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「SSSS.GRIDMAN 第2話」に学ぶ演出技法

2018年放映の「SSSS.GRIDMAN」をもとに2話で使われている様々な演出を拾い上げてまとめていきたいと思ってます。

ネタバレを含むため、未見の方はご注意ください。

戦闘時の立ち位置の入れ替え

第1話の演出解析で見たようにこの話数でも、劣勢側がシモテ優勢側がカミテに配置されています。

引用元:SSSS.GRIDMAN

詳しくは第1話のまとめを参照してください。

小道具(衣装)の変化

ヒロインの一人である新条アカネは、主人公の響裕太の同級生であると同時に敵方の怪獣を制作している張本人であることがこの話数で開示されます。

新条アカネは怪獣を操ったり制作している際には割れたメガネをかけ、ヘッドホンをつけ、黒ストッキングを脱いだ状態になります。

引用元:SSSS.GRIDMAN

このように通常時と別の小道具をもたせることで、隠していた本性を出している状態であることを表現しています。

小道具(衣装)の変化 = 通常時と違う性格を表に出した状態

繰り返しと変化

敵の怪獣との戦闘が終わったあと響裕太は「もし、この繰り返しが続くなら、俺のやったことになにか意味があるのかな」というセリフを発します。

この話数では前の話数で起きた怪獣との戦闘が主人公たち+新条アカネ以外の記憶にない状態で、無かったことになっていたり、破壊された街が一夜にして修復されていたりしています。ともすれば無限ループのようにも思える破壊と再生ですが、実際には少しずつ変化は起きています。

戦闘後、担任の先生は響裕太にぶつかったことを謝るようになっておりただのループではない状態を表現しています。

引用元:SSSS.GRIDMAN

引用元:SSSS.GRIDMAN

戦闘前と戦闘後に意図的に同じアングルを使用しつつ別のキャラに演技をさせることでループの中に起きる変化を映像的にも表現しています。

同じことの繰り返し = 同じレイアウトの繰り返し
キャラや反応の変化 = 繰り返しの中に起きている変化

メガネの反射

主人公の響裕太のクラス担任の先生はこの話数の前半では眼鏡が反射して光っており、目元が見えない状態で表現されます。この状態の時先生はぶつかっても謝らず、生徒をほっておいてさっさと帰ってしまうため「もっと生徒と向き合わなきゃ」とアカネに言われています。
コミュニケーションが取れていないことを、目元を見せないことにより表現してます。

この話数後半で怪獣に襲われた際にスマホから目を離し怪獣を見ることで現実を直視するようになります。そのためエンディング前のシーンで響裕太にぶつかった際に先生は「ごめんな」と謝るようになっています。
先生は現実世界を見つめるようになったためコミュニケーションを取れるようになったことを、目元が見えるようになることで表現しています。

引用元:SSSS.GRIDMAN

メガネが白く光っている、目元が見えない = コミュニケーションが取れない

メガネが光っていない、目元がちゃんと見える = コミュニケーションが取れるようになる

このように目元を見せるか見せないかによってコミュニケーションが取れているかどうかや、現実を直視しているかどうかを描き分けることができます。

ビー玉

ラムネの瓶を振ってビー玉を出そうとするサムライキャリバーに対し、内海は「それ取れないですよ」と、取り出すことが不可能であるという説明をします。これは不可能性であったり、囚われていることを象徴しています。

ビー玉を取り出せないこと = 不可能性、囚われていることの象徴

引用元:SSSS.GRIDMAN


それに対しサムライキャリバーは手持ちの刀で瓶を切り裂き、ビー玉を取り出します。
この行動は(普通の人間には)不可能であることを、自らの能力や信念により切り開き人々を救い出すヒーローで有ることの象徴となっています。

ビー玉を取り出す = 可能性、囚われているものを救い出す、ヒーローの象徴

引用元:SSSS.GRIDMAN

このあとサムライキャリバーは、自分と同じく人を救うヒーローになる立場の響裕太にビー玉を渡します。

ここでこのビー玉はヒーロー性の象徴であり、グリッドマンの仲間たちの象徴にもなっています。また、グリッドマンの額にもビー玉に似た丸い玉がついており、複数の意味合いを併せ持つ象徴的なアイテムになっています。

柵、網

怪獣との戦いの前、響裕太や宝田六花とカメラの間に柵や網がかかるようなアングルを取ることがあります。
状況を受け止めきれていなかったり、本音を言えていない状態の時にこのようなレイアウトになっています。

柵、網越しにキャラクターを配置 = 本音を言えない、状況を受け止めきれていない、飲まれている

引用元:SSSS.GRIDMAN

怪獣との戦いのあと、響裕太は全てに納得しているわけではありませんが、状況を受け止めこれからも戦い続ける決意をします。その際座っていた体制から大きく立ち上がり顔が柵の上に出るようになります。

柵から出る = 状況を受け止める、囚われているところからの開放

引用元:SSSS.GRIDMAN

前の項でいうビー玉とラムネ瓶の関係に近いものがあります。こちらは自ら不可能の檻から抜け出すことを意味しています。

まとめ

この話数では繰り返しの毎日を変えていくことや、ラムネ瓶とビー玉、柵などを駆使し、自らの行動で世の中に変化を与えていくヒーローを重層的な演出を使うことで描いています。

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