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薬局すごい

モノが手に入りやすい世の中になった。実店舗でももちろんのこと、ネットがあれば大抵のものは手に入れられる。フリマアプリなんかも最早蚤の市という言葉とは程遠いような立派なECサイトとなっている。

 これだけ充実していたらもうお金さえあれば手に入れられないものはなさそうだが、意外にもモノは売り切れる。まだ欲しい人がいるのに、服もスイーツもスニーカーも売り切れる。売り切れることで箔がつくこともあるのだろうが、品切れというのは消費者に対する裏切りのような気もする。こんなに素敵な商品を扱ってますよ!とアピールしておいて蓋を開けてみるともう買えなくなっているのだから。

 その点薬局はすごい。コンビニの半分の面積もなさそうなのに処方箋を出すと記載の薬がその場ですぐに出てくるのだから。近隣のクリニックと口裏でも合わせているのかと思ったら、クリニックから電車で30分の薬局に処方箋を出しても当然のように薬が出てきた。雑貨や嗜好品と薬とでは訳が違うが、絶対にその日に薬を出してくれる薬局はなんとも頼もしい。

 逆に、なぜ薬局にできて他の小売にできないのか。思うに、他の小売には使命感が足りないのではないか。この店で売り切れたところで他の店でも買える。この限定モデルが買えなくても他が似たような希少価値のアイテムを出す。どうせ中古で出る。豊かになりすぎた世の中には、消費者にもお店にもそんな気だるさが漂っている。

 でも薬局は違う。診察を受けた今、治療が必要な今、ここでその薬が必要なのだ。在庫がないなんて言えない。薬局が相手にしているのはお客さまではなく患者さまなのだ。身体のどこかを悪くしているのに在庫がないといって見捨てられるか。それは怠慢だ。どんな患者さまにも救いの手を差し伸べられるよう、薬局は万全を期している。薬局すごい。ありがとう薬局。

 そう信じていたが処方箋を出したら在庫がないので後日郵送すると言われたのは去年のことである。期待しすぎてすまんかった、次頑張ろうな。

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