地域と関わるさいしょのこと。


いま書きたいから。
ちょっと順番違いで最後の夜。
ついさっきの話。

なんとも奇妙なご縁で
岡山大学の学生さんの最終プレゼン報告会に参加させていただくことに。

写真は、学生さんが商店街の老舗のお菓子屋さんに提案して実際に販売もされたパッケージ。

奉還町という、名前からすでに侍絡みを匂わせるまち。
岡山駅の西口を出て、例にもよって、信号を渡るごとに雰囲気の少しずつ違う、いくつかの商店街アーケードの中を歩いて7分ほどの地域。
商店街はそれぞれ、1階2階合わせてだいたい1/4くらいがシャッターが閉まっていて、どのそれにも、私がおもしろそうと思うような細い路地が突き刺し状になっている。
商店街の頭上には、普通サイズののぼり旗が、祝日の万国旗のように両側から被さっていて、両側に停められた自転車の間は、車1台がゆっくりと走れるくらいの幅が残っている。歩いている人は、半分くらいはお店の中の様子に目を配っているけれど、ひとりもお店に入って行く人は見なくて、みんな、ここでは無い目的地に向かって歩いている。
端折りますが、そんなちらっと面白要素のある商店街を抜けた先にある奉還町は、
なんとなくでも、歩いていて、このまちはおもしろそうな人がいそうだ、と思うまち。
なんだか雰囲気に余白がある。

この奉還町というまちには、ゲストハウスが二軒あって、
ひとつは、一階にバーがあって少しプライベート感の高い宿。4年程前に一度泊まった時にも、知り合いの欧州人にばったり出会ったけど、今でもどうやらその地域からの旅人が多いみたい。
もうひとつは日本人のバックパッカーや、日本・アジア圏のシニアが多くて、宿の真ん中は、元々参道だったのか、鳥居が立っている。
その両側に建物があって、更にその奥には神社ではなくて、中庭と長屋。
庭を囲んで建物は3つ。
宿と、店舗用のトイレのものを除いて、扉は4つ。
中庭には、建物の角に沿って対角に立つ二本の大きな樹があって、
なんとなく空間的に屋根があるような感覚にさせてくれている。
更に、中庭の横には、場主が少しずつ手入れするガーデンが今まさに手入れしている様子でそこに在る。

中庭に向く扉のひとつは、
1日100杯は淹れているという人気なコーヒー店の焙煎所。
もうひとつは、今日はお休みだったけど、雑貨のお店だったよう。
もうひとつは、大学を休学して本屋をやるという学生さん。
昨夜も3人で作業していて、でも、運び入れられていたのは売り物らしい服がたくさん。
それで、最後の扉は、
ほりわりのパンフレットをデザインしてくれている菫ちゃんのお店兼、家になる予定。
菫ちゃんは、ここでコーヒーなんかも出そうなんて企んでいるみたい。わたしは、菫ちゃんはやっぱりデザイナーだから、それがメインだろうと思ったし、そうあってくれたらやっぱり楽しいし、頼れるなぁと思ったから、
色々、あれもいーなーなんて言ってる彼女に、やってみながら考えてもいいんじゃない?ってアドバイスともなんとも言えない一言を言ってみた。
次くる楽しみと理由がひとつ増えた◯
そして、その宿主は、まち角にラウンジ角という普段は本も読めて、お酒も飲めて、ご飯も食べられるフリースペースみたいな場所も運営しているらしい。

長い前置きだったけれど、
そんな、なんかこのまち、面白そうだぞい。
という匂いがプンプンするこのまちで、
ラウンジ角で、
まちに対しての提案。という噂みたいな報告会があるよ。という説明を受けた。
菫ちゃんと妹の葵ちゃんが、その報告会のあと、そこで出張スナックをやるというので、報告会から参加することに。


つづき。

そして蓋を開けてみたら、
色々思うところがあったプレゼン。
感覚的には、ホップ、ステップ、ジャンプ!と着地。の、
ステップが無くて、ジャンプでいきなり脚力出て、稼いだのは距離じゃなくて高いところに着地して、どこに降りよっかな〜?って見渡してる状態。
みたいなプレゼンだったように感じた。
いやぁ、すごいんです。出来上がったプロダクトの仕上がり感とか、本当に。まちと、気持ちで繋がっている感も。その関わり方も、決して小手先ではないのも伝わってきた。

わたしは、これは完全に個人的な意見なのだけど、
こういう、まちに住んでいない人がまちに対してプレゼンするとき、プレゼンを通して、ディスカッションの生まれないプレゼンは、割と失敗だと思っている。
プレゼン自体も、その場にいる人たちで作られる空間も含めて。

だって、そこに住んでいないし、まちの人と、膝を突き合わせて話や行動を充分にしていない状態で、何も言えねー!そーだわ!みたいなプレゼンが出てくるわけがない。
それが当たり前で、そこでディスカッションが生まれなかったら、そのプレゼンは、そこまで。
そのあとはきっと何も無い。
ただ、水に流れていって、あぁ、そんなこともあったよね〜っていうだけになる。
そして、その場にプレゼンターに興味のあるまちの人が居なければ、場の空間はただ冷たいか、甘々か、結局何も生まない結果になる可能性が高いんじゃないか、
と思っているから。

でも、今日のプレゼンは、時間の関係もあって深いディスカッションまでにはならなかったけれど、今後、この商店街沿いで、老若男女、今日のことを話したり、深めたりする会話が生まれる可能性を感じました。
これって、すごいことだと思う。

それは、この報告会をした学生さんが、五感でしっかりこの地域に惹かれていて、こんな場所があって、こういうプレゼンを本気で聞くプレイヤーがいるという環境。

そんなレベルの彼らに、もうひとつ聞いておけばよかったと思うこと。
このプレゼンで、弱いと思うところはどこですか?もしくは、やり残したことは?
言われずとも、自分たちが一番わかっていたりする。それでも報告のリミットはやってくる。バス乗り場へ向かって早歩きしている頃に思いついた。

偉そうだけど、こんなことを考えながら、毎回自分にも言い聞かせている。そして私のいるところはどんなまちなんだろう。こういう機会をもらえるというのはありがたいと思う。

自分の、大学時代の苦い思い出をまた思い出してしまった。

きっとこのまちには、これからもニジニジとおもしろい人が増えていくのかな、と思ったまち。
ここもまた来たい。

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