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ULハイカーの雨具

定番とは何か?黒帯ハイカーへの道。第6回目は雨具セットのご紹介となります。

ハイカーにとって雨具との付き合い方はテクノロジーの進化に依存しがちです。私も歩き始めた当初は最新の防水透湿素材を使った高価な雨具を購入していました。その割に耐用年数が低く、定期的な買い替えが必要なので、テントやバックパック等と比較するとコストパフォーマンスの低さが悩みの種でもありました。

トムラウシの遭難事件以降、夏山での低体温症に対する意識が高まり、しっかりした上下の雨具で夏山に臨む文化が根付いたことは良いことだと思います。日本の山岳エリアは世界的に見れば特殊な環境です。森林限界を超えた稜線上にトレイルがあるのがあたりまえで、夏山シーズンの大半が梅雨や台風時期と重なる日本のハイキングでは、高山で雨風にさらされる確率は当然高くなります。

一方ウルトラライトを自称するハイカーにとって雨具は最も個性が現れるギアです。レインポンチョやレインスカート等、アメリカのハイキング文化で生まれ、それまでの日本ではなじみの薄かったレインギアも多くあります。それらのギアは日本のULハイカーたちにより、雨が多く、四季の変化が激しい日本の環境下で10年以上試行錯誤されることで、ある程度淘汰されてきました。最近は高性能な素材のおかげで、スタンダードな上下セットの雨具が最も軽量化に貢献するという結論に至っています。それでも色々と試したくなるのがハイカーの性というものでしょう。

昨年の夏に雨具についての記事を書きました。今読み返すとまだ答えが出ていない感じがしますね。

記事の最後に書かれたギアをいくつか試した結果、定番化の兆しが見えた為、今回改めてまとめてみます。

以下、現在の私の夏の雨具を紹介しますが、行先が限定されるセットです。高山の稜線歩きには対応していません。歩きの方の好みにもよるのですが、私は稜線歩きよりも渓谷に沿った峠道や林道を繋げたロングハイキングを好んで実践してきた結果、このようなセットに落ち着いています。

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防水ジャケット
JA カッパ天国エース 164g
ジッパーフラップにスナップボタンを取り付けています。当初は2年も使えれば充分と思っていましたが、今年で5年目です。3千円程度で購入できるので驚くべきハイコストパフォーマンスです。表面がけば立っていますが、生地が破れない限り防水性は劣化しません。内部の結露以外は、外部から水の染み込みもありません。袖のゴムをカットして袖口を広げ、換気性能を上げていますが、傘の利用やストックワークの際に毛細管現象で徐々に袖口が濡れる為、次回買い替えた場合は手首のゴムをカットしないと思います。

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レインスカート
lightHeart Gear 74g
女性用のレインスカートを使用。ブランドについては詳細不明。たしかヤフオクで見かけて購入しました。Aラインのスッキリしたデザインで気に入って使っています。ロングパンツを履かないので短パンとの相性は抜群です。傘を併用するため、小雨程度では着用しません。

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レインソックス
モンベル GORE-TEX オールラウンドハイソックス 126g
ロングパンツは雨に濡れると厄介です。ショートパンツの利点は濡れる箇所が少ない点です。露出した肌は濡れてもすぐに乾きますが、濡れたロングパンツはなかなか乾きません。ショートパンツしか持たない私は膝から下の防水は防水ソックスに任せることにしています。朝露に濡れたトレイルを歩く時も使用します。ロングパンツの雨具よりも買い替えコストが安く済む点も気に入っています。モンベルのアウトレットで安く購入可能。合わせるシューズも非防水のトレランシューズです。欲を言えばもう少し丈が長めだと良いのですが。

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ショートワイドビニール傘 250g
長年の傘に対する不満点を全て解消できました。詳しくは過去記事を参照ください。おかげで雨の日のハイキングが楽しくなりました。

秋冬のハイキングの場合
上記セットは温かい時期限定です。最近は11月や12月にロングハイクをすることが無くなりましたが、もし秋冬用の雨具を再度検討するとしたら私は今時の軽量レインウェアは選びません。最先端の軽量レインウェアを選ぶ利点として、雨の降っていない時にザックの中にある時はBWの数字を下げる意味で有効ですが、秋冬の冷たい雨や霙には無力です。着用機会が多くなる秋冬は逆にザックの中にないことが多いので軽量化は無視し、デニール数が50Dから70Dの厚手の生地のハードシェルジャケットを選ぶでしょう。

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参考
WILDTHINGS eVent Alpinist Jaket  510g
7,8年前に購入。ちょっと記憶にないのですが、確か70デニールだったと思います。既に現役は引退し、通勤用にしています。防水膜は劣化しており水が染みてきますが、生地の厚さからくる耐候性は信頼できます。秋冬に長期ハイキングに出かけるならこれくらいのスペックが欲しいところです。実はこの記事を書いている最中に検索したところ、中古販売サイトで状態の良いMサイズを見つけて即買いしてしまいました。

もし秋冬に薄い軽量シェルを選ぶ場合は化繊の保温ベストをプラスします。シェル内が結露で濡れた場合でも化繊綿かフリース素材のベストがあることで身体から水分を引き離してくれるはずです。

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PeakPerformance モデル名不明 188g
秋冬のハイキングで悪天候が予想される場合は必ず持ちます。厳冬期のBCスキーでも常時着用しています。最近はアクティブインサレーションの開発が盛んですので化繊綿の薄手ベストでも代替可能です。冬のギアリストを覗いた際に、保温ベストが加えてあるハイカーは黒帯認定しています。

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