「プリキュアは初代が至高!」という意見、しょうもない

「プリキュアシリーズは初代が至高!」
長年プリキュアシリーズを見ていると、ごくまれにそういった意見に直面することがある。
即ち、2004年に放送されたプリキュアシリーズ第一作目「ふたりはプリキュア!」が歴代のシリーズの中で最も面白いと。

この意見を聞く度に僕はどこか後ろめたい気分に駆られていた。
何故なら、僕は「ふたりはプリキュア!」をちゃんと視聴していないからである。


放送当時、僕は11歳。明日のナージャの放送も終わりニチアサシリーズから少しずつ離れていった時期だったこともあり、大学浪人時代に「スマイルプリキュア!」が始まるまでに僕のニチアサ視聴歴には空白期間があった。

だからこそ、僕がいくらプリキュアシリーズを好きだ!と叫んだところで「結局はなぎさとほのかが一番」なんて意見を耳にすると、適当に苦笑いで流しながら「自分はスマプリからしか見てないから…」と考え、勝手に自分で「真のファンではない」という認定を下していた。


しかし、それから暫くプリキュアシリーズを見続けるにあたり、僕はある考えにたどり着いた。

それがタイトルにもある「『プリキュアは初代が至高!』という意見、しょうもない」である。


そう思いいたった理由は大きく2つある。

一つはそういう話をしてきたのが大体「初代しか見ていなかった」こと。
得てしてこういう話を振ってくるのは大部分が同世代の人間、即ち初代放送時期に小学生だった世代である。
つまりは、当時たまたまテレビで見ていた「ふたりはプリキュア!」が印象に残っていて、次以降のシリーズをほとんど水に「初代が一番面白かった」と思い出を語っているに過ぎないのである。

ここまでの意見だと、本当に一番初代が面白いと思っている人に対して失礼な内容になってしまうので、その点を補足する二つ目の理由を説明する。


二つ目は「マジでプリキュアシリーズが好きな人は『〇〇プリが一番好きだけど、他のシリーズも面白い』と言うから」である。

プリキュアシリーズは過去18年の歴史の中で様々な進化を遂げてきた。
比較的記憶に新しいところでは2018年放送の「Hugっと!プリキュア」の中でシリーズ初の男性プリキュアが誕生したと話題になっている。
「女の子なら誰でもプリキュアになれる!」をテーマに女の子の活躍を描いてきたシリーズにおいて、男性のプリキュアという存在は、プリキュア命題と言うか、根底をひっくり返す挑戦でもあり、ダイバーシティな姿勢が求められるようになった現代社会におけるプリキュアなりの大きな意思表示だった。

その他にも時代の移り変わりと共にプリキュアシリーズはその時代に即したプリキュアの在り方を描いてきたのである。
必ずしもそれが好意的に受け入れられてきたわけではないが、それでも変化を止めようとしない部分に東映スタッフの思いを感じざるを得ない。

つまるところ、長くシリーズを追ってきた人間こそ「プリキュアとはこういう作品だからこうあるべき!この作品がそれを一番守っている!」みたいな旨の発言を避けるものだと思う。
「プリキュアは女の子のもの」という前提をプリキュア自体が覆しているので、その進化や変化を楽しんでいくのが「プリキュアシリーズ」との正しい向き合い方だと、少なくとも僕は思っている。
(まあ楽しみ方は人それぞれなので必ずしもそうとは言い切れないけど…)



少し前に「うっせぇわ」で知られる歌手・Adoさんが20歳の誕生日に「Yes!プリキュア5」の主題歌である「プリキュア5、スマイル go go!」を歌った動画をアップしたところ、批判が殺到したというニュースを少し前に目にした。

批判のおおよその内容は「好きな曲だからこそAdoに歌って欲しくなかった」「プリキュアのイメージに合わない」などと言った言いがかり同然な内容であった。

僕自身、プリキュア5も未視聴だし、Adoさんの楽曲も積極的に聞いているわけではないのでこれまでなんとなく聞いていなかったのだが、この記事を書くにあたりようやくその動画を見た。

めちゃくちゃカッコいい。
本家プリキュア5、スマイルgo go!のテンポやメロディは維持しつつ、Adoさんの勢いと華のある歌声で独自のアレンジが加わっていて、それがとにかくカッコいい。
「女の子だって暴れたい」という最初期からのテーマを体現しているかのような可愛くエキサイティングな仕上がりだと思う。


正直これの何が批判の対象になるんだとしか思わないが、だからこそ、あえてこう言いたい。


「Adoの歌ったプリキュア5、go go!を批判している奴、全員しょうもない」と。

結局これも視聴者側として一方的にしか物事を捉えられていないが故の「自分のイメージするプリキュアが汚された!」という自分勝手な怒りである。
こんな意見を飛ばしている人は、プリキュア5はともかくプリキュアシリーズはそんなに好きじゃないだろと思う。

あんまり「プリキュアから何を学んだんだ」みたいな意見は言いたくないが(大前提子供たちが楽しむためのアニメだと思うので)、お前ら男の子だってプリキュアになる時代に何を言ってるんだ。
若宮アンリ君がキュアアンフィニになったシーンを見て何も感じなかったのかよお前ら(そもそもこんなん言う人はマジで見てない可能性が高いと思うけど…)


つまるところ、この「しょうもない」のスタンスを一個自分の中に置いておくことで、大体の意見はしょうもないものとして飛ばせるようになるのだ。

皆様もぜひ、自分の好きな作品が偏った見方で批判されている場面に直面した際には、この考えを以て立ち向かってください。

「〇〇はかくあるべき!」と声高に言う奴、しょうもない。と。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?