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藤井風のライブに行った感想を書く

帯広のビジネスホテルで、目を覚ます。
…4時半。早い。
昨日飲んだサッポロクラシックとホットシェフの親子丼がお腹に残ってる。胃が重たい。
季節はもう夏至、外はほんのり明るい。
ホテルのサラッとしたシーツに包まれながら、
私は幸せの余韻にまだ浸っている。

昨日のシーンをひとつひとつ思い出す。
どんな言葉を尽くしても、表現はしきれなくて。
日を追うごとに忘れていってしまうだろう。
それでもなるべくたくさん持っていたい。
だから、4時半、ベッドの中で、思いの丈を書き連ねようと思う。


ことば

「まぁ、ぼちぼち行こうや。」

彼の話す言葉で、私の好きな言葉。

今って、自分らしくとか、肩に力を入れずにとか、そんなことが良しとされていながら。
こうあるべきという漠然としたカタチにはまり、鬱屈とした気持ち、馬車馬のように働いたって豊かにはならなくて、どこか出口のないような真っ暗な場所にいるような気持ちになる。

彼の言葉は本当に不思議だ。

僕達はその存在自体が完璧。それなのに、それを時々忘れて、僕もクヨクヨ悩むことがある。
でも、昨日より少しでも善くあろうと努力すること。少しでも。それだけで十分。みんな、ぼちぼち行こうや。

あぁ、この人はこの時代に求められた人だなぁと、ふわっと思った。

私らしくいよう。
肩の力を抜いて。リラックスして。
他の人を助け、決して傷つけず。
愛を持って。
そうあれない時もある。
でも、昨日よりも少しだけ成長した自分になれるように。
そうあり続けたい。

まだまだ、若い彼の言葉にこんなに心を動かされ、そんなことを思う。

どの曲が印象に残ったか…
もう、全部っちゃあ全部なんだけど、
今回のツアーアルバムの中で特に好きな曲が、
『ガーデン』。

季節に身を置いて
流れに身を任せ
なるようになるだけ
受け入れて そのままで
流した涙だけ
ふりまいた愛だけ
豊かになる庭で
掴んだ手 解き放て 空の果て

ガーデン/Fujii Kaze

風さんの生声で、大好きなガーデンを聞いたら、そりゃもう涙も止まらない訳で。


流れていく季節の中で、それぞれの季節の変わり目を感じる。
あー、あったかいなぁ、春だなぁ。
入道雲を見つめて、夏の空だぁ…。
宵に虫の鳴き声を聞きながら、もう秋かぁ。
さっむ!めっちゃ冬じゃん…!

季節や天気に一喜一憂するものの、
それをコントロールしようとは思わない。

季節に身を置いて、流れに身を任せる。

そして、その流れの中で、私たちは色んなことに出会い、別れ、無くしてはまた求める。

そんな当たり前のような営みを、ありのままに、自然に受け入れていくこと。

彼の言葉が、メロディーが、心にじんわり広がった。


抱きしめる

1番最後の曲が終わって、会場内は溢れんばかりの拍手。
コロナ禍だから、誰も声は上げず。

私はライブに行くと思うんだけど、この終わりぎわ、すごいソワソワするんですよ。

どう終わらせるんだろう?って。笑

盛大な拍手すぎて、アーティストの去り際がどこ?ってなるの嫌だし、しつこいアンコールとか滅べと思うけど、アンコールありきなセトリなこともあるし、とにかく正解はなんなのと戸惑うんですよ。

風さんはね、
拍手を、
会場内に溢れているファンの愛を、
その空気を、
抱きしめたんですよ。

ぎゅーって。

その姿を見て、今思い出して、また泣いてるけど。

あぁ、こんな素敵な終わり方。

私のソワソワやモヤモヤが華麗に回収された瞬間だった。


最後に

あーーーーもう、全てが良かった。
舞台演出、照明、声、歌、MC。
どこを切り取っても完璧な時間だった。

なぜ、この記憶の全てを録画してハードディスクに入れておけないの!
私のこの感情を、温かな気持ちを冷凍保存して、やさぐれた時に解凍できないかしら!

本気でそう悔しく思うのだけれど。

でもきっと、曖昧な記憶だからこそ残るものもあるんだろうとも思う。

私はこれからもLASAアルバムを聴くたびに、

その度にライブで感じたことを思い出すし、
はにかんで顔を覆う風さんを思い出すし、
キラキラしたミラーボールの光が反射する幻想的な光景を思い出すし、
隣に座ったおばさんの座席番号確認してあげたあと、トイレ行ってきます、とまるで知り合いみたいなやりとりを思い出すし、
たぶん食べることなく去る、帯広のインデアンカレーのことを思い出すと思う。

最後2つは蛇足な思い出だけど笑、でも、たぶんずっと思い出す。

音楽はそれこそ、思い出の冷凍保存装置みたいなものなのかも。

それを聴くたび、思い出す。

あーあ
僕らはまだ先の長い旅の中で
何かを愛したり 忘れたり 色々あるけど
あーあ
これからまた色んな愛を受け取って
あなたに返すだろう
永遠なる光の中 
全てを愛すだろう

旅路/Fujii Kaze

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