時に浮上を考えるイメージで推測している。

C   マテンロウオリオン

何だか奇策の雰囲気漂う馬。
何でこの爪の形状なんだろう?
東京新聞杯の様な形状にデザイン出来るなら、その方がクッションを利用出来そうなのだが。
もしかして、最内に突っ込んで展開のアヤを狙うつもりか?
内枠に入ったらそう言う点も意識してみるのも面白いかも。
騎手は誰だろうか?
いつも乗っている横山典なんかが乗るなら、大胆な積極策も考えても良いか?
肩の筋肉も発達しているし、脂肪乗りも良く、腹袋も立派と言う観点で見れば、スタミナやタフさを武器に戦うのも本当にありなのかも知れない。
期待されない馬だろうからこそ、この様な見方をすれば逆に面白い一頭として浮上する。

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