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『ふしぎなキリスト教』〜海外で暮らす日本人が日本人であり続けるためには?〜

海外で暮らす日本人の中には、「この人はもう(感覚が)日本人じゃないなぁ…」と思う人もいた。日系1世(在住20年未満)でもそんな調子なのに、祖国を失い、各国に離散したユダヤの人たちが2000年にわたって自分たちの社会を保ってくれたのは、ひとえに「信仰」のおかげ。生活習慣を詳細に記したユダヤ教の「律法」に従って生活する(=Godとの契約を守る)ことで、彼らは、住む場所に関係なく、ユダヤ人であり続けることができた。

ユダヤ教の律法(宗教法)とは、どんなものか。これを、「厳密ルール主義」と呼ぶといいと思う。ユダヤ教の律法は、ユダヤ民族の生活のルールをひとつ残らず列挙して、それをヤハウェの命令(神との契約)だとする。衣食住、生活暦、刑法民法商法家族法……、日常生活の一切合切が、法律なのです。
もし日本がどこかの国に占領されて、みながニューヨークみたいなところに拉致されるとする。百年経っても子供が、日本人のままでいるにはどうしたらいいか。それには、日本人の生活習慣を、なるべくたくさん列挙する。そして、法律にしてしまえばいいんです。正月にはお雑煮を食べなさい。お餅はこう切って、鶏肉と里イモとほうれん草を入れること。夏には浴衣を着て、花火大会を見物に行くこと。…みたいなことが、ぎっしり書いてある本をつくる。そしてそれを、天照大神との契約にする。これを守って暮らせば百年経っても、いや千年経っても、日本人のままでいられるのではないか。こういう考えで、律法はできているんですね。
(流浪の民であるユダヤ人にとって)
国家はあてにならない。あてになるのはGod(ヤハウェ)だけだ。Godとの契約を守っていれば、国家が消滅しても、また再建できる。こういう考え方だから、政治情勢がどうあろうと、信仰が持続するんです。そうやってユダヤ民族は、自分たちの社会を二千年にわたって保ってきた。イスラエルが建国できたのも、ユダヤ教の戦略の正しさを証明していると言えるのです。
『ふしぎなキリスト教』_6 律法の果たす役割)


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