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絆創膏の話

今朝駅に向かって急ぎ足で歩いている際、急に後ろから「すみません、すみませんー」と声掛けられました。足を止めて振り向くと、私よりやや背の低い、恐らく40代後半の女性の方でした。右手に何かを持って私に差し出しています。
「はい?」朝から勧誘か…と私は思いました。
「足、怪我してます?!私絆創膏を持っているから、良ければ一つどうぞ!」
怪我?とは私が怪訝に自分の踵を見ました。確かに一昨日新しいハイヒールを履いたせいで靴擦れしてしまいましたが、全然ひどくないし、痛くも感じていなかったですけど…

「あ!」

私は吃驚しました。肌色のストッキングは踵から足首の部分まで真っ赤に染まっています。元々痛みに強いほうからか、全く気付きませんでした。

ありがとうございますと、何度もお辞儀してから私が絆創膏を受け取りました。呼び止めてくれた女性もぺこりと会釈して、改札を通って人混みの中に消えていきました。
残る私は直ちにお手洗いに行き、血塗れのストッキングを捨てて、ウェットティッシュで血を拭いて絆創膏を貼りました。もし教えてくれなかったら、そのまま血を流したまま電車に乗り、会社へ向かうところでした。朝からさり気ない優しさに助けてもらい、感謝の気持ちでいっぱいです。この特に忙しい時期には、とても貴重なひと時でした。

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