勘定科目別・注意点と準備資料 法木右近

勘定科目別・注意点と準備資料
資産関係
勘定科目 税務調査のポイント 証拠資料作成のポイント
現金 ・調査日の実際残高と帳簿残高の照合
・異常数値等からの不正取引の発見 ・実際残高を日々合わせ管理記録や現金残高日報を作成する。
・領収書等には証憑整理番号をつけて発生順に整理しておくと確認しやすい
現金・預金 ・役員等との個人取引のチェック
・簿外資産の発見
・外貨預金の期末換算金額の適正性 ・小切手を使っている場合は振出日と決済日が一致しないため、金融機関発行の残高証明書と当座勘定が一致しないので当座勘定残高調整表を作成する。
・当座預金取引証明書・通帳の保存
・定期預金等の解約計算書等の保存
・期末T.T.M.等の記録

医業未収金 ・期末〆後の未集金の計上の有無
・自由診療分・自賠責分の計上漏れのチェック ・レセプトの保存
・自賠責分については個別に請求日と入金日を把握し、個々の管理台帳等で記録しておく
棚卸資産 ・棚卸原始記録の確認と突合
・前期と比較して異常数値ではないか
・評価方法の適正性 ・棚卸原始記録の整理保存
・入金庫伝票の保存
・納品書・請求書等の保存
・破棄した棚卸資産については写真や取り扱業者からの受領書など、出来るだけ証拠資料を残しておく
有価証券 ・取得に関して手数料を取得価額に算入しているか
・同族関係者からの購入について取得金額の妥当性の有無
・有価証券買い付け計算書の保管
・非公開株式の評価調書・公示価格表・路線地図・土地等評価鑑定書・固定資産評価証明書等の保存
・その他取得の基因によって、特定出資等契約書・代物弁済通知書・株主総会議事録等の保存
土地・建物 ・取得価格に算入すべき費用を適正に処理しているか
・取得価額は適正か
・資金源の確認
・事業の用に供している事実の確認 ・契約書・領収書の保管
・不動産取得資金明細書(資金の流れがわかるのも)を作成する
・不動産鑑定評価書の保存
・工事請負契約書の保存
・譲渡した場合には売買契約書の保存
・土地付建物を一括して購入した場合の按分のしかたについての資料の保管

固定資産 ・事業の用に供している事実の確認
・改良費等の資産計上額の妥当性
・減価償却の方法、計算の適正性
・除却係る処理の適否 ・契約書・納品書・引渡書・請求書・見積書・稟議書・予算書・社員総会議事録・領収書等の保存
・原価償却計算明細書の保存
・資産引渡書、処分に係る見積書等の保存
・固定資産台帳の作成
・割賦で購入したものについては割賦販売 契約書の保存
買掛金
未払金 ・債務としての存在および確定額の確認
・特殊関係にある法人等との取引で異常数値はないか ・相手側からの計算書・注文書・納品書・
請求書・領収書・見積書・契約書等の保存
・自社の注文書控・納品書控・請求書控・領収書控・小切手、手形(半片)・見積書控等の保存
・買掛金台帳の作成
借入金 ・理事等が債権者である場合の源資の追及
・借入金と支払利息との照合 ・借入資金の使途を明確にしておく
・社員総会議事録・稟議書・金銭消費貸借契約書・抵当権設定契約書等の作成
・返済方法の確認
引当金 ・負債性引当金(賞与引当金・退職給与引当金)の計上の妥当性 ・各引当金の計算明細書の保存
・各従業員の入社日・退社日・勤務時間・支払金額・勤務状況を名簿等にわかりやすくまとめておく

収益関係
勘定科目 ・期末〆後以後の売上額のチェック
・異常金額の検証
・簿外取引の発見 ・月別集計表・月別確認表・自賠責収入管理表の作成
・期末医業未収金の把握
・保険調整増資の把握
受取利息
・特殊関係にある者に対する利息の妥当性
・収入の計上と洩れや遅れはないか ・無利息貸付を行うことなく、約定利息を設定しておく
・元本との対応関係を理解しておく
その他医業
外収益 ・現場調査による収入計上洩れ
・リベート等の有無の確認
・簿外資産の意見 ・自動販売機・カード式テレビや冷蔵庫の収入管理表の作成
・従業員や付添人などに対して給食を実施している場合はその計上根拠を示せるようにしておく

費用関係
勘定科目 税務調査のポイント 証拠資料作成のポイント
材料費 ・架空仕入・水増し仕入の発見
・仕入割戻しの妥当性確認
・前渡金等の原価算入のチェック
・リベート計上脱漏の有無 ・納品書・請求書・領収書・薬品受払簿等の証憑・帳簿類の保存
・臨時・小口・現金仕入については特に信憑性のある帳票等を作成しておく
・医療品費・診療材料費・医療消耗品費に区分して把握しておく
人件費 ・理事等に対する経済的利益の有無
・報酬限度額を超えていないか
・架空人件費・過大人件費の発見
・現物給与と源泉徴収税額のチェック
・退職金の金額の妥当性 ・定款・社員総会議事録・理事会議事録の整備
・従業員名簿・履歴書等の保管
・給与所得者の扶養控除等申告書の整備
・労働協約・就業規則・従業員雇用契約書等の保存
・役員退職規定・従業員給与規程・旅費規程等の整備
・タイムカード等の保存
・理事長の親族等に対する報酬については定時・臨時社員総会の議事録の中で経営への関与度を明確にしておく

福利厚生費 ・給与等および交際費等に該当するものはないか ・院内規程の整備
・その目的・支出の相手先・支出形態および金額等をはっきりさせておく
旅費交通費 ・業務遂行上必要と認められるものかどうか
・交際費に該当するものが含まれていないか ・出張先名・訪問会社名・相手先の役職氏名等を正確に記録すること
・旅費規程の整備
・旅費清算書・海外渡航費清算書・海外渡航報告書の作成
通信費 ・テレホンカード・切手・ハガキの費用性の有無
・多額な携帯電話料金の費用性の有無 ・購入管理・消費管理をし記録する
・具体的には携帯電話利用状況管理台帳・郵便料管理台帳・テレホンカード管理台帳等の作成
消耗品費 ・資産計上すべきものが含まれていないか
・期末に大量の消耗品が購入されていないか ・注文書・契約書・送り状・請求書・領収書等の保存
・購入目的・必要性・金額・数量等を記入した消耗品購入申請書の作成
会議費 ・交際費等に該当するものが含まれていないか ・会議のテーマ・日時・場所・参加者などを記録しておく
修繕費 ・固定資産に計上すべきものが含まれていないか ・契約書・注文書・見積書・納品書・送り状・請求書等の保存
・稟議書・議事録・会計帳簿・内部監査報告書により修繕の必要性が判断できる資料を作成する
保険料 ・損金算入か資産計上かの確認
・給与課税の有無
・経理処理の確認 ・保険証書の保存
・院内規程・社員総会議事録等の整備
・保険確認書等の内部資料の作成
交際費 ・業務の遂行に必要なものかどうか
・寄附金・広告宣伝費・福利厚生費・給与等との区分ができているか ・使途不明金とされないために相手と目的を明確にしておく
・領収書・出金伝票・契約書・議事録・報告書等の保存および作成
・会計伝票・報告書兼支払依頼書等の内部資料の作成
租税公課 ・損金算入・不参入のチェック
・印紙税の適否 ・本税(何税か)と附帯税(種類)を明確に区分しておく
・印紙税については個別に管理帳簿を作成する
・納付書等の保存
委託費 ・架空・仮装計上の有無
・業務外使用の有無
・リベートや値引き処理等の妥協性
・期間計上の妥当性 ・契約書・納品書・請求書・領収書等の保存
・業務外使用と判断されないように内容を把握しておく
・寝具委託・洗濯委託・各種機器保守委託等ごとに管理する
研究研修費 ・個人的支出が混入されていないか
・交際費や寄附金に該当するものが含まれていないか ・学会出張清算明細や研究・研修費の使途明細の作成
・領収書等の保管
・研究・研修費規程、研究所税金支出規程等の作成
減価償却費 ・取得価額に算入すべき付随費用の処理等の妥当性
・増加償却等の適否
・廃棄時の処理適否 ・固定資産台帳の作成・保存
・建築契約書・納品書・引渡書・請求書・見積書・稟議書・予算書・取締役会議事録・受領書控当の保存
・廃棄等をした場合には廃棄をしたことを証する書類等
支払利息 ・役員等からの借入金につき通常利率より高い利率で支払っていないか
・簿外負債の発見 ・借入返済予定表の保存
・借入金返済額および支払利息額実績を記載した借入金台帳の作成
・金銭消費貸借契約書等の保存

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